ラブル・リベル・クライム~魔法使いの書棚

きし あきら

ラブル・リベル・クライム~魔法使いの書棚

茶会のおわりに

 魔法使いにまねかれた

 円卓えんたくかいのそのあとに

 呼びとめられたはたなの前

 かいな主人の言うことは


 お近づきになるおしるしに

 わたくし得意のうらないで

 ひとつ、おとぎをおくりましょうと

 となえる呪文はこの通り 


 ラブル・リベル・クライム 

 おしゃべり好きの陽気なせい

 今夜のてきなお客さまには

 どれが一等お似合いかしら


 おどろいたのは指のさき

 みっつのかりが飛んで出て

 どうやら羽まで生えていて

 それが魔法の精たちさ


 ラブルが答えてわたしのかた

 水のほんがおすすめよ

 月と呼ばれる石ころが、南の海に落ちたときのや

 にじえてるはんまう、つがいの鹿しかのことだとか


 リベルが答えてわたしのかみ

 木の書物ならいいでしょう

 おしゃべり植木の剪定せんていと、屋根にじんる風見のとりのことだとか

 薬草やくそうだんの四季のいろ、石のたたみおどりだす裏々庭うらうらにわの秘密やなんか


 クライムが答えてわたしの耳へ

 火の絵巻物だよどうしても

 天にのぼったかがりの炎、むかしに消えた、お星のお歌のことだとか

 おみやりゅうがごそくつれて、夢にぬくもるときのこともね


 さあさあご意見ばらばらで

 困った主人は照れ笑い

 どうぞどれでもお好きなものを

 贈りましょうともう一度


 すすめられたら、それではと

 くるくるまわる精たちの

 それこそおとぎの話をば

 よくまた聞いてみましょうか

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