霊界移動屋敷~アカルイミライヘ~

花見和ノ如く

第1話 また歩み始める

歩く。歩く。歩く。

俺は歩く。


昔、俺は戦った。

沢山の仲間達と共に。

また一つ、命が消えた。また一つ、命が消えた。

そして俺は…今歩いている。


紅の声が聞こえてくる。何処からか…。


進…進…進!!!!!

ん?


俺は起きた。

起きると目の前には紅がいた。

「全く!何で起きないのよ!今何時か分かる!?」

紅はひどく慌てて、エプロン姿で俺を蹴る。

「うわっ!」

俺は何も言う間もなく蹴られ、驚愕する。

「何だよ紅!確かに寝坊したのは悪かったよ!だけどな、そんなに怒らなくても!」

「進!今日何があると思う!?」

え?今日って…。何だっけ?

「今日は!「ヒニカゲ」さんと6時30分から待ち合わせ!」

時計を見る。

9時だ。

目をこする。

時計を見る。

どう見たって9時だ。

「何で起こさなかったんだよ!」

「5時からずっっっっっっっと!起こしてたわよ!でもうなされてて全然起きなかったじゃない!!!」

何で4時間ずっと俺を起こそうとしたのだろうか。その辛抱強さが紅のいいところである。

「って。何で俺は起きなかった!?」

「それよ。また見たの?あの夢……」

そうだ。俺は思い出した。あの夢を。

歩いていた。走っていた。色々なことをした。しかし、同じなのは前に行こうとしていること。そして失敗していること。

ブルーストーンの悪夢って…これだったのか…。

「ブルーストーンの悪夢かな?それってさ」

紅が心配そうに俺を見る。

あの許されざる力を用いてしまった俺は、許されざる力に取り憑いていた魔神に取り憑かれたのかもしれない。

「…心配するなって。どうってことないさ!」

俺は笑って見せた。

「そうよ…ね…!」

紅はピンク色の髪の毛を揺らして、そう答えた。



俺は走っている。「ヒニカゲ」さんはいるのだろうか。

探した。探した。探した。いた!


「やあすすむくん。おそいね。じゃあ、早速依頼の話を聞いてもらおうか」


第一声がこれだった!

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