アルムゼルダ・ワールドガイド

こけもしん

神々と魔術について

✧ 黎幽の星[Relia and Olia]

 世界を創造したと伝えられている姉妹神、レリアとオリアのこと。もしくは、明け方に東の空に、夕暮れに西の空に輝く星のこと。

 姉のレリアは夜明け、誕生や始まりなどを司り、妹のオリアは日没、死や終わりを司る。創世神話においては、この二柱が生まれた瞬間を天地開闢の時と位置づけている。その後二柱は「地」「水」「火」「風」の霊素(レム)を生み出し、それぞれの霊素を支配する大精霊(四大)を生み出すと、それらに人の子の守護を任せ、交互に寝起きしながらこの世界の均衡を保っているとされる。


✧ 霊素/レム[Lehm]

 世界に満ちる精霊の力であり、「地」「水」「火」「風」の四元素に大別される。霊素は女神に仕える四柱の大精霊、ネハシュ、スフラム、ラケルダ、オルニスによって支配され、世界は霊素の偏りによって目まぐるしく変化する。大精霊が支配する領域は以下の通りである。


» ネハシュ[Nehash]

 地の大精霊。七つに別れた角を持つシカの姿をしている。支配する方角は北。豊穣と繁栄、理性を司る。

» スフラム[Sfram]

 水の大精霊。透明で巨大なヘビの姿をしている。支配する方角は東。洪水と恵雨、悲しみを司る。

» ラケルダ[Rachelda]

 火の大精霊。燃え盛るトカゲの姿をしている。支配する方角は南。戦争と破壊、復讐を司る。

» オルニス[Ornis]

 風の大精霊。三本足のオオワシの姿をしている。支配する方角は西。幸運や平穏、忠節を司る。


 ネハシュとスフラムは黎明の女神レリアの眷属、ラケルダとオルニスは幽寂の女神オリアの眷属である。これに則り、「地」と「水」が合わさって生まれる霊素を「幽」、「火」と「風」が合わさって生まれる霊素を「黎」と呼ぶ。

 生命は四元素いずれかの支配下に生まれるが、ごくごく稀に「黎」もしくは「幽」の二重霊素をもって生まれる者がいる。二重霊素を持つ者は生まれついて星との交感度が高く、魔術の素質もずば抜けている。三重霊素を持つ生命は理論上は存在するとされているが、霊素を生成する際の負荷が大きく、すぐに死んでしまうと言われている。


✧ 魔術[Magic]

 霊素を操り、不可能を可能にする、祈りを奇跡に変える術のこと。便利だが万能ではなく、術者の霊力、すなわち生命力を代償とする。とはいえ霊力は十分な睡眠や食事を摂る(自然の霊素を取り込む)ことで回復し、これを利用して特殊な呼吸法で霊素を操作する技術も存在する。また、霊晶石と呼ばれる霊素の結晶を触媒とすることで術を行使することもできる。エメドレアでは路面鉄道や短距離転移門など、この天然資源を利用した機械工学や魔術式が発達している。

 魔術の行使には前提となる魔術の構築式と、構築式の実行時に読み上げ(詠唱)もしくは指や筆記具による書写が必要である。詠唱は意識を構築式のみに注ぐことで省略可能だが、非常に高度な集中力を求められるため、気が逸れたことでの暴発や事故が起こりやすく、推奨されない。多くの魔術師は詠唱と書写を使い分け、魔術機械などは核部に構築式を刻印することが一般的となっている。


» 流派[Style]

 魔術構築式の組み立て方には個々人の癖が出る。構造的で可読性に優れた構築式もあれば、秘伝と称される魔術の大半は暗号化され可読性が低い。また詠唱に特化したものや、書写に秀でた構築式の書き方も存在する。これらは魔術師たちの師弟関係により体系化され、受け継がれていく。


✧ 交感[Sympathetic]

 生命と星とを繋ぐ霊的なつながり、霊脈を通して感応すること。この能力が高ければ高いほど霊素の扱いに長け、魔術の行使が容易になる。特に秀でるものは「賢者」と呼ばれ、他人の感情を読み取る、少し先の未来や少し前の過去を観測する等々の逸話が記録されている。ベルジュ伯アルムゼルダも賢者のひとりで、彼は霊素の影響を受ける物品の位置を、どれだけ離れていても正確に把握できたと言われている。

 交感能力の有無は魔術師としての伸びしろを示すといえど、長けていればよいというものでもない。見えすぎる、聞こえすぎることは精神に多大な負荷をかける。中にはあまりの情報量に気が触れてしまう者もいるという。

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