ヤンデレ彼女達との比較的平穏な日々

つばき やまもと

第1話ヤンデレ系姉と僕 1.いつもの朝

「もうあさだよ~。」

優しく温かい声がした。


いつものように目は開けず上体を起こした。

まだ眠い。昨日は夜中まで姉に付き合わされていたからだ。

夢うつつで先に両手の縄から抜け出し、右足の錠をピッキングした。

少し意識がはっきりしてきた。


うっすらと目を開き、ぼやけた視界で洗面台へ向かう。

水はかなり冷たかった。

数度顔を洗うと視界が大分はっきりとしてきた。

「ご飯できたよ~」

また声が聞こえた。


顔を拭いたタオルを持ってリビングに向かう。

おはよう、と姉に遅ればせながら挨拶を返す。


裸エプロンの姉にタオルを渡し、姉の膝に座った。

朝ごはんは、サラダと白米と目玉焼きとみそ汁だった。

僕は、薄味が好みだ。ドレッシングもバターも醤油も不要だ。ついでにみそ汁の髪の毛も。

軽く手を合わせてすぐに食べ始め、すぐに食べ終わった。

相変わらず姉のご飯はおいしい。


食器をシンクに持っていき、軽く水で洗った。

姉を見るとまだタオルの匂いを嗅いでいるようだ。

さめちゃうよ、と声をかけると我に返ったようだ。

慌ててご飯を食べ始めた。左手で箸を使いつつ右手はタオルをガッチリ握っている。

相変わらず器用な姉だ。あれ?僕の姉は右利きだったような?


もう一度洗面台に戻り、一本しかない歯ブラシを手に取った。

数分かけてきちんと磨き終わるとようやく姉がやってきた。

歯ブラシと歯磨き粉を渡すと、ようやくタオルを手放した。


適当に寝癖を直し腕から抜け出すと、自室に戻り制服に着替えた。

僕は学ランに縁がない人生らしい。中学校の時もブレザーだった。

今日、必要な教科書と運動着を持った。


姉はまだ歯を磨いている。何分磨いてるんだ?

歯磨きをやめさせ姉の髪をセットし、下着や制服を着せた。

そこ、無い胸を押し付けるな。


手のかかる姉だ。多少だけど。

うちは二人暮らしだ。両親は海外出張中。

姉は家事全般が得意だ。というか絵に描いたような才女だ。

美人で誰にでも優しく運動もできて人望が厚い。生徒会長兼バスケ部部長。

そんな姉は、ヤンデレで貧乳だ。それはもうまごうことなく。


でも僕はそんな姉が嫌いじゃない。だって弟は姉の面倒を見るものでしょ?

やばいやばい、甘やかしすぎたかな?

間に合わなくなる。

荷物を持ち、カギを掛け、登校するのだ。


手をつないで、いつも通りに。

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ヤンデレ彼女達との比較的平穏な日々 つばき やまもと @tsubakiyamamoto

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