3話 ステータス

「……何だよ、これ」


 俺は右手に握られているステータスプレートを見て唖然としていた。そこに書かれていたのは


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 藤里 真也 17歳 男 レベル:1

 職業:勇者

 体力:100

 魔力:100

 筋力:100

 敏捷:100

 物耐:100

 魔耐:100

 能力:全属性魔法・全属性耐性・物理耐性・

 剣術・金剛・剛力・限界突破・二命・

 鑑定・言語理解

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 という、ステータスだった。これは……みんな、勇者って職業を持っているんだよな? みんな同じぐらいのステータスなんだよな。


「因みに、この国の平民の平均値は20だ。これは、戦闘に出ない大人の平均だと思ってくれている。我が国の兵士の平均は大体50前後になる」


 ……エルライト王子の有難い言葉が聞こえて来た。まじかよ。いや、まだ他のクラスメイトたちのステータスを見ていない。それを見てからだな。


 隣には真剣に自分のステータスを見ている陽奈の姿があった。俺が見ているのに気が付いたのか、俺を見てくる陽奈。


「……どうだった、陽奈?」


「真ちゃん、私のステータスはこれだよっ!」


 そうして見せて来た陽奈のステータスは


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 早川 陽奈 17歳 女 レベル:1

 職業:賢者

 体力:65

 魔力:90

 筋力:45

 敏捷:40

 物耐:65

 魔耐:95

 能力:全属性魔法・複合魔法・召喚魔法・

 空間魔法・全属性耐性・魔力保存・

 言語理解

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 という、中々魔法に特化した職業となっていた。普通に強いのは強いと思うが、それでも俺よりも低いぞ。それに職業勇者じゃないし。


 これはいよいよ不味い事になって来た。そう思っていたら、凛さんと翔輝もステータスを見せてくれた。


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 鳳 凛 17歳 女 レベル:1

 職業:魔弓師

 体力:75

 魔力:80

 筋力:55

 敏捷:90

 物耐:40

 魔耐:40

 能力:弓術・鷹の目・追尾・矢複製・魔力矢  作成・属性付与・言語理解

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 天王 翔輝 17歳 男 レベル:1

 職業:聖騎士

 体力:80

 魔力:70

 筋力:80

 敏捷:65

 物耐:85

 魔耐:75

 能力:光魔法・水魔法・火魔法・剣術・

 剛力・言語理解

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 凛さんは弓道部のキャプンテンなだけあって、弓に関してはかなり能力が高い。それに翔輝もかなり能力が高い。……それらよりも高い俺ってどうなんだよ、これ。


「真ちゃんも見せて!」


 そして、陽奈が俺のステータスプレートを見ると「勇者!?」と声を出す。その声はこの部屋の中に響いて、全員がこちらを見てくる。


 みんなの声には「天王君かな?」「どうせ天王だろ?」という声があるが……ちがうよ、翔輝違うよ。陽奈の声は勿論王子たちにも聞こえていて、エルライト王子とアンジェラ王女がこちらへとやって来た。


「勇者の職業持つ方がいると聞いたのだが、どなただ?」


 エルライト王子の言葉に陽奈や凛さんは俺の方を向いてくる。それにつられてエルライト王子も俺を見て来て、手を出して来た。ステータスプレートを見せてみろって事だろう。


 俺は仕方無しにステータスプレートを渡す。それをじっくりと見るエルライト王子とアンジェラ王女。そんなじっくりと見られると恥ずかしいな。


「これは、さすが勇者様だ! レベル1の時点で既にオール100を超えているとは!」


「ええ! 流石ですわ、勇者様!」


 そう言って驚きの声を上げるエルライト王子と俺の手を握るアンジェラ王女。その姿を見て頬を膨らませて俺を睨んでくる陽奈。そんな睨むなよ……。


 陽奈のそんな態度に苦笑いしていると、誰かに睨まれているような気配がして、ゾクっと背筋が震えるような悪寒がしたのだ。


 思わず周りを見回してみると、こちらを見ているクラスメイトたちと兵士しかおらず、全員普通に見ていた。……俺の気のせいか?


 訳もわからずに首を傾げていると、エルライト王子の元に兵士たちとは違う文官のような姿をした人物が訪れた。


 その人物が、エルライト王子に何かを伝えると、エルライト王子は


「突然呼び出したまま申し訳なかった、勇者の方達よ。こちらで皆を迎える準備が出来たので、今日は休んでほしい。それぞれに部屋を用意しているため、落ち着けると思う。

 後、各部屋に1名侍女を付けるため、何かあればその侍女に伝えてくれ……ああ、職業についても侍女に伝えておいてほしい。それでは案内してくれ」


 エルライト王子はそれだけ言うと、アンジェラ王女と共に部屋を出て行った。王子たちと入れ替わるように部屋に入って来た本物の侍女たち。しかも全員が全員かなりの美貌を持っているため、男たちはテンションが上がっていた。それを冷めた目で見る女たち。


 そんな冷めた目で見られながらも俺たちは侍女たちの後に続く。この時にこの冷めた目の中に俺の事を睨んでくる視線に気が付いていたら、未来は変わっていたのかもしれない。この時の俺は突然の事の連続で気づく事が出来なかった。

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