お兄ちゃんいい加減気づいてよ・・・・・・・

「着いたよ二人共・・・・・・」

「着いたって立野ここって・・・」

「あ・・・・・・ベットがあるじゃん。とぉーーーーーーーー!!!」

「コラコラ泳がないの。泊りに来たんじゃないから・・・」

立野が連れてきたのはとあるビジネスホテルの一室だった。部屋に入るとざーさんはまるで修学旅行感覚で位の一番に駆け抜け、フカフカのベッドにダイブし、エアクロールをしていた。

立野はそのリアクションを軽く流した後その隣のベッドに腕と足を組みながら凛として座っていた。

恐らく今後あるであろう修学旅行でもこういうリアクションをするだろうな。





なぜ立野はこのようなホテルを即用意することができたのは、道中で、説明していた。

どうやら立野はこのビジネスホテルのオーナーの親戚だという事で、主に落ち着て勉強(意味深)を出来る時には利用してるようだ。

今回ここに連れてきたのもこれからする話には公害しないよう配慮しているようだ。






「ふぅ・・・・ここなら誰にも話を聞かれないわね。これから・・・・・・」

「3Pすんの?」

「咲那少し黙ってて・・・・」

「ひっ!!!ご・・・・・・・ごめん。蓮ちょっと調子に乗っちゃった」

今まで物静かでクールの印象だった立野はほんの一瞬だけ、修羅の顔をしてざーさんを秒で縮こませた。この顔は乃希亜や姉ちゃんとは別の意味の恐ろしさだ。



怖ぇぇぇ・・・・立野めっちゃキレてる!!!その証拠に今までざーさん呼びなのに下の名前を呼んでるあたりガチっぽいな。

いや、臆するな俺。今までの行動を見るからに立野もざーさんと同じく乃希亜の件に関与してるはずだ。

その真実をこれから話すつもりだ。もしつまらない返答なら許さねぇぞ・・・・





「じゃあ単刀直入で言うけど、わたしと咲菜が九頭竜さんにキチ〇イキャラを扮して君を追い込ませたわ。それは事実よ」

「違うよ蓮。キチガ〇じゃなくてヤンデレだよ。全然関係ないよ」

「でも根本的に愛し人を追い込んでるのは間違いないじゃない。アニメ関係は疎いからこれで完結してよ」

「いや、蓮ヤンデレってのはじゅんあ・・・・・」




「だから、なぜそれを乃希亜に吹き込ませたと言ってるんだよ!!!!」

ざーさんと立野のつまらない会談をかき消すように俺は叫びながら近くにあるテーブルを拳を叩きつけ威嚇することで二人は静かになった。

だが、二人はそれに対して顔色一つ変えていない。それどころか俺が異常だと思ってるかのように哀れんでるような目つきだった。







「・・・・・・・・・大河君少し落ち着いて。こちらにも少々やりすぎた点があったけど、大河君自身はその理由に心辺りはないの?」

「何を言ってんだ。そんなのある訳ねぇだろ。さっきから我慢してたけど謝り一つなしか。これは犯罪だぞ。その気になればお前らの人生壊すことだってできるんだぞ。少しは事の重要さを知れよ」

「はぁ・・・・・・いいよ蓮、どうやら大河君は、エロゲ主人公並みの超がつくほどの朴念仁だからこれ以上言っても分からないよ。だって君より馬鹿の私だって九頭竜さんの事を理解できてるのにそれができないなんて、ホンと生粋の屑でだらしがなんだね」

「んだと!!!!ふざけん・・・・・が!!!」

ざーさんの言葉でプッツンし反論しようとした瞬間、ざーさんは突然俺に突っ込んできた。そのせいか俺は抵抗する余裕はなく後ろの机に後頭部がつくほどの衝撃を受けた。

それに加えざーさんは俺の頬を利き腕で鷲掴みをし、俺の無駄口をふさいでいた。

顔を上げざーさんの顔を直視すると先ほどののほほんとした顔から一変舌打ちをしながらゴミを見るような目で俺を見下していた。

こんなにも怒りと感情を爆発させたざーさんは初めてだった。

まさか立野のヤツざーさんがここまで怒るのを見越して、この部屋を手配してたのか?

俺が立野のところに目を向けるとざーさんは、私の方に目を向けると言わんばかりに首を俺の方に向け固定させた。

くそ・・・・・普通ならこの程度の力は抜けられるが、眼圧と威圧のせいか知らないが力が震えてしまう。

さっきの立野の件にしてもそうだ。

まるでヤンキー時代の乃希亜のようなプレッシャーを放っており、声も荒げていた。




「おい、女たらし、なに勝手に蓮の方に見てるんだよ。人が話してるならこっちに向いてよ」

「う・・・・・・・」

「ふざけんなよ・・・・・・・このクソ野郎が・・・・・・・この期に及んでまだ分からないの?どんだけ分からずやなのかな?」

「何を言って・・・・・・・」

「大河君、君は九頭竜さんを愛しているようにしてるようだけど、こっちからには微塵もそうは見れないよ」

「それって・・・・・俺が幼馴染と話してる時に、乃希亜が盗み聞きして誤解を生んだんだ事だろ?アレはだな・・・・」

「そういうことを言ってるんじゃない!!!!」

「え・・・・・・」

俺の言葉を遮るかのように恫喝しながらざーさん・・・・・花沢咲那は涙を流し、それが俺の顔に直撃した。






「君はこの前九頭竜さんと旅行に行く為の打ち合わせをする時、女の人にバイトを誘われて、断ろうとしなかったよね。九頭竜さんそのことについて、涙を押し殺すように悔しがってたよ・・・・・・・なんでそれ断らなかったの?」

「!!!!あれは違う・・・・・・」

「それだけじゃないよ。それ以前の公方寧々のマネージャ代行の仕事で、寧々さんとイチャイチャしたことや、さっきのMicuniやさっきのアウラって人と肝試しに行ってたよね。・・・・・・・まったく彼女がいるのに他の女とイチャイチャイチャイチャ情けないったらありゃしない。本当に愛してるのなら、他の異性とラッキースケベなイベントをスルーして彼女一筋を貫いてるはずだよ」

「ああ・・・・そうだ。お前の言ってることは正しい。でも俺は乃希亜の事を思っての行動なんだ・・・・・・もうすぐ乃希亜と旅行に行くためにどうしても今のままのバイト代じゃ足りない・・・・・・だから」

「だからお金の為にバイトをする。それは決して間違ってないよ。けどさぁ、そのバイトの相手は知り合いは・・・・・・・micuniさんにしろ寧々さんにしろアウラさんにしろ異性の女の人ばかりなのはどういう事かな?だっておかしいでしょ?普通給料がいいのならむさ苦しいおじさんに囲まれての土木作業のバイトを選ぶよね?大河君体力あるし、肉体動労ならバイト代もいいよね。そうしなかったのはなんで?君の行動明らかに矛盾しているよ」

「・・・・・・・・・・・・」

ざーさんの言葉は皮肉にも正論を意味している。

バイトでより多くのお金を手にするのは肉体動労が手っ取り場合だが、そうしなかったのはその依頼者が困ってるからだ。

俺の親父は警察官で、その職業柄のせいか人一倍正義感がある。その血は微量ながらも俺の身体にも宿っている。





そのせいか頼まれたら断れない性格になってしまった。

それは女性にも男性にも関わらず同じ対応をしていた。例えば知り合いのガチムチの現場監督のおっちゃんがいたとして工事現場の手伝いを頼まれたら断れないだろう。

それくらいお人よしなんだ。お金は必要だがそれ以上に味わいたいのは、相手の喜ぶ顔とかではなく、純粋に何かをやりきる達成感を味わいたかっただけだ。




そのただ自分の自己満足を満たす為だけで、一人の女の子の心を傷つけるとは本当に思ってなかったんだ。

なぜなら乃希亜自身もそのことを了承してたのだから・・・・・








バン!!!!!!!

「ねぇ、なにさっきからだんまりってどういう事かな?近くで思いっきり机叩いたのに反応なしか!!!言いたいことがあるならハッキリと言えよ!!!!この意気地なしが!!!!」

「もういいよ。咲那、大河君今の言葉でまいっているよ・・・・・・」

「ちっ・・・・・・・・なんかイライラしてきた。気分転換にメイド喫茶に戻ってうっぷん晴らそうかな」

「お疲れ・・・・・あんま犯罪まがいの事しないでよ・・・」





ボーーーーーーーーーと自分の世界に入っている中、丁度現実世界にも戻ると俺は情けなく机の引き出しにもたれながら床に座っていた。

意識が薄れる中、ざーさんは相当ご立腹だったか、立野になにかを話しかけた後、舌打ちをしながら部屋を飛び出していった。

その光景を立野は静かに見送り、その後情けなく曇った俺に対し腰を降ろしながら真剣なまなざしで声をかけてきた。

その眼を見た瞬間、数日前のざーさんと涼浦が和解した時の、立野が言い残した言葉を思い出した。




『アタシは九頭竜乃希亜にしか興味がないのよ・・・・』







「大河君、ごめんなさい。咲那も悪気があって大河君に当たってるわけじゃないから・・・・・大河君と九頭竜さんに恋人らしい付き合いたい方をして欲しいためにやったことだから・・・・もし本当に許さないのならわたしが責任を取るから・・・・警察だろうと学校に言ってもいいからね」

「なんなんだよ・・・・・・・・・お前は・・・・・・」

「は?」

「お前前に言ってたよな。乃希亜にしか興味ないって・・・・・・そあれどういう意味なんだよ。お前もしかしたら乃希亜に対して特別的な好意を抱いてるんじゃないのか?まるで今回乃希亜がしでかしたようなねじ曲がった愛情表現のよう・・・・・・・痛っ・・・・・・・なにするんだ!?」






触れていけないことを触れてしまった。

それを後悔する前に立野に思いっきり髪を引っ張られ顔を思いっきり近づけてくる。

その顔は今までよりも冷たく凍り付くような鋭い眼光だった。さらにその声もキツク俺の耳に響かせる。







「ふざけたこと言わないでよ。アタシがいつ彼女にそんな感情で見てたと思った?口だけ達者で彼女の事を知らなかったやつが戯言をほざかないで・・・・・くだらないゲームしてるからそんな意味不明な事を思ってるんじゃない?アタシとアンタは友人であるが所詮は他人。知ったような口で考察をしないで。三次元と二次元の恋愛は違うってことをいい加減に理解して欲しいわ」





そう言い残すと立野は舌打ちをしながらこの部屋を出て行った。




最悪だ・・・・・・・・あいつらの言う通り俺は乃希亜の事を分かってない。

彼女よりも己の自己満足優先してしまった。なんて情けない彼氏なんだ・・・・




後悔の念に駆られながら、このホテルからコールが鳴り響くまでこの部屋にしばらく引きこもっていた。





















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