夏休み中に学校行くのはとても憂鬱です

八月上旬、この時期は高校野球の一回戦が始まろうとしているこのころ、俺達普通の高校生は夏休みの期間が余裕に半分も経ってないので、冷房の効いた部屋テレビの高校野球の番組を見て高校球児の球遊びを傍観し、勝つと赤の他人の前で恥ずかしながらも校歌を歌わせられ、負ければ土拾い作業という変わった行事をボーっとうたた寝しているというのんびりとした日常をやってるはずだ。

無論俺は高校野球なんか見るわけないが、この日だけはこの時間、俺が思っている事をこの世界中で実際やってるやつが居れば羨ましく感じる。



なぜなら今日は、うちの学校の夏休み内の登校日だから非常に憂鬱な気分だ。



「はぁーーーーーーーねみぃ・・・くそ・・・・めんどくせぇな」

隣の席の乃希亜も俺以上にあくびをし、それ以上にムカムカとした空気を漂わせいかにも機嫌が悪かった。

それもそうだ。乃希亜は一学期後半は俺と関わることで大人しくされていたが、前半は無断欠席や暴力沙汰がたたり、俺以上に夏休みが減らされている。

加えて声優の仕事もあったので恋人なのに出会いが少なくまともに会って話したのは寧々のマネージャのストーカー事件と祭りの日くらいだろう。



しかもその期間中は休むと後が怖いから完全にしぶしぶと来てると来た。




チラッ

「あ?何見てんだゴラァ!!!」

御覧の通り恋人の俺にも敵意をむき出しているのだ。この日の補修は、午後から同級生達がうちのクラスに集まって夕方まで補修をやらされているのだ。




ちなみに先月停学になった俺は、運よく夏休みに追加で来ることはないから助かった・・・・・・と言いたいけど、彼女が補修をしてる間図書室で時間をつぶそうと考えているのだ。

学校内にいれば補修中の休み時間堂々と俺と会えるからその不安は軽減されるだろ。俺は静かに野望を膨らましておりその間先生が資料を片手に教室に入る。




「よーーーーーしお前ら席につけ・・・」







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キーンコーンカーンコーン

「それじゃ今日はここまでだ。それと補修組はしっかりと残るように・・・・」

『ありがとうございましたーーーー』

「終わったーーーーーーーー。ギンカこれからなにする?」

「とりあえずマック行ってから考えるんだけどそんでいいわけ?」

「うん。どこでもいいよ。腹減ったーーー」

「あははははは、蓮ちゃんずっとお腹鳴らしてたよね?」

「うん、ブォンブォンブォンって仮面ライダークウガぽかったね。それを聞いたら私もお腹すいたよ」

「人のお腹をおもちゃみたいに言わないでくれる?」

「いや、ぶっちゃけこっちもそう聞こえたから、自覚ないのアンタだけだし」

絶えてようやく、本日の夏休み内の授業は終わり真っ先に涼浦グループが騒ぎながら教室で出て行った。

毎度思うけど立野は授業中に関わらず遠慮なく腹を鳴らすのを恥ずかしく思わないのか?

今日もその騒音をいつも以上に鳴り響いたからこっちまでお腹が鳴りそうだったわ。

そんな中今度は樹と宗助が俺の前に立つ。ちなみに俺が今日夕方まで残るのはこの二人にはすでに伝えてある。





「よぉみゃこ、先に帰るわ。せいぜい九頭竜と乳くりあってろリア充が」

「毎度思うがなぜお前は喧嘩腰なんだ」

「当たり前だ。今から親友の宗助がインハイに向けての合宿に向かうのに見送りがないなんて冷たいやつなんて親友と思えねぇよ」

「そういうお前こそ大会中にコミケ行くなんて薄情じゃねぇのか?」

「ぐ・・・・・・うるせぇよ。偶然コミケと大会の日程が被ったんだから仕方ねえだろ」

いや・・・・悔しいのは分かるけど泣くほどじゃないだろ。いくらなんでも大げさだ。






「まぁまぁ樹が帰って来るのは、三日目くらいだから十分間に合うはずだよ」

「そうだ。まだ間に合うぞ」

いや・・・・間に合うって確かに今回のインハイの日程って


一日目 開会式

二日目 男女個人戦1~4回戦まで

三日目 男女団体戦1~4回戦まで

四日目 男女個人戦、団体戦準々決勝から決勝まで

で宗助が出るのは個人戦のみだから二日目に負けたら見れないと思うけどさすがに負けないだろ・・・・なんせ宗助は誰よりも努力してるからいいとこまでいけるはずだ。




「じゃあな宗助。当日は貯めた金でシッカリ来てやるよ」

「うん。ありがとう」

「と、いっても開催場所隣の県だからあんまかかんねぇだろ?」

「まぁそうだけどな・・・」

余計な事言うな締まらないだろ!!!



俺は二人を見送った後改めて乃希亜の席に向かい机を合わせる。




「おまたせ。それじゃ今から飯にするか・・・安心しろお前の分まで用意したから」

「おいまて、ここで飯を食うのか?」

「そうだけどなにか問題でも?」

「いや、いつもの場所でいいだろ?ここにはまだクラスメイトがいるから恥ずかしいだろ」

乃希亜の言う通りまだ教室にはクラスメイトが何人かいるけどそれでも両手を数えるより少ないから心配はないだろう。




「別にいいだろ。もう俺ら付き合ってるからそろそろ堂々と教室でご飯食べたりイチャイチャしてもいいだろ?」

(お前らは授業中でも構わずイチャイチャしてるだろ!!!)

ん?今空耳かも知れないけどクラスメイトのとある非リアの男子グループからそう思ってそうなくらいにこっちを妬ましく睨んでるんだけど・・・・

うん確かに時々授業中にイチャイチャしてたよ。ごめんなさい。

俺はそのグループに頭を下げる。





「ああ、そうだな・・・・・・ってお前どこ見てんだよ」

「すまん、気にするな。ところで、飯食う前に一緒に自販機に行こうか」

「おう、」

俺は乃希亜と一緒に手を繋ぎながら一回の自販機に向かう。すると、先客に見慣れた私服の高身長の女性がただ一人自販機前でジュースを買おうとしていた。


「おい、誰かいるぞ」

「まさか・・・」



あれ、この後ろ姿もしかして・・・・・

やばい・・・・この後ろ姿で俺はすでに誰なのか察したので俺は逃げようとするが時はすでに遅く、すでにホールドされた。

その正体は俺の姉の美国だった。





「この匂い誰かと思ったらやっぱり、お前だったか我が弟よーーーーーーーー今すぐ結婚してくれーーーーーーー」

「ミヤ!!!てめぇ・・・なにしてんだブラコン女ぁ!!!」

く・・・・・・・・苦しい・・・・

姉が手加減なく力の限り抱きしめるので身体の中が軋み鳴り響くのを感じる。




なぜ・・・・・・・姉ちゃんが学校に・・・

こんなの俺・・・・・聞いてない・・・・


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