サイドストーリー 急遽のお泊り

公方寧々に不審者に付け回れているという事態を知り都はいち早く松村さんに相談し、かその結果念のために警察への対応は向こうからするようなので、ほとぼりが冷めるまで今日から乃希亜の家で止まることになった。

無論寧々は、この状況にも関わらず未だに大した危機感がなく突然決まったことに納得はいかなく事務所の社長の命で仕方なく受け入れていた。





そして今現在乃希亜は簡潔に説明をしているところだった。



「とりあえず、タンスの中は好き勝手に使ってくれ・・・・・後、風呂はいま沸かしたから先に入れよ・・・・」

「納得がいかないわ・・・・・」

「あ?」

「なんで勝手に外出をしては駄目なのよ・・・・それくらい権利はあるんじゃないの?」

「おいお前、ストーカー被害に遭ってる自覚あんのか?」

「そんなの彼の妄言かもしれないじゃない・・・そんなくだらないことで・・・巻き込まないで・・・」

寧々が今もしつこくグチグチ言ってたので、顔面に向けて部屋着が寧々にに向けて叩きつけて黙らせていた。





「うるせぇ黙って風呂は入れ!!!」

「分かったわよ・・」

寧々はしぶしぶ風呂に入り、一時の休息を得て、しばらくすると、乃希亜から借りた服を借りたのだが寧々は乃希亜と比べて細いためとてもブカブカで落ち着きがなく見えた。

だがせっかく借りたものなのであまり文句は言わず冷蔵庫からコーヒー牛乳があったようなのでそれを遠慮なく使い乃希亜の部屋に入る。




「いい湯加減だったわ・・・あら?なにをしてるの・・・」

「ああ・・・・ちょっとな・・・」

乃希亜はあぐらをかきながら、収録が近いアニメやエロゲの台本を積み上げ軽く読んでいた。




「・・・・・・アニメいや、18禁のゲームの台本ね。そう言えば貴方も声優だったのね・・・・見た目に対してこういうジャンルやるなんて驚きだわ」

「んだよ!!!文句あっかよ!!!」

「なんでいちいち喧嘩腰なのかしら・・・・そこが腹立たしいわ」

「その言葉そのままてめぇに返してやるよ・・・」

ギスギスになりながらも寧々は置かれている台本・・・・・とくにエロゲのものをパラパラとめくり、一瞬でそのキャラの特性を理解したか軽く演じていた。





「ん・・・・・・・はぁ・・・・・・はぁ・・・・はぁ・・・にーにぃ・・・・・にーにぃ・・・・んんぁ♡あぁ・・・・・あぁ・・・あぁ」

その台本のキャラはノアが得意とする妹ゲーのエッチシーンのようで、適当に開いたページが喘ぎ声だったのだがそれになんの抵抗もなくなりきっており、乃希亜は予想外の上達で口がポカーンと開いていた。






「~~~~~~~~~~~~・・・・・・・・駄目ね・・・・やっぱり幼いキャラの声質はあまり得意ではないわね・・・同年代の女の子の方が演じやすいわ・・・」

「さすがだな・・・こんな恥ずかしいセリフを動じず演じるなんてな・・・」

「声優である以上どんな役でもできないといけないわ」



「ちっ上から目線だが言ってることは正論だな・・・」

「それはどうも・・・・・ところでずっと気になったのだけど、貴方あのマネージャと付き合ってるのね・・・」

「ああ・・・・そうだけどなんか文句あるのかよ!!!」

「彼に恋人がいようとわたしにはこれっぽちの好意はないわ。あるとしたらそれ以外の感情な」

「ならなんで、興味ないやつを自分の部屋に誘おうとしてんだよ?はっ・・・さては下心でもあるんじゃねぇのか?そんなことしてもミヤはそんなことしても動かねぇぞ」ボン

なにやらあらぬ妄想をし乃希亜の顔は突如として赤く火照り出した。



「人の話聞いてたの?・・・あの時は本当に生き詰まったから仕方なくよ・・・」

「お前本当は、他の人間と接したかったんじゃないか?」

「・・・・」

ふだん文句口調で返答する彼女は図星をつかれたように無言になっていた。





「そうかもしれないわね・・・・けど、これは他の人には言っちゃだめよ」

「なんでだよ。素直になればいいだろうが」

「そうはいけないわ。このままじゃわたしのプライドが許さないのよ・・・・」

「ちっ」

乃希亜はあまりにも理解から遠い言葉で間が抜けて舌打ちをしていた。そして静かに語る。





「・・・・・・・オレも・・・一か月前は、お前と同じだった・・・オレは人から恨まれることがよくあって周りを巻き込まない一心で人との関りを避けてきた。だけど、とあることがきっかけで、オレの秘密を知ったとしてもあいつは受け止めてくれた。だからあいつのことが好きなんだ。だからお前も静かに受け止めた方がいいぜ・・・・・」

「・・・・・少し考えてみるわ・・・」

乃希亜は寧々とは環境が違うがそれなりに境遇が似てるので、彼女が下手な維持を張ってるのはなんとなく理解はできていてその同時に後悔も覚えていた。



もっと、こいつのことを興味を持ち勇気を出して声をかければ、親友になれたのではないかとかすかに思ってしまったからだ。それは向こうも同じかもしれない。





「なぁ・・・・チュッパチャップスいるか・・・味はなんでも・・・・いいよな?」

「いいわよ・・・なら酢昆布もどうぞ・・」

「ああ・・・・サンキューな・・」

二人はお互い好きなものを好感し、そのまま一夜を過ごした。






「ところで、入浴後は適度に運動したいのだけどここでスクワットしていいかしら?」

「他所でやれ!!!!!」

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