おにいちゃんはなにやらマネージャさんの仕事をやるらしいですよ 2
こそこそ・・・・・・
「ねぇ・・・・・マネージャ・・・・さっきから気になってるのだけど気持ち悪い動き止めなさい」
「気持ち悪いだと・・・・なにを言ってるんだ。俺は、アンタがスキャンダルにならないように、こうやって周囲の様子を警戒してるだけだ・・・」
「どうみてもゴキブリにしか見えないわよ」
・・・・・・・・いや俺的にはスパイ映画の如く壁に背中を合わせながらコソコソと忍んでるつもりだったが・・・・・冷静に考えたらゴキブリだな。
「そんなことしたら余計目立つわよ。ここは、わたしの祖母の友人が管理してるマンションだから大げさな事をしなくていいわ。逆にその格好だと警察に通報される可能性はあるけど・・・・」
「マジか・・・・」
それを聞いてか俺はすぐに壁をはなれ寧々の近くに戻った。できればそれを案内前に言って欲しかったんだけどな・・・・・
ともかく俺は言われた通りに平然に彼女の後を追い、そこに飾っている高級な生け花があるエレベーターを使い上に上がるのだが、後から仕事帰りのおじさんが入ってきておりその外観はどっかの大会社の重役のに見えるくらい見るからに高そうなスーツを着ていており、どうやらこのマンションの住人だろう。
そのおじさんは俺達の方を見ると軽く挨拶していて、その後は先にエレベーターを降りて行った。
流石高級マンションだけあって気品がありそうでどう見ても場違いのような気がしてならなかった。
「今のも知り合い・・・見るからに」
「ええ・・・5階の丸山さんよ・・・・確かどこかの製薬会社の重役をやってたらしいわよ」
「それにしても顔なじみだな・・・・・ええ、学校に通学する時はよく会ってくれてわたしを応援してくれるのよ」
「ふ~~~~ん」
チーン
何事もない話を終えた後、どうやら彼女の階に着いたよう。そこは最上階の一つ下の階のようでそこの最奥に向かう。
「ここよ・・・・」
「失礼しまーーーーーーーす。・・・・・・・って広っ!!」
部屋はオートロック式のようで部屋の中を開けるとそこは、まるで一流ホテルの一室のようなただ広い部屋で、そこに置いてあるインテリアもなにやら壊すと莫大な金を支払いそうな雰囲気を感じなによりとてもいい匂いがして綺麗だった。
というか・・・・・いくらなんでもこれはちょっと凄すぎじゃねぇか・・・・・
いくら彼女が人気のアイドル声優といっても、知名度はそこそこで、とてもここのマンションを借りる程の金を貰ってはないはずなのに・・・・
「家金持ちなのか・・・・」
「いえ、親はただの名前の知られてない会社員で・・・・・役職係長よ」
「係長って・・・・じゃあそのお金は・・・・・」
「さっきも言ったばかりでしょう。祖母の知り合いのマンションだからお金は払ってないわ・・・・」
「そう・・・・・・というか親は・・・・」
「ねぇ!!!さっきから、質問ばっかりだけど・・・・わたしは質問が嫌いなのは知ってるよね」
「いやそれは、アクセルのキャラ設定だろ?」
「それでもよ・・・・・・・わたしがアクセルが嫌いなのは質問をしまくるしつこい人間が嫌いなのよ・・・・・とりあえず今日は特別にその質問を答えるわ。高校を境に家を出てるから一人暮らしなのよ。これでいいかしら。とりあえず来客用の部屋に案内するわ」
そう、寧々は俺をその場所に向かった。その部屋はただベットと机だけがある殺風景な部屋だった。寧々によるとどうやら、俺の前にも、楽曲制作以外にも役などで行き詰まったときは男だろうと、部屋に案内するらしい。
ちなみに注意事項として彼女はこのような来客の為に部屋内だと常にスタンガンを携帯してるらしく、少しでも破廉恥行為をすると、容赦なく眉間にぶち込むと脅されたのだ。
『アクセル・・・・・・・変・・・・・・・身!!!!!』
「変・・・・・・・身!!!!!」ピン!!!
案内後は、さっそく新曲の制作をする為寧々は自前のギターを片手にならしながら、寧々が好きな仮面ライダーWのDVDを視聴してるようで、アクセルが変身するたびにハモってギター鳴らしていた。
かたや俺は、ルームサービスに頼むとなんだか高そうなので近くのコンビニで買った弁当を食べながら、ネットで今まで寧々が作った楽曲(キャラソンを含めて)方向性を考えていた。
なんせ、レコード会社からテーマは夏でしかも今までの歌とは全く違う方向性らしい。
公方寧々の持つ歌の特性といえば、その大人びたクールな声色と魅力的なポージングで、視聴を引き込ませるのだが・・・
そのイメージを脱却させるようだ。
つまりアイドルゲーでいうとクールキャラのアイドルが突然パッション、クール系のアイドルとユニットを組ませてその方向性の曲調を乗らなければいけないという事だ。
そういうことをすればキャラ崩壊で、イメージが崩れる可能性があるというのになぜそれを要望したか分からん。
せめてレコード会社側から協力は貰いたいが寧々はそれを却下するから余計に苦労する。
まったく面倒な事だ・・・
ピンポーン!!!
そんな時玄関側から、インターホンが鳴ってきた・・・・・こんな時間に誰だろう・・・・
「はぁ・・・・・・・・・・またなにか作ってきてくれたらしいわね・・・」
「誰?」
「ここのマンションのオーナーさんよ」
「オーナーってことは、お婆さんの知り合いか・・・」
「そうよ、とても世話好きでよく、ご飯の作り置きを持ってくるのよ・・・・」
高級マンション住のセレブでもこういう庶民の隣人のやりとりとは変わらないんだな。
「ともかくオーナーの話は長くてめんどくさいからその間お風呂の湯を入れてちょうだい」
「分かった・・・」
言われるがまま俺は、湯を入れる為に風呂場に向かい寧々は玄関に向かった。風呂場は先ほどの案内で場所が分かったのですぐに入れた。
そんな中玄関から寧々とそのオーナーらしい人の話が聞こえる。
「あらぁ、寧々さん今日は随分と遅かったザマスね。はい、今日は、ビーフシチューを作り過ぎたので、食べてくださいザマス」
「ええ、ありがとうございます。オーナーさんのビーフシチューはとても大好物だから楽しみです」
相変わらず寧々は、営業スマイルがさえているな・・・・・まさに魔性な女だな。
てか、それはそうと語尾にザマスってつく人初めて聞いたな・・・・
そんな語尾はまず、三次元で聞くのは初めてだな。まぁもっともそれ以上に語尾にザウルスやらゲソ~~をつけるやつが実際いたらただの中二病患者としか思えないからな。そういうやつがいたら真っ先に病院を進めるぞ。俺は・・・・
『・・・・・・・・・・・』
どうやら、寧々の言う通りオーナーの話は思った以上に長いようで、あれから20分以上も話してるようだ。あまりにも退屈なので、停止してる仮面ライダーWから適当にチャンネルをかえて適当に時間を潰すことにした。
ブルルルルルルルルルルル
ん?だれから電話だ・・・・・・そうスマホを取ると乃希亜から電話が来たようで俺は電話をとる。
「もしもし」
『おいミヤ、お前、仕事が終わったんなら電話をかけろっつたろ。なんで連絡しねぇんだよ!!!」
「す・・・・・・すまん」
そういや乃希亜は昨日も電話をしてきて、寧々のマネージャの件はどうだったか心配して電話をかけて来たな。やっぱ俺の彼女はサイコー過ぎるな・・・
『まぁいいけどよ・・・・・それよりお前、ライブの仕事で那智田達と出会ったそうだな・・・』
「ああ・・・・・那智田に聞いたのか・・・・まぁ樹達がライブ行くから会うのは予想したからな・・・・・別にどうという事はねぇよ・・・・・」
『そっか・・・・・なぁミヤお前今家にいるんだよな?』
「え・・・・・・・」
今現在、マネジメントしてるアイドルの自宅にいるんだけど・・・・・それ口が裂けても言えねぇ・・・・
『公方のやつ疲れるだろ・・・・オレもよく事務所であいつとばったり会うけど、真面目で無口でおまけに人付き合いが悪いやつだろ。あんなのといたらストレスたまるだろ』
人付き合い悪いって・・・・・お前がいうのか・・・・
「なぁ・・・・明日あいつ休みだろ?ならよ・・・・オレと二人で・・・・デー・・・」
「なにをしてるのかしらマネージャ」
「げ・・・・・」
なんでこんなタイミングで戻ってくるの・・・・乃希亜の話とテレビの音が相まって気付かなかったわ。
『おい、今公方の声がしてんぞ!!!おいこれはどういうことだ。ゴラァ!!!』
「おい落ち着け・・・・これには理由は」
「貸してちょうだい」
事情を説明しようとする前に寧々にスマホを取られてしまった。
「もしもし、公方ですけど、申し訳ないけど、彼は今わたしのマネージャでプライベートな話は後でいいよね」
『はぁ!!!てめぇ・・・・なに言ってんだ。確かもうお前の仕事は終わってるのになんでミヤといるんだよ!!!』
乃希亜は電話越しでかなり怒っており、怒声がこっちまで聞こえてきた・・・・
「生憎ですけど今新曲考案の為にわたしの家にいるのでこれ以上邪魔しないでくれるかしら」
「おい、貸せ!!!邪魔してるのはそっちだろ。ミヤ・・・・話を聞け・・・・」
『ぶ・ち・こ・ろ・し・か・く・て・い・だ・な』ブツッ
そう一言言い残した後、電話が切れた・・・・・
完全に某レベル5のメルトダウナーさん並みにブチ切れてるようだ。
あれから電話やラインを送ろうとしたが乃希亜は完全に拗ねているようだった。
というより怒りで我を忘れてここまで来そうな感じがするけど・・・・
念のために松村さんに連絡を入れるか・・・・・
「ねぇ、なにをしてるのかしら、ほら、貴方も少しは案を出しなさい」
「それどころじゃない。黙ってろ。すぐ終わるからさ」
あの後、松村さんから返事を貰い、乃希亜に事情を話したようで納得は言ってると思う。
ただ乃希亜から一言連絡を貰ったようで、内容は
『もし、そいつの部屋で変な事したら絶対ぶっ殺すからな』と釘を刺されていた。
俺、そんなに信用されてないのかな・・・・・
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