おにいちゃんの姿が見えません。どこに行ったか知りませんか?

ようやく問題を解決し、俺は九頭竜に呼び出されたどり着いたのは松村さんの車だった、そして九頭竜はそこから救急箱のようなものを取り出し先ほど涼浦に受けた顔の傷に塗り薬で塗っていた。



「いてててて」


「我慢しろ!!!男のくせにめそめそしやがって・・・・静かに出来ねぇのか!!!」

言葉は荒々しかったが、言葉と裏腹にちゃんと俺の為に奉仕してくれた・・・・

このギャップマジでたまらないなぁ・・・・



幸いにも受けたダメージはそれほど大したことなしく塗り薬を塗る程度で終わったのが、その後俺は突然としてこいつのものと思われる原付に乗せられ、強引にヘルメットを被らせられた。勿論拒否権というのは無かった。








そして俺達は現在無言の中、この街灯輝く美しき都心にて、原チャリ二人乗り走行をしてるのだが、色んな意味で不安を持ってる。




第一に、そもそも高校生の身分で二人乗りしてもいいのか?

第二に、お巡りさんに見つかったらどうするのか?

第三に、補導されたとして、謹慎中で外に抜け出した俺の処遇はどうなるか?

第四に、そもそもこの原付壊れてなかったのか?

第五に、どこについていかれるのか?





こうも無言ではなにも進まないからまずどの質問をすればいいんだ・・・・




「おい、九頭竜・・・・」

「あ?うっせぇな運転中に話しかけんな!!!!死にてぇのか!!!」

怒られた・・・・そして無言のまま進み、気が付くと俺はここらで有名な夜景が見える有名な展望タワーだった。

そして、バイクに降りると手をつながれ、急ぎ足で走っていた。

「おら、早く歩けよ・・・・」





その手は、今まで何度も握ったことがあったが今回は今まで以上に優しい感じがし、今更だが九頭竜の周囲には化粧や香水でもしたかのように、甘ったるい匂いが感じをしていた。

俺が知らない間こいつは、ちゃんと俺に教わったことをちゃんと生かしているじゃないか・・・・・・・

というか今までそれに気づかない俺が一番恥ずかしい。なんで彼氏なのに彼女の変化を今さら気づくんだよ・・・・鈍感すぎて涙が出るわ・・・



そう悔やみながらも中に入り、九頭竜に二人分の料金を払ってもらってエレベーターに乗り、最上階に到着する。展望台付近には俺達以外にもカップルがいるので、さらに雰囲気を増していた。

そのせいであってか、心臓の鼓動も高鳴りが止まらない中、奥に進み窓から外の絶景に魅了される。







「うわ・・・・・・・すげぇ・・・・・・・綺麗だ」

「だろ・・・・・・お・・・・・おまえの為にちゃん・・・・・と探したんだ・・・・感謝し・・・・しろよな・・」

タワーから見下ろす夜の摩天楼もさながら、九頭竜の照れて目を逸らしてる顔もそれ以上に美しかった。





「おい、なんで、さっきから・・・・オレ・・・・・の顔を見るん・・・・だよ・・・は・・・・・はずかしい・・・だろうが・・・・」

この半泣きの状態で睨んでる顔がたまらない・・・

よし、決心して先に進むぞ・・・・今なら九頭竜もいいだろう。

ここが、俺達が先に進むにふさわしい場所だ。





「九頭竜・・・・またしてゴメン・・・・今までいろんなことで脱線してしまったけど・・・・・解決した今だからいえる・・・今なら乃希亜・・・・って呼んでもいいか?」

プッハハハハハハハハハハ




なんで笑うんだ。俺変なこといったのか?





「何かしこまってんだ?すでに付き合ってるんだから、下の名前で呼んでいいだろ?ミヤ・・・・・」

ミヤ・・・・・今自然と照れずに行ってくれた。いやそれどころか名前呼びで照れてないってことはもう俺の事を慣れたってことでいいんだな。






「ここなら・・・・お前との空間を邪魔されないだろ・・・・」

「はい?・・・・・」

「オレがなんでお前をこんな所で呼び出した理由気になるなったんだろ。ほら、アニメとかのこういう大事なシーンは、いいタイミングで部外者に邪魔されるんだろ。この秘密を知ってんのはオレ達と松村のオッサンくらい・・・・最高だろ」

松村さんは別に入れなくていいだろ。その二文字で雰囲気がぶち壊しになる。

松村さん・・・・・今の発言ごめんなさい・・・・






「それにお前前に行ってただろ。オレの原付は乗りたかったて言ってたよな?あの後オレ・・お前の為にぶっ壊れた原付ちゃんと修理してお前と一緒にこの綺麗な夜空が見える運転がしたかったんだ・・・・・・・それが今、こうして願いがかなった。どうだった?運転の居心地は?」

「どうって言われてもな・・・・・・長年、運転してないだけあって、少し、ふらふらしてたな。それなら姉ちゃんのテクのほ・・・・」

「こんな大事な場面で、姉のこと話すんじゃねぇ。ぶち殺すぞ!!!」



お前こそ、さっき叔父の松村さんのこと話してたよな。それはOKなのか・・・





「たく・・・・・お前は、いつもいつも、ふざけたことしやがって・・・謹慎のことも勝手になりやがって・・・・こっちがどんだけ心配し・・・ん」

さっきの反省を消し去る為に・・・・話してる最中に俺は、この絶景の景色の元、無言で、口元を奪った・・・

乃希亜は最初動揺し、軽く抵抗をしてたが自然と・・・大人しくなった。





これが初めてのキス・・・・・・・すごく生暖かい・・・・・・今まで17年間生きてた中でこんな感触を味わえるなんて幸せだ。

これが永遠に続くように静かに抱きしめる。

その感触はとても今まで数多くの不良を叩きのめした体型と思えないくらい細く柔らかくてどこにそんな筋肉があるんだよと疑問に思ってしまうくらいだった。







「んん・・・・・・・・・・ん・・・・・・ぷはっ・・・・あ・・・・・・ああ・・・」

しばらくして口元を話すと、顔がトロ顔となって口を開けたまま、よだれがダラダラと垂れてとても、いやらしかった。

それに加え両目には涙腺が流れていて、メイクが徐々に落ちていたが、それでも俺の彼女はどんな姿でも絶品だ。

さらにもう一度しようとするが、その直前乃希亜は最後の力を振り絞り片手を振りほどき俺の口を防いだ。






「やめろ・・・・・・・・・今は、止めてくれ・・・・・もう充分だ。お前の気持ちは分かった・・・・」

「すまん調子に乗った・・・・」

「いいんだよ・・・・・・お前にもこんな男気があったと思わなかっただけだ・・・・けどな、このオレを生意気に口を奪ったんだ。これだけは守ってくれ・・・」

そのとろけた顔で興奮し息がぜぇぜぇと荒げながらそう答える。




「今回の件、花沢と涼浦の件、内心だけど、少し嫉妬な気持ちが高まってイライラしちまった・・・・だから・・・・・・だからぁさっきみたいに困ってる人を助けるのはいい。だけど、お前の恋人はオレだけで充分だ。これだけは誰にも譲れない」

「何言ってんだ。俺が愛してるのは、世界で一人お前しかいないだろ・・・・・」

「ならもう一度、軽く、キスを・・・・・・・ん・・・・」

もう一度再び口づけをした・・・・・・・

俺達二人を祝福するのは誰でもない、夜に輝く夏の星と、外に輝く都内の景色のみだ。




この出来事は、後の人生で一番心残りになるはずで一生忘れない宝物になりそれと同時に新しい一歩の前進だった。

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