二章 煩悩スパイラル

生まれ変わったおにいちゃんの朝は早いです

長いようで短かった六月も残すところ数日に終わる最後の火曜日、季節は昼夜を問わずエアコンが無ければまず生活ができない都内のとあるマンション俺は、欠伸をしながら台所に立ち、冷蔵庫に余ったおかずと冷食を駆使しながらと俺と姉の分まで作るのだ。ちなみに今日の三、四時間目に調理実習があるのでご飯はいつも以上に減らしておくことにする。

時間は朝の六時前、普段の俺ならこの時間帯は深夜までやり続けたエロゲの疲れを癒す為に深い眠りについているのだが生まれて初めて彼女が出来て生まれ変わった俺は違うのだ。

その彼女を脳裏に浮かびながら俺はエロゲソングを鼻歌で歌いながらリズムよく作る。





「ふん~~~~~ふ~~~~~~ん」

「ふぁ~~~~~~~。都、最近早いなぁ~~~~~~」

「おう、姉ちゃん、もうすぐ出来るよ」

姉ちゃんは寝ぐせで髪が経ちながらもモデルの仕事をやってるとは思えないくらいの眠たそうな顔をしながらリビングに立つ。まぁ普段姉ちゃんはこの時間帯は普通に起きて朝食を作るからなんの不思議はないけどな。

姉ちゃんは寝起きに冷蔵庫から牛乳をとりコップ一杯注ぎ込みそれを一気飲みする。






「ん~~~~~~~目が覚めるな~~~~~~~おい、やっぱり今日も早く行くのか?」

「当たり前だろ。彼女が出来たおかげで俺は生活習慣が変わったんだ」

「なんでお前があのチンピラと付き合ってるのか理解できないなぁ。目の前にこんな美人の姉がいるのに・・・・」

「今の姿鏡を見て言えよ。めくそがついて髪くしゃくしゃだぞ。それに最終的に姉ちゃんだって俺の恋を協力してただろ?」

「なんのことだか・・・・わたしはお前が喜んでたらそれで十分だ。」

「たく、素直じゃないな・・・・・・」

普段はブラコンの姉だけど、意外にも俺達について遠くから見守っているからな。





「とりあえず、今ベーコンエッグができるから・・・・・・」

「それより、お前なにか忘れてないか?」

「なに?」

「お目覚めのキスだろ?ほらほっぺにキスをしてくれ。お前が早くいって寂しいからからせめてキス跡だけでもお前の事を浸ってたいんだ」

この姉をまともと思ってる時点で間違っていた・・・・・・やはり俺事しか見てないなこのバーサーカーは。







あの後姉ちゃんのキスの誘惑を軽くスルーし俺はいつもより早い時刻の電車に乗る。いつもより早く乗ったので満員は逃れて助かる。なんせいつもはぎゅうぎゅうに詰められるから登校前にストレスがたまるからな・・・・・

早起きも悪くないな・・・・

で、なんで俺がいつもより少し早く家から出てるのというと学校前に俺は彼女の家によることを日程に含んでいるのだ。




俺の彼女は九頭竜さ乃希亜・・・・・目つきが悪く喧嘩早くいい噂がないうちの学校一評判が悪い不良・・・・

一か月前なら、あいつと付き合うことは想像できなかったよな。

なんせあいつは隠れエロゲ声優だからな。それが無かったら今でも他人だっただろう。そのおかげで初めはファンとして迫ってたが自然と彼女に魅かれいつしか本当の恋人になることができた・・・・



彼女と本当に付き合ってもうすぐ一週間が経つ未だに手を握るしかできない奥手だけど・・・・・ゆっくり進展すればいいだろう・・・・

そう思ったら彼女の前に着いた・・・・・





「・・・・・・・・」

しかし着くのはいいけど、絶対怒るだろうな・・・・・・

なんせ昨日と先週の金曜日だって同じ時間に家の前に来ると・・・・胸元丸見えのパジャマ姿で

『てめぇ!!!!まだ着替えてねぇのに勝手に来るんじゃねぇよ!!!ぶっ殺すぞゴラァ!!!』

と顔を赤くして怒るからな。これがあいつなりの照れ隠しなのだけどもこうも何度も同じ時間で来るといつか本物の鉄拳が飛び込んでしまう恐れがある・・・・

と、不安になりつつも俺はこの前と同じようにインターホンを押す。

ピンポーン





「・・・・・・・・・あれ?」

おかしいぞ?いつもならドタドタと音を立てながら飛び出して来るのに反応がないぞ・・・・・今日はなんかおかしいぞ・・・・

そう思った時ゆっくりと玄関の扉が横に開きそこには俺を待ってたが如くすでに制服に着替えていており、俺の顔を見ると真っ先に手を伸ばし制服の腕の袖を引っ張た。




「大河・・・・・・・やっぱり来てくれたのか・・・・・」

「おはよう九頭竜。あれお前どうしたんだ?」

「あ?んだよ・・・・・なんかおかしいかよ・・・・・」

オカシイも何もなんでいつも以上に活気がなくなんで暗めなんだよ。

なんか調子が狂うな・・・・




「お前の事をずっと待ってたんだよ。昨日や先週怒鳴ったから・・・・・今日は一緒に登校できないと思ったら不安になったんだよ」

「はい?」

「ほら、突っ立てないでサッサと行くぞ・・・・・今日も行く前にコンビニ寄るけどいいよな?」

「そうだけどお前今日が調理実習ってこと忘れてないよな・・・・・」

「うっせぇな。今日はまだ飯食ってねぇからサンドイッチとチュッパチャップス買うだけだよ。ほら手を寄越せ」




その時九頭竜は今日はいつも以上に積極的でいきなり俺の手を握り指を絡ませているのだ。

なぜいきなりそれを・・・・




「お・・・・・おう・・・・・・だけど」

「なんだ?まだなんかあんのか?」

「お前のその握り方・・・・」

「握り方?お前今まで勝手に握ってるじゃねぇか?今度はオレがエスコートさせろ」

「そうだけど・・・これ恋人握りじゃ・・・・」

「な・・・・・・何言ってんだ。オレ達すでに・・・・・・こ・・・・・・こい恋人・・・・・・ふだろ?」

「う・・・・・・・」ドキッ

やめて・・・・・そんな似合わないウルッとした目で俺を見ないでくれこっちまで・・・・嬉しく思うじゃないか・・・・





「おい!!!なんかないのか?」ぐぐぐぐぐぐ

「いたっ!!!いたいいたいいたい。そんなに強く握るな馬鹿力。なんで怒ってるんだよ」

「お前が、さっさと答えないのが悪いだろうが・・・・」

「分かった分かった。答えるぞ可愛い・・・・・」

「な・・・・・・いき・・・・・・いきなりなにを・・・・・」

「いたたたたたた・・・・だから強く握るな・・・・・・・手が潰れる・・・・」



「ははっ」

「どうしたんだよ・・・・」

「なんでもねぇよ・・・・・少し心が軽くなった・・・・・」

????九頭竜が今何を考えてるのが分からないが・・・・その握り方のまま登校するなかで・・・・・さっきまで弱気だった彼女がいつものように自信を取り戻していった・・・・




だけど、その反面、同じ学校の生徒にその光景をちらちらと見られるのがめっちゃ恥ずかしい。




そりゃ学校一の不良が男と恋人つなぎをして歩くとか、他人からしたら事件だからな・・・・

九頭竜はその視線をなぜか気にならないのだが・・・・・俺はとても恥ずかしすぎて逆に腹が痛くなってきたぞ・・・・・




まぁ慣れるまでしょうがないか・・・・・・




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