アルバイト頑張ってください

あの後九頭竜と何度も話す機会があったが、何度も心配すんなと根拠がない事を言ってたのでまともに取り合ってくれなかった。俺はそう心配しながらも学校を終えバイトに入る。





俺のバイト先は、とある飲食店のチェーン店のホールスタッフだ。最初は、料理の盛り付けの裏方の仕事をしてたが人手が足りないときは接客に回ることが何度かあったせいか店長が『お前顔はそこそこいいし、礼儀がいいから明日から、ホールな』と軽げな発言で接客にシフトしてしまった。

まあ、自分的にはコミュ力はそんなに低くないと思うし、初対面の人にはそんなに緊張しないから別にいいけど、個人的にはこういう、声を上げたりするうるさい仕事は苦手なんだけど、ここは他の飲食店と比べて時給+50円くらいいいからエロゲを買う資金を少しでも稼ぐためなら別に抵抗はなかった。



それに最近は少しは気持ちが楽になったと思う。なぜなら先月からざーさんとその友達の那智田優子と立野蓮が俺の紹介でバイトに進めたから少しは気が楽になった。(人数が増えたとはいえ、盛り付けには戻れなかったけど・・・・)

なぜざーさんが入ったのはというと、高校せいらしく友達と一緒にバイトしながら青春を謳歌したいというのは建前で本当は俺と同じくエロゲを買えるくらい稼ぎたいと頼まれたから進めたのだ。





「ありがとうございました~~~~~」

「またね、みやちゃん。また会いにくるね」ホホホホ

現在俺は、ご機嫌な常連のおばちゃんを苦笑いしながら見送った。どういうわけか俺は年配のご婦人の中では人気があるようで俺目当てで来るおばちゃんもいるようだ。

たぶんここは女性と比べて男性従業員は少なくその中で一番俺が若いから物珍しく来るのかも知れないが某中高年のアイドルみたいにチヤホヤはされたくないのだ。





「おーーーーーい、大河君もう上がっていいよーーーーー」

「はい」

時計を見るとすでに9時になり俺は更衣室に戻る。

俺のバイト時間は基本この時間で切り上げる。まぁたまに30分くらい延長されることもあるが、今日は結構疲れたしなにより姉ちゃんに帰りが少し遅くなると連絡しなければいけないから余計に面倒だ。


うちのバイト先は休憩室の奥に男女別の更衣室があり、俺は、男子更衣室に入る為一度休憩室に入るのだがそこにはざーさんが休憩室でファッション雑誌を読んでおり俺が来るのをみるとビシッとポーズをとる。

あれ?なんでざーさんがいるんだ?いつもは十時くらいまで友人とやるはずなのに・・・・




「お疲れ~~~~」

「ああ、ざーさんお疲れ、珍しいなざーさんが残業しないで」

「うん、今日はちょっと疲れたから途中で切り上げたよ」

「いつもなら休み前なら残業するのにか?」

「まあもう、腰を使いすぎて下半身がガクガクですよ・・・・・」

「・・・・・・」

いつもの突如出る下ネタワードを軽く流し俺は更衣室に入ろうとするが、ざーさんに呼び止められる。






「ねぇ、着替えたら一緒に話しながら帰らない?」











着替えを終えた俺は駅まで途中まで一緒なのでこの前のように話しながら帰った。



「大河君今日の事、ギンカが余計こと言ってゴメンね」

「なんでざーさんが謝るんだ?あいつの暴言は今に始まった事じゃないだろ?」

「今回は九頭竜さんのことを含んでだよ。目の前に彼女の悪口を言われたから気分を悪くされたのかと思って」

「確かにあれはちょっとイラっとしたけど、もっとイラついたのは、九頭竜のことかな?」

「なんで?」

「だってそんな大事なことを彼氏である俺に言わないんだよと内心思ってしまうんだ」

本当はその付き合ってることは偽物なんだけどそれでもあいつには直接言って欲しかったな。

あいつは普段から粗相が悪く皆から嫌われてるが、あいつが俺の推し声優だとしったからには少しでも役に立ちたかったのだ。






「勇気あるね。大河君・・・・・・ところでもう一つ聞きたいけど、九頭竜さんとどこまでしたの?」

「ぶっ!!!」

さっきまでシリアスな雰囲気だったのにここで下ネタ発言くる?ホント油断できないな・・・・







「なんで突然。そんな・・・・」

「いや、気になるでしょ。いつも私達のグループではカップルが出来た時は必ずいう事だから・・・・」

なにその、リア充の通過儀礼?




「優子も蓮も彼氏がいるのになかなか教えないから、男の大河君なら普通に言ってくれるかなと思って」

「言えるわけないだろ。こっちは付き合ってまだ二日目だぞ?というか那智田と立野彼氏がいたのか?」

「うんいたの?もしかしてその二人を狙ったりとか?」

「ちげぇよ。そういうざーさんはいないのか」

「いやぁさすがに彼氏は二十歳になってからかな?」

そんなお酒みたいな感じでいいのか?お前、高校せいらしく青春を謳歌したかったって言ってなかった?






「あと、意外にギンカもいないはずだよ」

「意外だなあいつビッチなのに・・・・・いやビッチだからとっかえひっかえが激しいのか・・・・」

「そこまで言う。一応私の友人だよ。銀華は確かに夜の遊びも激しそうに見えるけどけど意外と下ネタ発言には弱いから・・・・だからギンカといる前はできるだけ下ネタを抑えるよう努力してるから」

え?これマジ?



「それより、どこまで九頭竜さんと行ったか教えてよ?」

「だからまだだって言ってんだろ?」

「おう、弟、お前こんなところにいたのか?」ブロロ

「姉ちゃん!!!」

そんな時偶然にも目の前には自前のバイクのエンジンを響かせながらヘルメットを外した姉がいた。




「なんでこんなところに」

「決まってるだろ。帰りが遅くなったお前の迎えだよ。さっき店で店長さんがお前が帰ってと聞いたから戻ってきたんだよ」

どこまで心配なんだよこのブラコンは・・・・





「あの・・・・・」

「ん?君は?」

「わたしは、大河君のクラスメイトでバイト仲間の花沢です」

「見るからに礼儀が良さそうじゃないか。どっかの自称彼女のチンピラとは大違いだな」

確かに見た目は地味だけど、下ネタ激しいぞ。





「あの・・・・大河君の姉といったらあの『Micuni』さんですか?」

「一応そうだけど」

目の前にいるのは、女子高生の憧れの人物がいるのを確認するとざーさんは顔を沸騰しカバンからファッション雑誌を取り出しあるページを開く。それは姉ちゃんが写ってたページだった。






「うわぁ~~~~~本物だ。いつも『Micuni』さんの服装とメイクは参考になりますし、SNSも拝見しています」

「あ・・・・・・ありがとう」

「それでお願いがあるんですけどいいですか?」

「弟が世話になるからいいよ」

「あ・・・・・ありがとうございます。それでお願いですけど、わたしの友人が『Micuni』さんの一番のファンですけど連絡先に入れてくれませんか?」

「私はいいけど、弟はどうなんだ?」

姉ちゃんは俺の顔を見る。まぁ・・・・涼浦は嫌いだがざーさんがそばにいるからいいか?





「別にいいけど・・・・」

「なら決定だ。なんなら君も教えてくれ」

「いえ、私はいいです。会ってくれただけで満足です」

姉ちゃんとざーさんはお互いのスマホを取り出し鈴浦の連絡先を交換した。





「これでいいか」

「ありがとうございます」

「ざーさん」

連絡交換を終えたざーさんを俺はこっそりと話す。





「もしかしてにお姉さんがギンカと連絡を交換するの嫌だった?」

「いや、別に・・・でもなんでそこまでするんだ」

「それは、友達だからに決まってるでしょ」

実に超シンプルな答えだった。でもその性格のよさがみんなを寄せ付けるんだな。






「ほら、お前ら姉の前でイチャイチャするな。するなら許可取れ」

「なにもしてねぇよ」

「ならサッサと帰るぞ。乗れ」

姉ちゃんはそう言うと、予備のヘルメットを投げ、俺は後ろに乗る。




「じゃあな。ざーさん」

「うん。また学校で」

お互いに手を振った後俺は姉ちゃんにしがみつきバイク音を響かせ家に帰った。




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