おにいちゃんにはいいお友達がいっぱいいます

「おい、都持ってきただろな」

「ほらよ」

「サンキューな」

「ははっ好きだねエロゲ・・・・」

「馬鹿っ、声が大きい」

「ごめん」

九頭竜のお陰でなんとかカバンの中を見せずに済んだ俺は、なんとか教室に向う。


するとすでに仲間がいて俺は周囲に気づかれないように友人にエロゲを渡すことにした。

ちなみに、エロゲを渡した方の名前は、木野原樹きのはらいつきで、出会いは高校からの付き合いのエロゲ仲間で、緑溢れる爽やかな名前に反し、浅黒い肌で太眉のみるからに暑苦しそうな顔をし、女にモテなさそうな顔をしているのがそれだ。しかもそれに加え見るからにスポーツしてそうな肌をしてるがものすごいインドア派で学校やバイトや俺らと遊ぶ以外はほぼ部屋の中でエロゲをして家に引きこもっている半ニートだ。







で、もう一人の爽やかな優男の方は沖宗介(おきそうすけ)俺の小学からの幼馴染だ。こいつも樹と同じ見た目で判断できないやつで見たとおり体が細く病弱そうな白い肌をしてるが、これでもスポーツ万能で、部活では剣道部のレギュラーの有段者だ。

エロゲの知識はにわか的な感じだが、それでも分かるように努力はしてるようだ。



それに、自分では気が付いていないが非常に童顔のせいか校内では人気らしい。確か樹の調べによると宗介は、校内美少年ランキングのトップ3に入り、しかも、可愛がりたい、女装が似合う、掘りたい男子部門では三冠を取るほどのイケメンだ。なんでエロゲに興味ないくせに俺らと関わってるのは不明だがあいつがいいのならそれでいいだろう。

で、こんな感じ様々な個性があるのが俺の友人だ・・・・・・あ、あと一人いるのだがそれは後で話すとしよう。





「で、みゃこ今回のエロゲはどうだった?」

「う~~~~~んそうだな。ハッキリ言って・・・・・・・カスだな」

「な・・・・・・・なんだとふざけんな。お前の為にせっかく貸した俺の大作に向かってカスとはなんだ。説明しろ!!!!!あれには妹萌えのお前好みのゆあちゃんがいただろ。お前彼女の最後までルートやったのか?」

「ちょっと、樹、声が大きいって周り聞こえる聞こえる・・・・・・」

「・・・・・・・」

宗介がなんとか興奮してる樹をなだめていたので俺は、話を続ける。




ちなみに俺が奴から借りたエロゲは『ドメスティックラボ』まぁ簡単に言うと、複数のヒロインに主人公がラチられ、SMプレイをされてしまう。変態的なドMな樹にはたまらない作品だろう。俺にとってはハッキリと言って汚物と同類な作品だ。





「確かに、ゆあちゃんルートは、序盤はかなりイチャイチャ出来て良かったよ。でも途中からキ〇ガイのクソ女にラチられて主人公を絶望させるために、足蹴りされて、お腹をカッターナイフで傷つけようとしたじゃん」

「でも未遂だろ。あの後クスリで眠らして一緒に監禁されたからセーフじゃん」

「よくねぇよ。あと、なんだ?あのメンヘラ焼肉女のルート?あれやったらゆあちゃん、普通に拷問されて死んでるじゃねぇか!!!よくもまぁそれを俺に貸そうとしたな。誰が、鬼畜系エロゲを貸せと言った?俺は妹とイチャイチャできるほのぼのな奴と王道の戦記ものと偉人の女体化するエロゲがいいの。妹がいるからって適当に進めるんじゃねぇよ」

「お前、まさか・・・・・・焼肉ルートやったのか・・・・・・てっきり妹ルートしかやってないと思ってたのに・・・・・・」

「お前死ねや!!!!」

「んだと、最近事あることに俺に突っかかってきてよ。そんなに不細工の俺をいじめたいかなぁ。そこそこイケメンな都君よ」

「俺はイケメンじゃねぇよ、なに妬いてんだ?」

「イケメンだろ?お前の顔は普通にBLゲームで6番目に人気取れそうな顔をしてんだよ」

「どんな顔だ!!!!今まで自分の顔を見て来たけどそんな事全然思ってねぇよ!!!!」

「ちょっと待ってよ二人共朝っぱらから白熱しすぎおかげで丸聞こえだよ」

ざわざわざわ

しまった。俺はつい勢いに乗って樹につかみ合って暴走してしまった。そのせいで、周りがざわついている。






「あの・・・・・・・ちなみにどこから白熱してた・・・・・」

「え~~~~~~と『妹がいるからって適当に進めるんじゃねぇよ』からかな?」

「ならいいや・・・・・」

「いいの?」

「ああ。最悪エロゲの話は聞こえてないから大丈夫だ」

「でも・・・・・・お前が妹萌えなのがおもっくそバレたぞ」

別にいいんだ。エロゲがバレなければどうということはないんだ・・・・・・






「ところで一つ聞いていいか?今日確か校門の前で、山垣に持ち物検査されてたんだろ?よくバレずに持ってこれてな・・・・・俺がいうのもなんだが、あのパケ絵は、言い訳できんだろ」

ちなみに『ドメスティックラボ』のパケ絵は監禁ヒロイン五人が狂った顔で主人公の人形を鎖で縛って引っ張り合ってるというかなりサイコパスなやつだ。俺も初見で見た時は、こいつのことを軽蔑するくらい引いてたわ。







「それはな、校門に通る時、九頭竜がいたんだよ」

「九頭竜さんが?」

「そ、そいつが教師の気を引いたおかげでなんとかバレずに済んだわけ・・・・・・」

「おいおい、もうその話はやめとけって、もう九頭竜来てるぞ」

「まじか!!!」

樹の言葉で後ろを振り向くと、噂の本人の九頭竜が入ってきた。さっきの話はコソコソと話してたので、当の本人は聞こえなかったと思うが、九頭竜は先ほど持ち物検査をされたせいで非常に機嫌が悪そうだった。

そしてクラスに九頭竜が来ると先ほどまでにぎやかだったクラスはお通夜のように静まり返りチラッと彼女の方に目を向けていた。







「ん!!!!!だよ何見てんだよ!!!!!!ゴラァ」ドガン!!!

最高に機嫌が悪い九頭竜は教室にある掃除道具を入れたロッカーを思いっきり蹴り上げ、それを響かせた。うわぁ朝からかなり荒れてるなあいつ・・・・・・






「ちっ!!!!!」

九頭竜は大きく舌打ちした後に、自分の席に座る。最悪なことにあいつの席は俺のとなりだから、ちょっとでも振り向くと絡まれそうだから、俺はHRを含めあいつがいる時は既に仏のように無になっていた。





これもただ静かに過ごしたい為だ・・・・・








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