奇能生譚

あっと

第1話 奇能

やっと暖かくなり、桜も咲き、春らしくなってきた4月の新年度。

何もなく平凡な中学三年生の新学期・・・な、訳もなく私はとある問題に悩んでいた。それは、進路についてだった。

『進路って言ったってまだ中学生だし、やりたいことなんて見つかんないし・・・』進路については私は中学生に入るころから考えていたけど、何も進まず決まらずだった。

『そういえば・・・クラスメイト減ったな・・・奇能きのうを発症したのかな・・・私も他人事じゃ無いけれど。』

この世界には未だ理解されていない能力、病気がある。それらを発症した者たちは、奇能の者たちだけが住む病棟へと隔離される。隔離された者たちは死ぬまでそこを出ることを許されない。

私だって他人事では済まされない。兄が去年その病棟へと隔離になったのだ。

兄が発症した能力は未来逆転。自分自身が想像した未来とは逆の未来になってしまうという能力だった。危険度が高い能力で、病棟s棟に行くことになった。

能力は国に害を及ぼすかどうかで決まる。兄の場合、想像したものとは逆の未来になってしまい、最悪の場合国が崩壊するとのことで厳重なs棟へ行くことになった。けれど、s棟が一番危険度が高いのではない。もう一つ上があるのだ。

それはv棟。国が隠すような能力だったり、人に無差別にうつしてしまう病気などがある。

『兄と血縁者だからって別になるとは限らないし・・・』

『そういえば嘉志がいないな・・・』

嘉志は私の友達のような人で、会えば話すぐらいだけど・・・

嘉志は綺麗な青い目で紺色の髪の毛でスポーツ神経がとっても良くって、バスケが好きなけっこうモテる。そんな嘉志を中学校に上がる前から好きだった。けれど、絶えずいる彼女は自分よりも可愛いし、スタイルいいし、似合ってる。だから、気持ちなんて一回も伝えたことはなかった。

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