暗闇の中で・・・

勝利だギューちゃん

第1話 出会い

目が覚めた・・・

今が朝か、夜かも、わからない・・・


ここは暗闇・・・

光の届かない世界・・・


でも、空気だけはあるようだ・・・

呼吸にはことかかない・・・


でも、立ち止まっていても意味がない・・・

歩こう・・・

コトッ

足元で音がした・・・


石ころでも蹴ったか・・・


「誰かいるの?」

気のせいか、女の子の声がした・・・

「ねえ、誰かいるの?」

答えていいものか迷ったが、不安させてもいけないので、

返事をした・・・


「うん・・・ここにいる・・・」

「よかった・・・あなたはだれ?」

「僕は、有田修三・・・君は?」

「私は、鈴木啓子・・・よろしく」

「こちらこそ・・・」

丁寧に挨拶して、照れくさくなるが・・・


「鈴木さん・・・でしたか・・・ここは、どこですか?」

「あなたも知らないの?」

「うん。もしかして、そちらも?」

「ええ、私も知らない・・・ただ・・・」

「ただ?」

意味深言葉に、耳を傾ける・・・


「私は今、あなたの・・・有田くんの、近くにいるわ」

「近くに?」

「そちらも、暗闇で何も見えないでしょ?」

「うん」

「手を差し出してみて・・・壁にふれるから・・・」

恐る恐る手を差し出した・・・

確かに壁に触れた・・・


「壁があったよ・・・」

「今、壁をはさんだこちらに、私はいるわ」

「そうなん・・・だ・・・」

でも、暗闇ではわからない・・・


「大丈夫・・・もうすぐ目がなれるから・・・」

暗闇でもじきに目がなれると言うが・・・


確かに、少しずつ見えてきた・・・

どこかの洞窟のようだ・・・

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