第21話 輝く氷は大輪の蓮のごとく
火弥の手からは、既に扇子は無く、並んで立っているメンバーの中に何事もなかったかのように戻った。そんな彼女と流れるように入れ替わって前に出たのは、水琴だった。若干呆れた様子で頭を抱えている。
「火弥先輩、前から思っていたんですけど、もう少し火力抑えられませんか…? 後始末が大変なんですから…」
「いや、これでも抑えたつもりなんだけど…」
(あ、だから一番先に出たんだ…)
二人のやり取りから、優星は察した。水琴は堂々と、未だ火の粉がちらついている前方へ進んでいく。そして、両手を広げながら呟いた。
「"
彼女の呟きに呼応し、光が発せられたかと思うと、広げられた両手には、ガラスか氷で出来ているかのような透明な拳銃がそれぞれ治まっていた。現れた二丁拳銃をしっかり握り前方に構えると、水琴も叫んだ。
「
放たれた弾丸が前方へ何発も飛んでいくと、四方八方に大きな氷の蓮が咲いた。パキパキという音を立てながら、周囲の炎を消していく。完全に赤いものが見えなくなると、ふうっと息を吐き、優星たちの元へ戻ってくる。
「これが、私の"
「しょ、"ショウジンキ"…?」
「あぁ、その説明もまだしていなかったか。簡単に言えば、今二人が扱っていた武器の名前のようなものだ。その名前を唱えることで星神器が応え、扱うことができる、ということ。ちなみに俺はこの杖で、星神器名は"
そう言って手に持っていた杖を見せる李土。杖自体は特別変わったものではないが、持ち手の部分から、水晶の欠片のような飾りが垂れ下がっていた。そして残りの面々も、各々の星神器と能力を優星に披露してみせた。愛美はこの空間への移動にも使用していたペンデュラム・"
最後に沙月が大鎌を持ち前へ出る。沙月が戦っている姿は、飢幸餓との戦いで目にしているため、二度目はもう驚かなかった。
「私の星神器は"
「? "かな"って?」
「実は、沙月の星神器はまだ解明されていない点も多くてな。これといって正確な属性が分かっていないんだ。確定ではないが、近くて光属性だろうとされているんだ」
「そう、なんですか…」
(あれ…? 沙月の眼…)
天星人である皆は、力を使っている時は瞳の色が銀灰色へ変化すると李土から聞いていた。星神器を扱っているメンバーは、皆説明の通り銀灰色に変わっていた。だが、沙月が力を発動して星神器を持っているのに、彼女の"左眼しか"銀灰色に変わっていなかった。優星は一度訊くか迷ったが、きっと先ほどの説明でもあった、稀なケースなのだろうと、それ以上追及しなかった。
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