プラチナの星空

琴花翠音

第1話 一変する日常

──…どうしてこんなことになっているのだろう…


「早く逃げて!!」


 少し離れた所で、少女が叫ぶ。

 今、俺の前には、得体の知れない"化け物"が、此方に得物を向けて迫って来ていた。少女に言われた通り早く逃げたいが、足がすくんで動けない。腰も引けてしまい、足に根が生えたように体が硬直してしまっていた。


「ガぁああぁああああぁあっ!!」

「ぁ…あぁ…っ」

「銀条ーーっ!!」


 "化け物"は、言葉とも言えない叫び声をあげながら、もう目前まで迫っていた。少女はまた別の"化け物"と戦っているため、俺を助けに来ることもできない。一環の終わりだと悟った。

 ただただ平凡な日々を過ごしていたはずなのに、突然現れた化け物によって、俺の人生が終わってしまうのか、と。対抗する術も無いまま、腕を顔の前で交差した。


『何の意味も成さないくせに…』


 きっと化け物もそう思っているだろう。自分自身、何をやっているのだろう、と思わず苦笑する。

 そして、得物が俺を貫く寸前──…眩い光に包まれ、咄嗟に目を瞑った。


 これが、俺の日常が大きく変わる引き金だった──…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る