第23話 ガーデン召集
エレンが攫われたことでアールは気が気じゃなかったが、なんとか平常心を保ちモネットと共に本部へ一時帰還した。ガーデン全体でも、何とも言えぬ緊張感が漂っている。
大広間にメンバーが集まり、司令官であるセラヴィからの指示を待った。と、その時、マロウが何かに気が付いたのか、突然慌てた様子を見せた。
「みゅ? みゅう?…キュー! キュー!」
「どうした、マロウ?」
「キュー! キュキュー!」
「そういえば…ミントが居ない…?」
「みゅう…」
「まさかさっきので…エレンと一緒に連れて行かれたってことか?」
辺りを見渡すと、確かに、どこにもミントの姿が見えなかった。それを聞いたセイロンが、真剣な
「もしそうだとしたら、相当まずいぞ…ミュレーはもともと六大樹に巣を作って生息しているから、持ち合わせている魔力も、自然と大きいものになっているはずだ。エレンの力を狙っているのなら、ミュレーの力だって奴らの思うツボだ…!」
「っ…なんでこういう時に…!!」
「落ち着きなさい、みんな。だからこうして招集をかけたの。今回は相当大きな任務になるわ。それを覚悟して頂戴」
セラヴィの鶴の一声により、一同は気を引き締める。
「…いい? この任務は、手分けして行かないと、こなすのは難しいわ。みんなで協力してね」
そう言って、セラヴィがメンバーをいくつかのグループに分けていった。そこへ、セーラが遅れて入ってきた。
「アールさんっ!!」
「セーラ?」
「お姉ちゃんは…お姉ちゃんが連れて行かれたって…!!」
「あぁ…ごめん…俺の力が足りないせいで…今から、特別隊総勢力でエデンに向かう。必ずエレンを連れて帰るから…」
「あ…あのっ!…私も行きます!」
「!? 何を言ってるんだ! 危険過ぎる!」
「行かせてください…!」
セーラの意志は硬かった。姉の危機にも屈すること無く、自ら任務に赴きたいと言った。しかし彼女は、まだ十分な力を習得していない、その場に居た多くの者がそう思った。
すると、セーラを追いかけて来たロサートが、息を切らしながらその場に加わった。
「すみま、せん…! 遅くなりました~…!」
「ロサート…大丈夫か?」
「私はっ…大丈夫です…それより、セーラちゃんも、今回の任務に同行させてあげてください!」
「なっ…ロサートお前まで…!」
「あらあら…もう後には引けないわね…」
「セラヴィ? まさか…」
「いいわよ。今回がセーラの初任務ってことね。くれぐれも、周りが見えなくなって突っ走ることが無いようにね」
「…! ありがとうございます!!」
セーラは、アールとキミーのいるグループで行動することになり、出動前となると、緊張した表情で待機していた。そこでセイロンがセラヴィに訊いた。
「…大丈夫なのか? セーラはまだ訓練が必要なんじゃ…」
「もしそうだとしたら、ロサートが止めに来るはずよ」
「え…」
「彼女が慌てて来てまで、セーラの任務同行の許可を頼みに来たということは…開花した、ということでしょう?」
「それは…でもあまりに早過ぎないか…?」
「その点については、アールやキミーに見ておいてもらうわ。急なことで、セーラ自身、力の制御ができなくなる可能性だってあるもの」
「そう…だな…」
「とにかく今は、エレンを取り返すことに集中しましょう…ガーデン総勢力で、ね」
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