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 武城瑠音さま


 誕生日、おめでとう。

 今日から花のSEVENTEENっちゅうやつやね。


 俺は相変わらず、毎日英語とギターとの戦いでクタクタです。

 でもデビューアルバムも評判ようて、だんだん充実した生活になりつつある。

 ちょこちょこライヴハウスにでることもあって、出世した気分?


 あ、プレゼントっちゅうても大したものやなくて悪いけど。

 今から寒い季節がくるっちゅうことで。

 手袋を贈ります。


 ナッキーに言うたら、子供やないんやから!!って笑われたんやけど。

 るーに似合いそうなのんを見立てたつもりなんで、使ってくれたら嬉しく思います。


 それと、手紙ありがとう。

 るーの気持ちは、よう分かった。

 それでも俺の気持ちは変わらんよ。

 日本に帰るまで、るーを支えに頑張るつもりです。


 それでは、また。


 朝霧真音




「…可愛い。」


 9月19日。

 あたしの誕生日。


 学校から帰ると、真音と…頼子からもプレゼントが届いてた。

 頼子からは、香水。

 真音からは…手袋。

 いくらなんでも、まだ早いよね…って、ちょっと笑ってしまったけど…

 もう売ってるお店があるのかな。



 久しぶりの手紙を、あたしは素直に喜んだ。

 先月、あたしは悩みに悩んで…初めて真音に手紙を出した。


 心を込めて…デビューおめでとう。と、書いた。

 

 だけど、今も真音の夢を応援し切れない自分がいる事。

 真音を想えば想うほど、その夢に嫉妬してしまう事。

 あたしは自分勝手でワガママで、真音にはふさわしくないと思ってる事…

 それでも、もらった指輪は外せずにいる事。

 それはきっと、あたしはまだ真音を、ギタリストとしてじゃなくて一人の男性として好きだと思っているという事。


 生まれて初めて、あんなに素直な手紙を書いた。


 返事が怖かったけど…


『それでも俺の気持ちは変わらんよ』


 思わず手紙を抱きしめてしまった。



 17歳…実感ないな。


 結局、あたしは丹野君と仲直りできないまま。

 来月の文化祭も、参加希望しなかった。


 キッカケがないっていうか、あたしが部室に顔だして、一言声かければいいんだろうけど…その一歩が、その勇気が…まだ出せない。



 窓から薄暗くなった空を見上げる。

 少しだけ光り始めた星を見つめて。

 もっと素直になりたいな…もっと強くなりたいな…


 なんて、思った…。

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