元レッドなんだがwwwwwwwww
きりんぱん
第1話 Aパート 俺たちの最終決戦
俺は
そう、俺は5人の戦士のリーダー
--『ギガレッド』なのだ。
………1ヶ月前………
永い戦いに、終止符が打たれようとしていた。
相棒である合体獣のロボたちと、それを操縦していたシルバーの力と引き換えに、俺たちはついに宿敵、暗黒神官デスメシアを倒し、命がけで滅びのカウントダウンを食い止めた。世界に死の雨をもたらすという装置を破壊したことで、奴の計画はついに失敗に終わった。ロボも、俺たちを支えるエンジニアも、みんなの力が一つになって掴んだ勝利だ。
ヒーロースーツは、もうとっくに戦えるような状態を超えていた。ボロボロの体に、ひび割れたメット。立っていられるのが不思議なくらいだ。でも、俺たちの顔には、ホッとした表情が浮かんでいた。青空が広がり、
世界を包んでいた毒の霧が晴れ、悲しみに満ちていた人々の顔に、笑顔が浮かび始めた。世界に、あたたかな希望の光が満ちていく……。
でも、戦いはそこで終わりじゃなかったんだ。
砕けたはずの、デスメシアの本体が、突然一つに動き始めた!
「こんなことで、我が野望を終わらせるものか……我が魂を喰らい、今こそ目覚めよ!!大地を滅ぼす最強の魔獣よ!!!」
突然、恐ろしい
「そんな!封印したはずなのに……!」
「こんなことが……!」
大地を割り姿を現したそいつは、俺たちを恐怖に叩き落とした、最凶最悪の敵……!
「大魔獣カタストロフ……!」
巨大な牙、血走った眼、鋭い爪。かつて、多くの犠牲を払いながら、やっとの事で封じたはずの、最凶最悪の魔獣。ロボの片腕を引き千切られた、あの時の苦い思い出が蘇る。恐怖に
復活した終焉の権化を前にして、誰1人、絶望に抗えるものはいなかった。
震えが走り、嫌な汗が滲み出す。誰よりも気丈なブラックでさえ、膝をつき、怯えるように奴の姿を眺めることしかできなかった。誰もが希望を失い、運命の無慈悲さに飲まれようとしていた。デスメシアが残酷な笑みを浮かべる。
「これで貴様達も終わりだ!!ギガレンジャー!!」
その時。
「……まだだ!」
「何?」
「まだ、諦める時じゃない……!」
俺は、痛みでいっぱいの体を奮い立たせながら、無意識に叫んでいた。
そうだ。絶望するのは今じゃない。この命果てるまで、何度だって這い上がってやる。食らいついてみせる。理由なんて、決まってる。
「この地球を救えるのは、今、俺たちだけなんだ!!!」
俺の中で、闘志の炎がもう一度燃え上がるのを感じる。
「人々を救うこの力がある限り、俺は、いや俺たちは、立ち止まってなんていられない。……負けるわけにはいかないんだああああ!!!」
声を張り上げながら、俺はもう一度立ち上がる。
祈るような俺の叫びが、絶望の淵にあったみんなの胸にも、届いてくれた。
「はっ……こんな馬鹿に、勇気付けられるなんてな」
気がつけば、俺のそばでブラックが立ち上がっていた。震える拳を握りしめて、恐怖に立ち向かおうとしている。グリーンも、ブルーも、ホワイトも、立つのがやっとのシルバーも。その体は恐怖に慄きながらも、瞳はまっすぐに宿敵を捉えている。もうその顔に、絶望は浮かんでいなかった。
みんな、戦おうとしている。
立ち上がる戦士たちに、屈するものなどない。地球の運命は、俺たちが変えてみせる。握りしめた覚悟を胸に、俺たちはありったけの声で叫んだ。
「デスメシア!!」
「人々の悲しみを生む」
「お前なんかに」
「絶対!!」
「この地球は」
「「「「「「渡さない!!!!!」」」」」」
そんな俺たちを嘲笑うように、デスメシアが歪んだ声でわめく。
「グハハハハハ……!!ほざけ!貴様らちっぽけな人間に何ができよう!!!」
カタストロフが唸り声を上げ、巨大な尾を振り上げて俺たちを吹き飛ばした。
まるで木の葉のように、打ち据えられた体が、宙に投げ飛ばされる。
「「「「「「うああああああっ!!!」」」」」」
地面に叩きつけられ、鈍い音が響く。
「ちっぽけなんかじゃねえ!!みんなの思いが一つになれば、力は!!無限なんだァァァァ!!!」
その時、左手に
「「「「「「うおおおおおおおおおおおっ!!!!」」」」」」
「な、なんだこの光は……!」
突如溢れた眩い光に、魔獣と合体したデスメシアが怯む。
立ち上がるみんなが、暖かな黄金の光に包まれていった。
「ギガチェンジャーが輝いてる……!」
「感じるぜ、地球の力を」
「俺たちが背負う」
「人々の希望を」
「みんなが、俺たちに力を貸してくれてる」
力が、満ち溢れて来る。
「「「「「「アクセス!ギガチェンジ!!!」」」」」」
眩ゆい光の中で、壊れたはずのヒーロースーツが、再び俺たちを包む--!
そのスーツは美しく輝き、纏った俺たちを強くする。漲る力が、みんなを奮い立たせる。溢れる勇気が、止まらない。今こそ、ギガレンジャー完全復活の時だ!
「炎の勇者!ギガレッド!!」
「闇の覇者!ギガブラック!!」
「海の賢者!ギガブルー!!」
「大地の忍者!ギガグリーン!!」
「天空の聖者!ギガホワイト!!」
「銀河の冒険者!ギガシルバー!!」
ギガチェンジャーに呼びかけ、ロボたちを招来するアクセスコードを叫ぶ!
「コード997《ナイン・ナイン・セブン》!サモン!ギガキング!!!」
俺たちの呼びかけに、傷ついたロボ達も応えてくれた! 天空から駆けつけるその傷だらけの体には、空から降り注ぐ金色の光が宿り、今新たな姿を現わす。変形し、合体していく姿は、いつものギガキングとは全く違う。
漆黒の躯体、灼熱の刃、そして背には黄金の翼--その名は。
「ギガスピリット……!」
黒と金の荘厳なる姿。破滅に立ち向かう救世主が今、顕現する!雄々しき金色の翼を
その姿に、耳を塞ぐほどの絶叫を轟かせる大魔獣。一体化したデスメシアが、不敵に宣言する。
「何度抗おうと無意味!!!もう一度、貴様達に絶望をくれてやる!!!」
口を大きく裂いて、カタストロフが破壊弾を放つ!まっすぐに襲いかかるそれを、ギガスピリットが真っ二つに斬り裂いた!!
「俺たちは、もう二度と絶望なんてしない!!!」
「覚悟しやがれ!デスメシア!!!」
俺たちと、相棒のロボたち、そして地球のみんなの思いが一つになったこのギガスピリットに、撃ち砕けないものはない! 咆哮するカタストロフへ、俺たちは一直線に走り出す!!
「「「「「「うおおおおおおっっっ!!!!」」」」」」
ガキイィィィィン!
カタストロフの鋭い爪と、剣が交わる!互いに一歩も引かず、力と力がぶつかり合う。不意に魔獣が、クロスした爪をはね上げた!剣を持った腕が上に逸らされ、ロボの前面がガラ空きになってしまう。そこへ、振り上げられたカタストロフの爪が襲いかかる!
「させるか!!!!」
その爪を鷲掴み、自分たちに引き寄せる。暴れてもがくカタストロフ!
ギガスピリットが、握りしめた剣首を振り下ろして魔獣の爪を砕いた!!!
悲鳴をあげるカタストロフが、よろよろと下がる。
「くっ……ならばこれを食らうがいい!!!!」
デスメシアが、魔獣の口から、炎と闇エネルギーの混じり合う死の光線を吐き出させる!俺たちは翼を翻し、天へと高く飛び立った。鮮やかに空高く舞うギガスピリット!華麗に空を裂くそのロボを追うように、カタストロフの魔弾光線が牙を剥く! 的確に軌道を捉えられ、死の光線が襲いかかってくる!
瞬時に剣を捌き、一撃必殺の光線を正面から受けとめながら、ギガスピリットはまっすぐに魔獣めがけて飛翔した!!パワーとパワーのバトル!
少しずつ、でも確実に魔獣との距離を詰めていく。限界、いやそれ以上の力を引き出して、ギガスピリットがカタストロフに迫る!!
ついにその眼前に届き、デスメシアの体ごと、光線を吐き出す魔獣の顔面を引き裂いた!!!
「ぬわああああああああっ!!!!」
金切り声をあげて、よろめくカタストロフ!
ようやく奴に与えられたこの一手、このチャンスを逃すわけには行かない!
今、みんなのパワーが一つになる。ギガスピリットを伝わって、みんなの体と心がシンクロするのが感じられる。一体となった力が、ギガスピリットに溢れ出す! もう俺たちは一つなんだ。その思いを胸に、ありったけの声で叫ぶ!
「「「「「「決めるぜ!
スピリット・ファイナルギガ・バースト!!!!!」」」」」」
漲るパワーが、ギガスピリットの
「ぐあああああああ!!!!おのれ……ギガレンジャーァァァァァァァ!!!!!!」
噴煙を巻き上げながら、デスメシアと共に爆発四散した魔獣カタストロフを背に、街を見下ろしたギガスピリットは、ゆっくりと剣を下ろす。
沈み始めた太陽が美しく、勇者たちを照らしていた。
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「終わったね」
「ああ」
広がる空に、夕焼けが眩しい。涼しい風が、ほてった頬を優しくなでていく。
街に、希望の光が差し込んでいった。
「あーあ、一時はどうなるかと思ったぜ」
コックピットから出てきたグリーンが、体を投げ出して地面に寝転ぶ。さっきまであんな死闘を繰り広げていたと思えないほど、みんなに笑みがこぼれていた。夕日の光が、優しく俺たちを包み込む。街が、赤く赤く染まっていた。
見上げてみれば、ギガスピリットもまた、俺たちと同じ風景を眺めているようだった。柔らかな風の中で、美しく輝く街の風景を、俺たちは胸に焼き付けていた。そんな中、ひとり壊れたギガチェンジャーを眺めて、ポツリとブラックが呟いた。
「……これでみんなともさよなら、か……」
みんなの中に、気まずい沈黙が流れる。定められた、別れの日はもうすぐそこだった。でも、俺は笑って言う。
「別れだけじゃないさ、俺たちは。ここからスタートするんだ」
ハッとしたように顔をあげたブラックの目は、うっすらと潤んでいた。
「レッド……」
「だから、さみしいけど、これは別れじゃない。きっとまた会える」
切なげにはにかんで、隠すように目をこすったブラックは、ほんの少しだけ赤くなった耳の向こうで、照れ臭そうに笑った。
「……ああ」
それに続くように、みんなも力強く頷いた。
「うんっ!」
「へへっ」
「そうだな」
「おう」
気がつけば、みんな最高の笑顔を浮かべていた。
左腕で、壊れたギガチェンジャーが誇らしげに輝く。
その手の拳を一つに合わせて、俺たちは誓った。
「またいつか、この場所で会おう」
………そして、今………
俺は、ギガレンジャーとして活動していた頃の高校を離れることになった。
まあ、もともと転勤の多い家庭だったから、仕方ない……って感じかな。
転校するのは俺だけじゃない。ブラックは、ギガレンジャーを支えてくれたエンジニアの誘いで、工学研究のため海外留学に旅だっていった。学校に残ったホワイト、ブルー、グリーンのみんなも、それぞれの夢を叶えるため、受験勉強に励み始めた。デスメシアとの戦いで、力を失ったシルバーは、しばらくみんなの元に残るらしい。
それぞれが、今度は自分の未来を掴むため、歩き出そうとしている。
辛いことも、悲しいことも、みんながいたから乗り越えられた。1人じゃなかったから、諦めない心を知った。きっとこの先も、この絆が俺の力になってくれる。この心に残る、熱く優しい絆が。
新しい街へと向かう電車の中、みんなが
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