史実
第104話 史実-01
遂に彼らの子孫達が辿り着いた。
不本意だが引きニートどもを起こさねばなるまい。
「起きて下さい。」
「ん、んぅ・・・」
「すぴーーー」
またか・・・
「起きて下さい。」
「ん・・・あ、おはよう。」
「ふあああああ・・・おはよ。」
「遂に辿り着きましたよ。」
「え?もう着いたの?」
「早くない?」
「コールドスリープ中だったのをお忘れなく。あなた方の尺度で考えれば悠久の時が流れていますよ。」
「あぁ・・・そうか・・・」
「なるほどねぇ。」
この引きニートどもには学習能力が無いのか?
「早速ですが、出迎えてやりましょう。」
「そうだね、ずっと頑張ってたんだし行かないとな。」
「いいよー!」
「あ、でも・・・」
「どしたの?」
「挨拶とか要るのかな?」
「げ!そういうの苦手・・・」
「無言という訳にいかないでしょう。」
「フツ、何とかならないか?」
「お願い!」
土壇場で主導権を握るつもりだったが、この場で了承させる方が良かろう。
「分かりました。では、お二人は柔和な笑みを浮かべておいて下さい。わたしが挨拶しておきます。」
「ありがとう、フツ。」
「ふぃー、助かった!」
「ちなみに、彼らはギガの子孫からスメラ語を習っていますので、不用意な発言は危険です。」
「そうなんだ。じゃあ基本、通信魔法だな・・・」
「そだね。」
「では参りましょう。瞬間移動装置へのエネルギー供給をお願いします。」
「分かった。」
「りょーかーい!」
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「やっと辿り着いたね。」
「長かったぜ。最初のご先祖様から数えて何代目になんのか、もう分かんねぇ。」
「神託に従ってこの地に参りましたが、神様はいずこでしょう・・・」
突如、上空に何かが現れた。
あの独特な形は伝承に残る天之浮舟だ。
そして、伝承の通り天之浮舟の側面の扉が開き、二柱の神が顕現された。
僕らは慌てて平伏した。
「面を上げよ。」
頭上から神々しい声が響いた。
「永き旅、ご苦労であった。」
「もったいなきお言葉にございます。」
「そなたたちは、この島々に国を築き神の血を絶やさぬようにせねばならぬ。」
「ははぁ、仰せのままに。」
「ウンの子よ。」
「はっ!」
「そなたは皇として天下を治め、神の子が安寧に過ごせる世を創れ。」
「承知いたしました。」
「サンの子よ。」
「ははっ!」
「そなたは、武の力により神の血を守れ。」
「この命に代えましても!」
「ギガの子よ。」
「はい。」
「そなたは、神の言葉を伝え世を正しく導くように。」
「承りました。」
「ではこれより、そなたらの永き旅を労い、名と品を贈ろう。」
『では、お願いします。』
『えぇっ!』
『全部やってくれないの?』
『約束通り、挨拶は引き受けましたが?』
『困ったな・・・』
『わっかんないよー!』
『がんばって下さい。』
「ウンの子よ、これからはスメラ皇と名乗るがよい。これは褒美だ、受け取るがいい。」
『ちょっと!それ、あたしのネックレスじゃん!ヤサカニブランドだから高いのに!』
『ごめん、僕はプレゼントできそうなもの持ってないんだ。』
『むぅ・・・』
「あ、ありがたき幸せにございます!」
『サンには武器を贈ろうと思うんだけど・・・』
『ヒヒイロカネの剣?』
『うん、いいかな?』
『ま、あたしらが持っててもしょうがないしね、いいよ。』
「サンの子よ、そなたの名は・・・名は・・・サンノコ・・・」
『ちょっと!それは無いんじゃないの?』
『お、思いつかないんだ・・・』
「おぉ!サンノウでございますか!良き名をありがとうございます!」
『あれ?聞き間違えてくれた?』
『もうそのままでいいじゃん。』
『そ、そうしよう・・・』
「そなたには、この剣、ツムハを下賜しよう。」
「こ、これは朱い剣でございますか。」
「ツムハで國を護るがよい。切れ味はトツカの比ではないぞ。」
「ははっ!必ずや護り通して見せまする!」
『ギガの方は任せたよ。』
『えぇっ!無茶言わないでよっ!』
『あんまり待たせると可哀想だよ?』
『うぅっ・・・じゃ、じゃあ、あの服あげようかな・・・』
「ギガの子よ、そなたの名は・・・ミコ!これをあげ・・・下賜しよう。これからもあたし・・・神の言葉を皆に伝えよ。」
『おいおい、ミコってその服のブランドだろ?』
『うっさいわね!元々デザイナーの名前なんだから、サンノコよりずっとマシでしょ?』
『うっ・・・』
「ありがとうございます。これよりミコと名乗り、より一層、神官の務めに励みます。」
『フツ、もう限界だ。頼む・・・』
『たーすーけーてーーー!』
『了解しました。』
「それでは皆の者、永き旅ご苦労であった。そなたらが立派な国を築き上げた時、神は再び顕れるだろう。それまではわたしがミコに預けた神器を通じてそなたらを導く事とする。」
「ははぁ、承知いたしました。」
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