回想
第5話 回想-01
俺の名前は
俺の国では光斎というのは古めかしいイメージがあり恥ずかしいので、知り合いにはコウと呼んでもらっている。
ちなみに親父の名前は
顔は美形でもなく不細工でもない何の変哲も無い平凡な顔だ。
以前に、道端で似顔絵描きの看板を出している奴が居たので頼んでみたのだが、”ごめんなさい、僕には才能が無いみたいです。きっぱりと諦めて定職に就きます。”と言って涙目で去って行ってしまったくらいだ。
まぁ、職業柄、特徴が無いのはいい事なんだけどな・・・
だから、悔しくなんか無い・・・
気を取り直そう。
身長は178cmで体重は95kg、肥満では無く筋肉のせいで重くなっている。
体脂肪率は極端に低いと職業柄困るので15%前後を保つように注意している。
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住んでいる星の名前は地星という。
日星と呼んでいる恒星系に属する岩石惑星だ。
日星からの距離がハビタブルゾーンと呼ばれる領域にあり、固体・液体・気体の水が存在し、地表の半分以上は海という様々な成分が溶け込んでいる液体の水に覆われている。
また、地星には月と呼んでいる相対的に非常に大きな衛星が1つ存在しているが、惑星が形成された直後に奇跡的な確率で他の惑星が衝突した名残りらしい。
なお、自転軸は23.4度傾いているので、1年の間に寒暖の差がある。
出身惑星の事はこれぐらいでいいだろう。
次は出身国についてだ。
俺の住んでいる国は
正式名称は
日出語は世界公用語ではないので国際的には”
国旗は、清らかさを意味する白地に日出の眩しさを表現したデザインが描かれている。
そして3度の国難を乗り切ったおかげで、現存する国家の中では最も古い歴史を持つ。
同じ土地に異なる民族の王朝が入れ替わりながら国家が存在し続けた例はいくつもあるが、国体が維持され続けているという点で最古の国家なのだ。
実質的な権力をその時々の有力な臣下に与え、自らは権威として君臨するという政治体制をかなり早期に確立した事が、国体を維持し続けられたポイントだという研究結果が出ている。
領土は極東と呼ばれる地域にある火山性列島なので四方を海に囲まれており、陸続きの外国は内陸部にあるグンマー国のみだ。
グンマー国はかつては日出国の一部だったのだが、鎖国政策を止めて近代化を進めていた時代に独立戦争を仕掛けてきたのだ。
近代化した日出軍に対して弓や槍しか持たないグンマー軍だったが、グンマーワライダケを服用してトランス状態になり死を恐れないグンマー戦士は栃木方面軍に大きな打撃を与えた。
列強諸国が日出国を植民地にする為に権謀術数を巡らせている状況では国軍の消耗を避けたかったという事情があり、野心では無く忠義による独立運動だった事と、国土としての魅力が極めて低い事もあって、武装解除を条件として独立を認める事となった。
その後は真綿で首を締める様にグンマー国の弱体化を謀り、今では独立国と言っても実質的には属国の立場にある。
グンマー国は空港が無く大型貨物船が通れる程の河川もないので交易が陸路に限られており、四方を囲む日出国との取引がほぼ100%となっている以上、日出国が通関を遅らせるだけで食糧不足になってしまい草の根や木の皮を食べるしかなくなるのだ。
日出国との交易に依存させつつ、国内食料生産だけでは養えない程度まで国民が増加するように発展させた日出国の巧妙な政策の成果と言っていいだろう。
また、電力も日出国内で不幸な送電線トラブルが発生すれば停電になってしまう状態だ。
更に、グンマー国で競争力があるのはこんにゃくぐらいなので外貨獲得手段は極めて少なく、日出国の商社が仲介しないとガスや石油といった海外の資源を購入する事もままならない。
なお、かつてはこんにゃく以外にも養蚕が盛んで日出国への輸出額も多かったのだが、外国産との価格競争に敗れ衰退している。
日出国では伝統産業として補助金により細々と生糸生産は続けられているが、グンマー国程度の経済力ではそれも叶わなかったらしい。
公用語はグンマー語だが、日出語から派生した言語であり簡単な日常会話程度なら特に学習しなくても通じる。
なお、電気の通じている大きな町ならば街頭テレビで日出国のテレビ番組を観ている者が多いので多少複雑な日出語も通じる事が多い。
また、領土では無いが日出国の西側に位置する大陸に溶岩に覆われた無人の広大な土地を租借地として有している。
その租借地に大量の食物プラントと合成石油プラントを建造したおかげで、今では農業国よりも多くの食料を輸出し、資源が枯渇し始めている産油国よりも多くの高品質合成石油を輸出するようになった。
なお、食物プラントというと安く大量に均一な食物を量産するだけというイメージだが、日出国の国民性によるものなのか何故か非常に美味な食材が量産されており、他国からの需要も旺盛で輸出額は年々増加の一途を辿っている。
もちろん、輸出先の農業系圧力団体からその政府への圧力は掛けられているのだが、日出国産食材の旨さの虜となってしまった国民からの支持を失う事を恐れて、高率関税などで締め出すような政策を執る事は難しいようだ。
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経済面では、日出国は世界有数の経済大国だ。
一位はイモルキ連邦だ。
広大な土地と資源、移民による労働力確保、自国通貨が基軸通貨である事による経済政策の自由度、そして強大な軍事力を背景とした無形の経済的恩恵によるものだ。
地理的には日出国の東側に広がる大洋の対岸に存在する国だ。
二度目の国難では全面戦争をした相手だが、今では重要な同盟国となっている。
二位はウワダ共和国だ。
十億人をはるかに超える人口による薄利多売によって経済規模を維持しているので、一人当たりの所得はさほどでもない。
地理的には日出国の西側に広がる大陸の南側に突き出た亜大陸をほぼ占有する国だ。
三位が日出国となる。
ウワダとは逆に高付加価値製品に特化した経済といっていいだろう。
国民の教育水準の高さと勤勉さも大きな要因なのだが、帝立研究所からもたらされる先端技術が最大の要因だ。
そして、租借地に設置した大規模な食物プラント群と人工石油製造プラント群のおかげで、近い将来には再び世界二位となるのは確実だ。
また、直接的な経済規模としては小さいが、ラノベ・漫画・アニメというソフトパワーにより諸外国の民衆が親日的であるのも日出国製品の愛好者が多い隠れた要因とされている。
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政治体制は帝制議院内閣制だ。
国家元首は帝と定められているので、国家レベルでの重要事項の決定は帝の認可が必要になっている。
ただし、よほどの事が無い限りは内閣から上奏されたものを承認するのが慣例だ。
実際、近代に入ってから上奏を否認したのは3度目の国難の時だけだ。
統治体制は、権威としての朝廷と、権力としての行政・立法・司法の一威三力が分立されている。
朝廷は国事行為として神事を執り行う他に帝に関係する独自の権力を有しており、他の権力は皇帝には干渉できない。
朝廷はミニ宗教国家のようなもので、日出国は連邦国家、あるいは朝廷が日出国を属国化しているとイメージすれば分かりやすいかもしれない。
ただし、朝廷が搾取している側では無く、逆に帝の莫大な収入から日出国の国家予算に多大な援助をしている状態だ。
なお、朝廷法は一般法に比べて刑罰が厳しい。
朝廷という穢してはならない権威に仕えている以上、違反した者には容赦が無いのだ。
朝廷職員が収賄事件で有罪となり、終身刑になった事例もあるくらいだ。
朝廷を除く社会体制としては、”個人は他者から束縛されない自由主義”と”多数決主義である民主主義”という本質的には相反する価値観を両立させており、同様の体制を採る国々と同盟関係にある。
代表的な同盟国はイモルキ連邦だ。
出身国についてはこれくらいでいいだろう。
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