イチョウの木からのメッセージ
勝利だギューちゃん
第1話
晩秋
冬の足音が近づいてくる・・・
赤い服を着ていた木々の、その衣を脱ぎ捨てる・・・
「寒くないのか?」
子供の頃から思っていた・・・
「平気だよ」
「えっ?」
「大丈夫、寒くないから」
「君はだれ?」
「あなたの周りにたくさんいるわよ」
辺りを見回す
木しかない・・・
「もしかして・・・木?」
「うん、木だよ」
「名前はイチョウ?」
「それは私たちが、あなたを人間と呼ぶようなもの」
「というと?」
「あなたたちと同じように、私たちにもそれぞれ名前があるわ」
「ちなみに君は?」
「リア」」
「リアさん?」
「あなたは?」
「僕は、ひろき・・・高浜ひろき・・」
「ひろきくんね」
何だかくすぐったい・・・
「リアさんは、どうして平気なの?」
「私たちからしてみれば、服を着るあなたたちの方が不思議」
「そう・・・」
確かに、自分たちの常識と違うものは、不思議だろう・・・
「リアさんは、寂しくないの?」
「どうして?」
「だって、ひとりで立っていて」
「私は、ひとりじゃないよ」
「えっ?」
「仲間がたくさんいるわ。あなたのまわりに・・・」
たくさんの、イチョウの木が立っていた
そういえば、イチョウ並木だったな
「僕は・・・ひとりだからな・・・」
「ひとりじゃないよ」
「えっ」
「あなたは、ひとりじゃない」
「でも、僕は・・・」
「あなたは、自分でそう思っているだけ・・・」
「どうしてわかるの?」
不思議で仕方ない。
「私は、私たちはいつも、ここで見てきたから・・・」
「何を?」
「あなたを想ってくれている人は、たくさんいるわ」
「どこに?」
「それは、あなたが自分で見つけないと意味ないから・・・」
どうやって見つければいいんだ・・・わからない・・・
「私たちは、動けないけど、あなたは動けるわ。
だから、自分を信じてね」
それを最後に、リアさんの声は聞えなくなった・・・
「そういえばば、どの木だったんだ。それは教えてほしかった」
そう思い歩きだした
その時、1本のイチョウの木の上から、女の子が見守っているのを、
僕は、知る由もなかった・・・
「ひろきくん、がんばってね」
イチョウの木からのメッセージ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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