第18話 壁抜けの勇者・ユフフカサテフ 


 前回のあらすじ。

 いつもと変わらぬ日常を過ごしていたオレとオレが所属する砂塵の盗賊団はある日突然、魔王とその仲間を名乗る三人(一人と二体?)に襲われ半壊状態となる。

 正直、魔王か魔王でないかなんてどうでも良かった。

 危害を加えられたから、

 危害を加えられるかもしれないから、

 恩人を守るために、オレは殺す。





 心臓までの壁を抜け、オレの拳よりも小さな心臓に掴みかかる。このまま心臓を握り潰そうと両手に力を込めて――


「勇者か」

「ぐああっ!」


 小さな体からは想像もできないほど強い力で両腕を掴まれた。たったそれだけだというのに、どういうわけか両手が握れない。


「お前は勇者か」


 腕が千切れるんじゃないかと思うくらい強く握られ、段々と指先の感覚がなくなってくる。

 ヤバい、このままだとヤバい!


「オレは……勇者なんかじゃ……!」

「ならどうして俺を殺そうとしている」

「それは……お前達が……危険な……!」


 いくら振り払おうとしても魔王の手はオレの腕から離れない。それどころか、魔王の体はビクリとも動かないのだ。

 なにかがおかしい、なにか普通じゃない。


「危険な、なんだ? もしかしてお前、危険だと思ったから俺を殺そうとしているのか?」


 頭上から圧力にも似た殺気を感じる。

 恐ろしい。目の当たりにしたくない。それなのに、本能的に命の危機の原因になり得るものを確認し判断するために、オレの意思に反して視線は上に向き始める。


 視線の先にあるのは、人形のように整った作り物のような顔。

 今まで見たことがないほど美しく透明な、無表情。


 ふと、この人に殺して欲しいと思った。


「それなら、同じ理由で殺されても文句ないだろ。俺は魔王で、お前は勇者なんだから」


 肉が潰れ弾け散る音と、

 骨が軋み砕ける音と、

 焼けるように熱く鋭く脳の奧深くにまで突き刺さる痛みが、

 混ざり合い増され合いながらオレに襲いかかってきた。



 それなのに、オレの意識は現実ではないどこかに行ってしまったようで。



「        」



 肘より先が動かなくなったオレの腕を千切られても心の中は波風ひとつ立たず。


 上も下もわからなくなるほどの蹴りを食らっても薄く白んだ視界は心地好く。


 魔王に髪を掴まれ振り絞るように引かれた拳を見ても音の無い世界が広がっていくようで。


 ああ、オレは死ぬんだなと。

 他人事のようにそ












































































 

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