『あなたの命、お掃除します。』

第2話

「あ゙〜…もう、ヒマヒマヒマヒマヒマッ」

「ちょっと夕霧、暴れないでよ書類が舞う」

「そこは、が正解ですよ吉野さん。夕霧もいい大人なんですからガキみたいなことしないでください…」

「うっさい桜木は落ち着きすぎだ、今日で何日目だ? 依頼がなくてヒマでヒマで仕方ないじゃないか。このまんまじゃヒマで死にそうだどうしてくれる?」

「どうもしないですね、ヒマならほらデスクの片付けでもしてくださいよ。ぐちゃぐちゃじゃないですか」

「俺のオカンかお前は!」

「んな息子いりませんよ…」

「あーはいはい、二人とも漫才しないで。夕霧は報告書どうしたの、総角あげまきだけにさせるなよ? 桜木はさっき蜜星みつほしさんから『来るように』って電話あったよ、行かなくていーの?」

「俺ぁ文字書くのが苦手なんだよッッ!」

「わー、忘れてました。行かないと」

「ほらほら駄々こねないの。終わったら『霞ヶ堂』のパフェ奢ってあげるから、ちゃっちゃとやりな」


雑然とした日常から離れた場所にある、寂れた洋館。そこが彼らの居場所だった。

『掃除屋』

それが彼らの呼び名だ。

彼らは仕事としての『名前コード』を源氏名にし、本名を伏せる。

理由は様々。名を知られたくないから、素性を晒したくないから、その名が嫌いだから―――。

そうして彼らは闇に身を浸し依頼を受け、『掃除』する。

『依頼は徹底的にキレイにすること』を基本理念とし、活動する。たとえそれが必ずしもになるとは限らなくても―――。

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