047_満員電車に揺られて

混んだ車内に自分の身体を預ける恐怖。

複数の目線が気になるわけじゃなく、

その威圧感、息苦しさ。

真っ先に呼吸の確保をする。

生暖かい空気、人独特の汗の匂い。

吸い込むたびに気分が悪くなる。


もう限界だと感じるもこれは急行。

余計に不安に駆られる。


ふと緊急停止ボタンが目にとまる。

側から見れば電車を止めるほどでは。

いや今の自分の不安は見合っている。

そう考えるうちに大きな駅に止まる。


外に出れば気分が戻る、いやまだだ。

ホームにも人、人の連続。

皆が改札へ向かうまでのほんの1分。

自分にはとてもとても長い1分。


ようやく静かな独りぼっち。

息を整えるためにベンチに座る。

今日もまた我慢ができなかった。


電車が人が怖い、混乱すること半年。

明日もきっと同じ日の繰り返し。

また具合が悪くなる。


よし、考えないようにしよう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る