奈落の輪舞曲
異変
名前をもらったあの日から数年を経て、リューヴォは街中を観察しながら歩き回ることが日課になっていた。死がすぐ近くにあるこのXエリア内では、毎日のように仕事に失敗して大怪我を負って死んでいく者達が後を絶たない。それでも日に数名見かける程度だったのが、まだ11歳のリューヴォでも見てすぐ分かるほどに増えてきていた。普段ものを教えてくれていた人間も少しずつ死んでいく、街の住人は人間にしては物凄く強い、こんなにもバタバタと負けて帰ってくるなんて何かがおかしいと不安に駆られてズタボロの服を引きずりながら、リューヴォはこの
「情報屋さん!情報屋さん!」
「待て待て待てリューヴォ…ここ北区だぞ、[シリアルキラーエリア]情報屋は西区だ。連れてってやるから付いてきな」
チョーカーを嵌めているリューヴォの首根っこを掴んで止めたのは通称[隻眼のリアナ]、赤いロングヘアに褐色の肌、切れ長の黒い目で右眼は見えていない、黒い戦闘服を身に纏っている女丈夫だ。この時点でリアナはまだ16歳だというのに、Xエリアを代表するほどのシリアルキラーとして有名だった。そして力加減の仕方や戦闘訓練、飯の世話までしてくれていた親のような存在であると言って差し支えない。移動中、リューヴォは前々から気になっていたことをリアナに尋ねてみた。
「リアナは、どうしてアタシに優しいの?」
「んー…妹みたいだからかな、それに優秀だ。この街にいる限りうちらは家族みたいなモンだよ、最近死ぬヤツが多くなったから来たんだろ?リューヴォ」
やはりリアナは感が冴えていると思いつつリューヴォはコクリと頷く、彼女もまた、情報屋に尋ねに行こうとしていた所だったのだ。地下の扉を幾つか通り抜け、迷路のように張り巡らされた道をずーっと、ずーっと進んで行く。コレは流石に道を覚えるまで時間が掛かりそうだと、既に疲れているリューヴォの頭をリアナが苦笑を浮かべて優しく撫でると、お団子頭が潰れないように手で形を整える。
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