【インディーズゲーム】 NEEDY GIRL OVERDOSE

 自分が同棲相手「ピ」となって、病みがちなネットアイドルを育成するシミュレーションだ。


 なんと、一週間で十万本も売り上げた。

 

 中毒性の高いOPは、KOTOKOさんが歌っている。

 開発者は「巫女みこナース」を意識したそうな。あの当時の電波ソングが大好きだったと語っている。

 どうりで、どこかで聞いたことがあるパターンやなーと思った。


 プレイ動画も多数出回っていて、多くの配信者がイラついている。

 なんといっても、

「歴戦配信者のテクニックが、まるで通用しない」

 のある。


 おそらく企業系Vでもっとも稼いでいる犬山たまきさんをして、バッド直行させ、

「メンヘラクソ女」

 といわしめた神ゲーである。


 開発者の「にゃるら」氏は、4Gamerのインタビューで、作中に出てくるSNSのクソリプさえ「ちゃんと取材して書いている」と答えていた。

 10年以上SNSを覗まくって成功したとはいえ、この徹底ぶり。

 本作のポイントは、「キャラ作りの徹底ぶり」だ。


「一ヶ月でフォロワー100万いかないと、無能呼ばわりされてバッド確定」

 という無理ゲーに、プレイヤーは付き合わされる。


 しかもヒロインは、「ザキ連発するFC版クリフト」みたいに、調節が効かない。


 ヨイショをすれば調子に乗り、SNSでクソスレをする。

 厳しくするとすぐに病んで、おクスリのお友だちになってしまう。


 いくら上手に育てようとしても、初手で積んでいるのでどうしようもない。


「ムチャをさせるしかない」という状況への追い込み方がすさまじい。


 また氏は、ヒロインの「あめちゃん」を、

「ひどいことをしても顔がいいから許されるヒロイン」

 として描いているという。

「だってヲタって、そういうの好きでしょ」と。


(引用)

「基本的には,穏やかな暮らしをしていれば穏やかな子ですから。そこでスパルタ教育をするプレイヤーが悪い……悪くもないかもしれないですけど,フォロワーを増やすためにはそうしなければならない。」

(引用終わり)

 

 と語る。


 ゲームをゲームとして成立させるには,ヒロインを不安定な状況に置き続けなければならない。


 こういったシナリオ運び、調節は、実に難しい。


 開発者にゃるら氏は、マルチバッドエンドという図式に対しても、「プレイヤーの受け止め方、解釈に任せている」とか。

「客観的に幸せそうな人でも、当人的には辛いことがたくさんあったりもするよね」と。


 すごくよくわかる。


 個人的にもっともハッピーエンドなのではないかと思ったのが、「一般人宣言」エンドだった。

「まんてん」さんの24時間勉強配信とかに出てきそう。

 健康で健全で、いいじゃんと。

 しかし、承認欲求を満たしたいヒロインにとっては、おそらくこれが「最悪のバッドエンド」なのだ。


 個人的にメリーバッドエンドって理解できなかったんだが、そうういうのが好きな人ならドハマリするんじゃないかと。


 ただ、超絶めんどくさいヒロインを相手にする必要があるが。


 オレはこの作品を、「インターネット終活」と思っている。


「どうあがいても絶望している少女が、ネットの中でいかに美しく死ぬか。もしくは社会的に死ぬか」

 を表現しているのだろうと。

 彼女が求めているのは、心中相手だ。


 ピにも

「いかにして美しく死なせてくれるのか」

 を求めているような気がしてならない。


 だから、本作にはバッドエンドに見えるエンディングしかないのだろうとも思えた。

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