【小説】 元彼の遺言状
『このミス』で満場一致で大賞だった作品。
三つ前の元カレが残した奇妙な遺言を遂行するため、依頼人を『遺言を残した人物を殺した犯人』に仕立て上げる話。
主人公は、金が全てと謳う弁護士。
安い指輪で結婚を迫った男を軽くあしらった翌日、主人公はあまりにも低いボーナスの額を巡って勤め先の弁護士事務所と対立。
空虚な日々を送っていた。
三つ前の元カレにメールを送ったら、代理人から「そいつは死んだ」と返信が。
代理人の男によると、遺言の主はインフルエンザで死んだんだが、死ぬ前に、
『ボクを殺した人物に遺産を与える』
と遺言を残していたらしい。
実際、数名が名乗り出ていて、自分も「被害者に何が起きたのか、友人として知りたい」といい、
「自分を殺人犯候補にしてほしい」
と頼まれる。
一度は、報酬額で拒否する。
なにより主人公は、スキャンダラスな案件に手を出して、自分のキャリアにキズがつくのを恐れた。
取引先との信頼を失うのは、一、二億程度では埋められない。
しかし、株式などの経済的利益で一〇〇億以上も資産価値があると知って、依頼を承諾する。
しかし、遺言を管理していた弁護士が、主人公の目の前で毒殺されてしまう……。
殺人犯は誰なのか?
本当に遺言の主は、インフルエンザで死んだのか?
今日一日だけでバーっと読んだ。
さっきまでかかった。およそ六時間くらい。
それでも、目が止まらなかった。
最初は「なにこの女サイテー!」と思った。
しかし、お金が全てではないといいつつ義に厚い。
苦手な相手もひるまず丸め込める手腕、危機的状況でも切り抜けるハッタリを思いつく、頭の回転の速さ。困った人をなんだかんだいって放っておかない人情。
二時間ドラマの主人公然とした魅力を多く兼ね備えつつ、今風の女性が描かれている。
選評にもあった
「この主人公は、『女は対立するもの』といったステロタイプな女性キャラから脱却している」
とあるくらい、珍しいタイプである。
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