好き勝手に、「好き」を垂れ流す！

【ドラマ】 遺留捜査

　泣けるラーメンタイマー。

　最初は、母親が見ているのをチラチラ視聴していた程度だった。

　関西系列で、平日に再放送をしているのだ。

　個人的には小田和正さんの「やさしい風が吹いたら」がいい曲だったので、印象に残っていた。

「コールドケースみたいな話なんやろうなー」

　と、漠然と思っていた。

　その程度の認識でしかなかった。

　今では、夕飯のときは必ずと言っていいほど見ている。

　Amazonプライムで見られると知り、早速ウォッチリスト行きに。

　本作は、今までの刑事ドラマとは違う視点で描かれている。

　犯人逮捕で終わりではない。

　そんな、一風変わったミステリなのである。

　大抵の刑事モノ、探偵もののミステリといえば、「犯人逮捕」が主目的である。　

『遺留捜査』が、ほかの刑事ドラマと違う点は、本作が「遺族のケア」に重きを置いている点だ。

　主人公は、犯人の逮捕にはあまり関わらない。

　周囲に迷惑をかけつつも、遺留品の声に耳を傾け、事件の謎に迫る。

　ただ、他の捜査員とベクトルが違うだけ。

　犯人を追う刑事達と、被害者の心境を追いかける主人公。

　逮捕シーンに登場する場合もある。

　ドラマの基本は、遺族の元へ趣いて事件の真相を伝えに行くのがメインだ。

「僕に、３分だけ時間をください」と告げて。

　スタンスは、ガッツリ推理の『相棒』という感じじゃない。

　犯人への説教や被害者を説得する場面が多かった、『はぐれ刑事純情派』に近い。

　本作の犯人は、だいたい往生際が悪い。

　だが、それも演出だ。

『遺留捜査』の主題は、

「どうしてこの遺留品が、こんな場所に残ったのか」

「なぜ、被害者は何も告げずに死んだのか」

　である。

　ミステリでいえば、「ホワイダニッド」に特化しているのである。

「フーダニッド」になる展開は、最終回やスペシャルなどだ。

　離婚式で意気揚々と指輪を潰した被害者の本心。

　堅物の警察官が遺した離婚届に隠された愛。

　一方的に別れを告げた男が、被害者に与えた一枚のコイン。

　鬼と言われた母親が大事にしていたブローチ。

　悪魔のような女性が注文した、ハイヒールに込めた思い。

　など、

「酷いヤツと思っていた相手の印象が、話を通じて一気に変わる」

　という手法を常に取り続けている。

　逆に、「商店街のスタンプカード」を遺留物から発見したときは、

「被害者は浮気者で、別れた女房のもとへ行った子どもなんかのために、スタンプを集めるような人間ではない」

　ことがわかる。

　結果的に、真犯人の目星がついてしまうことも。

　３分後に、あなたはきっと涙する。

　本作はいわば、「泣けるラーメンタイマー」と言えるだろう。

｜まとめ

　本作のように、ミステリの形や本質は、日々変化する。

　変化していけるのだ。

　ミステリの本質とは、華麗なる犯人逮捕劇だけにとどまらない。