30作品、分解（バラ）してみた。

023――仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ（特撮映画）

あらすじ

　風都タワー完成30周年の夏、「A」から「Z」までの26個のT2ガイアメモリを輸送する財団Xのヘリコプターが、不死身の傭兵集団 NEVER（ネバー）による強襲の末に自爆し、風都にメモリが飛散。市民が次々とドーパントに変身していく事件が発生する。

　事態の収拾に動こうとする仮面ライダーWと仮面ライダーアクセルは、国際特務調査機関から訪れたというマリア・S・クランベリーから事の顛末を聞くがフィリップは、マリアは自分の母親であるシュラウドかもしれないと思い込む。

　そして、風都にはT2ガイアメモリを得たNEVERが侵攻を開始し、Wとアクセルの前にはNEVERを率いる大道克己――仮面ライダーエターナルが立ち塞がる。

概要

　特撮テレビドラマ『仮面ライダーW』の初の単独劇場版作品。

　物語や世界観をテレビシリーズと密接に共有しており、作中で描かれるのは第44話と第45話の間に起こった事件です。

　監督は『ウルトラマンジード』など仮面ライダー以外の特撮作品も手がけた坂本浩一。

　脚本はTV本編でもメインライターを務めた三条陸。

　主演は言わずしれた菅田将暉と桐山蓮ですが今回は敵であるNEVERのボス、大道克己には松岡充などがキャスティングされています。

　TV本編も見させてもらったということでこちらも分解させてもらいましたが、やはり大人でも没入できるほどクオリティ高いです。個人的に平成仮面ライダーの劇場作品の中では確実にトップ3には入るほどの出来ですね

　本編のストーリーとしてはTVシリーズのメインライターである三条さんが書かれている時点でお墨付きなのですが「大道克己たちを倒したい」という翔太郎たちの欲求と大道克己使用するT2エターナルによって自分たちのガイアメモリが使えなくなってしまったという現実という苦境が立ちはだかりますし（これによって物語中盤のダレの部分でも主人公たちが変身しない理由づけにもなっているので尚更）、マリアという存在によって母親への思いに悩むフィリップなど、キャラクターの掘り下げが非常に聞いています。

　また敵のキャラクターも大道克己はもちろんのこと、配下のキャラクターも非常に濃いので印象に残ります。特に配下の一人である泉京水に関してはこれでもかというほどに濃いですし、映画公開後に制作されたVシネの『仮面ライダーエターナル』では単に敵であったNEVERや大道克己がどういう道筋をたどって風都でのテロに至ったのかまで語っていたので観ておくことをオススメします。

　さて話を戻しますが、さらにこの映画がすごいのは特撮面でのアクションです。監督である坂本浩一さんが元スタントマンであり、海外での作品制作経験もあってワイヤー使ったド派手なアクションに定評があるのですが今回は、そのワイヤーアクションによるキレッキレの戦闘シーンがあちこちで多用され、さらにそれがめちゃくちゃ決まります。

　そこにTVでもおなじみの安定した面白さの三条さんの脚本が加わるのでホントに相乗効果がすさまじいので非常に見ごたえのある作品に仕上がっていると思います。

ストーリーライン

フェーズ1

・大道克己がT2ガイアメモリを輸送する財団Xのヘリコプターを襲撃し、T2エターナルメモリを手に入れる

・ヘリが自爆し、25個のT2メモリが風都に飛散する

・大道克己の配下である羽原レイカたちが己の運命のメモリを探し始める

・街に出ていたフィリップが倒したはずのドーパントに遭遇し、襲われそうになっていた母子を守ろうとするが謎の女に助けられる

・翔太郎が現場に駆けつけ、フィリップと共に仮面ライダーWに変身して戦う

・別の場所に現れたドーパントの元に照井が駆けつけ、仮面ライダーアクセルに変身して戦う

・アクセルがドーパントを倒し、T2メモリを見つける

・Wの戦闘中に流れ弾によって近くにいた母子が危険にさらされるが突然現れたサイクロン・ドーパントが助け、消える

・Wがドーパントを倒す

・目覚めたフィリップが手元にオルゴールが置かれているのに気づく

・翔太郎たちがドーパントの正体がサンタちゃんとウォッチャマンであることを知り、そばに転がっていたT2メモリが空から降ってきたことを知る

・謎の女が現れ、国際特務調査機関の捜査員であるマリア・S・クランベリーだと名乗る

第1プロットポイント

・翔太郎たちが事務所に戻り、マリアからT2メモリと傭兵集団であるNEVERがそれを狙っていることを聞き、T２メモリの回収を引き受ける

フェーズ2

・フィリップがマリアが自身の母親であるシュラウドではないかと思う

・翔太郎たちが街に散らばったT2メモリの回収を始める

・フィリップがマリアの元を訪れ、自身の手元に置かれていたオルゴールがマリアのものではないかと思い届ける

・T2メモリを回収していた翔太郎の前に羽原レイカが現れ、ヒート・ドーパントに変身し、翔太郎もWに変身してヒート・ドーパントを追う

・泉京水が現れ、ルナ・ドーパントに変身してマスカレイド・ドーパントを生成。Wを妨害する

・Wがヒート・ドーパントに追いつき、戦闘になるが、堂本剛三が乱入する

・堂本が戦闘中にメタルメモリを見つけ、メタル・ドーパントに変身する

・Wが3体のドーパントに囲まれ、危機に陥るが突然現れたサイクロン・ドーパントによって助けられる

・フィリップが星の本棚で敵の正体について検索し、大道克己たちが死者蘇生兵士――NEVERであることにたどり着く

・NEVERが風都タワーを占拠する

・翔太郎たちがマリアからの連絡で回収したT2メモリを持って指定の場所に向かうが大道克己が現れる

・大道克己が仮面ライダーエターナルに変身し、フィリップたちもファングジョーカーに変身して戦う

・照井がアクセルに変身して加勢しようとするが、芦原賢が現れ、トリガー・ドーパントに変身してアクセルを妨害する

・ファングジョーカーが変身解除され、サイクロンジョーカーエクストリームに再度変身してエターナルと戦うが終始圧倒される

・エターナルがエターナルメモリのマキシマムドライブを発動させ、T2メモリ以前のガイアメモリを機能停止させる

・T2メモリを持っていた亜樹子が狙われるがサイクロン・ドーパントが守る

・サイクロン・ドーパントの正体がマリアであることが明かされ、集めたT2メモリを奪われる

・マリアがフィリップに再びオルゴールを握らせる

・翔太郎たちが亜樹子が呼んだリボルギャリーでその場から逃走する

・NEVERが巨大光線兵器エクスビッカーを持ち、残るT2メモリ一本を見つけた者に10億円を出すと風都市民に宣言する

・翔太郎がマリアに会おうとしているフィリップを止めるが、静止を聞かずフィリップがその場を離れる

・一人事務所に戻った翔太郎の元に仮面ライダースカルが現れ、フィリップが母親への思いをマリアに重ねていたこと悟る

・スカルがロストドライバーを置いていく

・事務所に羽原レイカが現れ、翔太郎を襲う

・フィリップがマリアの元を訪れるが、マリアが自身の母親であるシュラウドではなく大道克己の母親であること、死んだ大道克己を復活させるためにNEVERの研究を進めていたこと、フィリップを騙していたことを知る

・羽原レイカがフィリップが大道克己の手に落ちていることを明かし、ヒート・ドーパントに変身して翔太郎にトドメを刺そうとする

・翔太郎が自身に引かれてきたT2ジョーカーメモリを手に入れ、ロストドライバーで仮面ライダージョーカーに変身し、ヒート・ドーパントと戦う

・ジョーカーがヒート・ドーパントにライダーキックを叩き込み、変身解除する

・大道克己がエクスビッカーの補助回路にするためにフィリップに近づいたことが明かされる

・照井と合流した翔太郎が共に占拠された風都タワーに向かう

・翔太郎がジョーカーに変身し、エンジンブレードを携えた照井と共に戦う

・照井がジョーカーを風都タワーに向かわせる

・ジョーカーがメタル・ドーパントに変身した堂本と戦い、ライダーパンチで変身解除に追い込む

・ジョーカーが風都タワー最上階に辿りつき、エターナルと戦うが敗北しジョーカーメモリを奪われる

・26本すべてのT2メモリが揃い、エターナルがエクスビッカーを起動させる

・大道克己がエクスビッカーの光が風都の人々をNEVERへと変えるものであることを明かす

・メモリブレイクされた羽原レイカが現れるが大道克己が負け犬と言って突き放し、羽原レイカが塵に帰る

・大道克己がエクスビッカーの光を風都に放とうとするがフィリップが発射プログラムを書き換えて止め、エターナルメモリの力も書き換えようとする

・マリアが暴走する大道克己を止めるため、細胞分解酵素を打ち込むが大道克己に撃たれて倒れる

第2プロットポイント

・フィリップがエターナルメモリのマキシマムドライブを無効にし、T2以前のガイアメモリが再び使用可能となる

フェーズ3

・照井がアクセルに変身し、トリガー・ドーパントに変身した芦原と戦い、アクセルトライアルに変身する

・大道克己がその場を離れ、フィリップがマリアに大道克己を止めることを誓い、マリアが息を引き取る

・細胞分解酵素を無効化した大道克己が風都タワーに蓄積されたエクスビッカーの力を街に落とそうとするが翔太郎とフィリップがその道を阻む

・大道克己がエターナルに変身、翔太郎たちもWに変身して戦おうとするがルナ・ドーパントが妨害する

・火野映司が現れ、仮面ライダーOOOに変身しルナ・ドーパントを倒しWを助ける

・アクセルトライアルがトリガー・ドーパントを倒す

・エターナルの前に再びWが立ちはだかりフォームチェンジによって圧倒する

・Wがサイクロンジョーカーエクストリームで決着をつけようとするがエターナルがゾーンメモリのマキシマムドライブですべてのT2メモリを集めて風都タワーを切り落とし、サイクロンジョーカーエクストリームもそれに巻き込まれ落下する

・人々の声援と風都の風によってサイクロンジョーカーエクストリームがサイクロンジョーカーゴールドエクストリームに進化し、エターナルを倒す

・風都の花火大会が行われ、翔太郎たちがそれを眺める