003――ブレードランナー ブラックアウト2022(アニメ)
あらすじ
2022年。タイレル社の製造したネクサス6型がその寿命を終え、寿命による制限のない新たなレプリカント、ネクサス8型が製造された。しかし世論では人間至上主義が過熱し、登録データ上でレプリカントとみなされた人間が殺害される事件が多発していた。惑星カランサから脱走した戦闘用レプリカントであるイギーと慰安用レプリカントであるトリクシーは核ミサイルを爆発させることで街を大停電に陥らせ、同時にバックアップの保管されているデータセンターを物理的に破壊することを計画し、それを実行に移す。
概要
今作はリドリー・スコット監督、ハリソン・フォード主演のサイバーパンクの古典『ブレードランナー』の地続きとなる作品である。
続編である『ブレードランナー 2049』が2017年に公開されるのに先立って旧作から新作までの30年間の出来事を描く作品としてYouTubeでインターネット配信され(同時に制作された『2036:ネクサス・ドーン』と『2048:ノーウェア・トゥ・ラン』と合わせてYouTubeで公開されている)、本作では旧作のから3年後の2022年を舞台で、『ブレードランナー 2049』でも言及される「ブラックアウト(大停電)」という事件を描いている。
脚本・監督は『カウボーイビバップ』や『アニマトリックス』 を手がけた渡辺信一郎。
キャラクターデザイン・作画監督は『虐殺器官』では監督を務めた村瀬修功。
アニメーション制作はCygamesの子会社であるCygamesPicturesが担当している。
15分という短いアニメーション作品だが、日本の熟練アニメーターたちが参加しているため、映像的な面でも非常に楽しめる作品である。ちなみに旧作に続いて作中に登場する捜査官ガフの声は、『ブレードランナー』でガフ役を演じたエドワード・ジェームズ・オルモス本人が演じている。
前述の通り、15分の短編作品であるためストーリーとしては「アンドロイドであるイギーとその仲間たちが、おもちゃの兵隊から脱却するために反乱を起こす話」と非常にシンプルで、そのためにイギーやトリクシーの「自由に生きたい」という欲求と人間とほとんど変わらないのに彼らの奴隷同然であるという現実という葛藤の形も理解しやすくなっている。
それもこの作品が映像や造形などでそれら世界観をわかりやすく提示してくれているからだ。
同時にこの世界観の提示が『ブレードランナー』の持っていた澱んだ空気感や仄暗い雰囲気をそっくりそのまま継承していて、『ブレードランナー』と合わせて観るとどれだけ世界観を大事にしているかが理解できるし、ブラックアウトを起こす理由にもなったイギーの惑星カランサでの出来事や登場人物の言葉の端々などから人間とレプリカントの関係性がにじみ出ているのにも非常にプラスに働いているだろう。
またストーリーからは外れてしまうが、イギーとトリクシーのデータセンター襲撃シーンの戦闘もクオリティが高く、見ていて飽きるものではないので、これを見て気になった方はいまでもYouTubeで公開されて本作をぜひ見てほしい。
「ブレードランナー ブラックアウト2022(https://www.youtube.com/watch?v=MKFREpMeao0)」
「2036: ネクサス・ドーン(https://www.youtube.com/watch?v=R2tfByG88HQ)」
「2048: ノーウェア・トゥ・ラン(https://www.youtube.com/watch?v=ELH4Zkvt9-U)」
ストーリーライン
フェーズ1
・炎の中を自分の目玉を片手に歩くイギー(プロローグ&エピローグ)
・ネクサス6に代わるネクサス8が製造されるが、その登録データが漏洩し、ネクサス8とみなされた者たちが殺される事件が相次ぐ
第1プロットポイント
・男たちに襲われるトリクシーを救うイギー
フェーズ2
・ブラックアウトのためにタンクローリーを奪うトリクシーたち
・惑星カランサから脱走したイギーたちの捜索をガフが依頼される
・トリクシーに協力するレン(回想)
・偽のコードによって核ミサイルが発射される
・運転しながらブラックアウトの計画を話すイギー
・カランサでネクスト8同士で戦わされていたことを語るイギー
第2プロットポイント
・データバックアップセンターを襲うイギーとトリクシー
フェーズ3
・戦闘中の最中にトリクシーが撃たれて死ぬ
・データバックアップセンターが破壊され、核ミサイルがLA上空で爆発。ブラックアウトが起き、ネクサス8の登録データが失われる
・炎の中を自分の目玉を片手に歩くイギー(プロローグ&エピローグ)
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