第8話

気が付くと私は遼くんに抱きしめられて眠りについてた


え?今、何時!?


「遼くん、起きて!起きてよー」


「どした、愛美!大丈夫か?」


遼くんは私の声に慌てて飛び起きた


「だって、帰らなきゃ、あっ...」


ベッドから出ようとして、焦ってまたシーツに潜り込んだ


「ふ、服着てないよ」


「クスクス、そりゃ、着てないだろ

脱がしたんだもん」


「もうー、何笑ってるのよー

それより、こんな時間」


「大丈夫」


余裕の表情の彼は私を背中から抱きしめて

首元に顔を埋めた


「どうして、大丈夫なの?」


「実はね、律に昨日頼んどいたんだ。

紗希ちゃんが愛美ん家に電話しといてくれてるはず。泊まるって」


「遼くん、最初から」


「そうだよ」


「ぇっち」


こっちを向かず、俺に聞こえないだろうと小さな声で言ったけどちゃーんと、聞こえてるよ


「誰がエッチだってぇ?

愛美の方がよっぽどさぁ」


「止めて、言わないで!」

.........でも......ヨカッタ」


「ん?何が?」


「だって、まだ...こうしていたかったから」


身体の向きを変えて擦り寄ってくる彼女を包みこんだ


「なぁ、あんまり可愛いこと言ってると

俺また...」


「また?」


「うううん、何でもない。

それより、愛美?身体大丈夫?」


「ぅん

でも、ここが苦しい」


胸に手をあてて、上目遣いの彼女の顔が憂いに満ちていて、体が熱くなった


「遼くんのこと...好きって以上の言葉が見つからなくて...苦しい」


「苦しい...の?」


コクリと首を縦に振った彼女にキスをした


「こうしたら...苦しくなくなるよ...きっと」


「やっぱり...遼くん...エッ...ち、やっ」



彼女の柔らかい唇に触れる度、いつも、その先を求めてた


腕の中にいる温もりを確かめたくて

再び、繋がった

さっきの愛美とは違って、漏れる声も溢れるその場所も俺を夢中にさせてくる



愛美...わかったよ



言葉にならない気持ちは...

抱き合えば伝わるんだって








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