6 ~風邪の少女~



 昨日突然とつぜん降り出した雨は、よる寝る前にはほとん霧雨きりさめになっていて、今朝けさは気持ちの良い朝日がカーテンの向こうに覗いていた。


 登校してすぐ、下駄箱で靴を履き替える小鞠こまりちゃんを見付けていつも通りスキンシップをやり合う。今日はおでこが痛い。


 一時間目の英語の授業を終えて、十分の移動休憩時間で小鞠こまりちゃんと廊下に出る。三年生の教室がある二階の階段の踊り場でいき抜きの雑談をしていると、三階から体操服に着替えた一年生の男子達が階段を降りてきた。

 小鞠こまりちゃんと交わす会話の隙間すきまで、一年生達が話す声が聞こえてくる。


「ちくしょー。さっきの数学すうがくの授業、東京とうきょうが休んだせいで俺まで先生に当てられちゃったよ」

「まあ風邪かぜじゃしょうがないだろ。にしてもドンマイだな、の数の割り算とかドンピシャでお前の苦手なとこ当てられるなんて」

「そこの――」


 反射的に振り返り、会話をしていたであろう抹茶まっちゃ色のラインが入ったジャージを着た男子生徒二人組にめ寄る。


「――きみ!! 深輝みきちゃんがお休みって本当!?」

「えっ!? あんたダレ……いや、誰ですか?」


 肩を掴まれた男子生徒は、あたしのスカートの臙脂えんじ色のすそを見て、タメぐちになりかけた口調を敬語に直す。だが、そんなことなど気にも留めず、あたしはなおも後輩の男子生徒を問い詰める。


深輝みきちゃんなんでお休みなの?」

「ミキ……? って東京とうきょうの事ですか? 東京とうきょうなら、今日は風邪で病欠だ、って中辛ちゅうから先生が——」

風邪かぜ…………?」

「はい……えっと、もういいですか?」

「……うん……」


 男子生徒はおそる恐るといった感じであたしから体をはなし、もう一人の後輩男子と一緒にそそくさと階段を下りていく。


「(何だったんだ今の……)」

「(ほらあれだろ、この中学きっての変人へんじん問題児っていう先輩の——)」


 その男子生徒達とれ違いで、次の授業の道具等を抱えるすすまみれた白衣の先生が階段を上がってくる。


叶恵かなえ先生! あたし行きます! ……えっと緊急招集で。だから休みます!」

「は? なんだ急に。魔法少女の出動要請ようせいがあったのか? ……だがディザイアーが出現したという連絡は……」

「え、えっとおもてった召集は出来ないから、皆にバレてるあたしが呼ばれました!」

「……」


 戸惑いと疑念の色を顔ににじませる煤白衣の叶恵かなえ先生は、あたしの背中越しに望む小鞠こまりちゃんを見る。


「そうなのか? すぎ

「さあ〜〜。あったんじゃないですか?」

「……。そういえば先程、東京とうきょう深輝みきがどうとか話していたようだが……」

「あ……いや、いえ出動要請です!」

「…………」


 叶恵かなえ先生は再び小鞠こまりちゃんを見遣みやり、次いであたしの顔を見てため息をく。厚ささんミリのタブレットを持ったままの左手で両の目頭を押さえ、少し押し黙ったかと思うとまた息をく。


「……はぁ……分かった。ならそのへ急いで出向しろ。くれぐれも目立つようなことをするんじゃないぞ―――」

「ありがとうございます! 行ってきます!!」


 目元を押さえたままの叶恵かなえ先生にお礼を言うと、一目散に教室へ向かいかばんを持って校舎を抜け出す。



「……まったく、目立つなと言ったそばから騒々そうぞうしくする奴があるか……………………」








 うっすらとした意識が明瞭めいりょうになり、自分がウトウトとした状態でベッドに横になっていたのを自覚する。重たい頭を持ち上げ、ぼんやりとしたままの視界で隣の部屋を覗く。開いたふすまの向こう、居間いまはりに掛けられたアナログ時計の歯車が一定のリズムをきざむ音が聴こえてくる。二、三まばたきをしてピントを合わせた網膜もうまくとらえたのは、午前ごぜん十一時過ぎを示す長短二つの針。


「お昼前、か」


 思ったよりも長い間、私はベッドで眠っていたらしい。

 独りちた声は、微かにしゃがれていた。寝汗ねあせ等で水分が減っているのだろう。

 せきをするように小さく喉を鳴らし、水を求めて居間に出たところで、ピポーン、という間抜けな呼びりんの音が鳴らされた。この家の呼び鈴は、ボタンを押し込んだ時と離した時の二段階で音が出るから、初めておとずれた人間の場合は大抵このような鳴らし方になる。

 この時間にたずねるということは、郵便局の人か、いや、この鳴らし方ならばセールスか。

 対応が面倒な相手であれば厄介やっかいだ。アパートの共用廊下、外に居る人物に聞こえるようにき込み、病人であることをアピールしながら、鍵を回しドアを開ける。


「ごほっこほ……はい―――」


 少しまぶしい外の光と共に目に入ってきたのは、最近見慣みなれるようになったあい色の上着に、臙脂えんじ色のすそをしつらえた白いスカートだった―――――








「えぇっと、確か先生が言ってたのは……」


 魔法まほう少女しょうじょに配布されている通信端末とは別の、自分が個人的に持っている通信端末であるてのひらサイズの長方形タブレットを手の上で開く。

 半透明な光の線の羅列られつは、屋外の明るさを検知してすぐに鮮明な拡張ARマップを浮かび上がらせる。

 映し出されている左上側、赤いスポイトのような表示マーカーが、立体な光線があらわす一つの細長い立方体の上で、ふわふわと浮かびながらくる、くる、と回っている。深輝みきちゃんのお家があるというアパートだ。この端末の位置情報———あたしが今いる現在地を中心点として、そこから道に沿ってうっすらとピンク色の線がスポイトマーカーへ引かれている。

 その線にしたがい正面の交差点を曲がって少し進むと、一昔ひとむかし前のような外見ながらも、綺麗に管理されていると分かる三階建てのアパートが見えてきた。

 マップアプリケーションの案内どおりに来たはずなのに、随分ずいぶんと遠回りをしてしまった気がする。

 申しわけ程度にもうけらた駐輪スペースを抜けて、建物の中央に飛び出た階段を上がって二階へと上がり、左右の伸びる共用廊下の右を突き当りまで歩いていく。その突き当りから少し手前、ダークブラウンのドアの横に表示されている居住者名表記を見る。そこには『東京』の二文字がしるされたネームプレートが差し込まれていた。


「うん。ここだ。間違えようがないよね」


 肩に掛けたかばんひもを握り、ネームプレートのちょっと下に備え付けられているインターホンを押す。

 ピポーン、という拍子ひょうし抜けな電子音が鳴り、少ししてドアの向こうから小さなせきする音が聞こえてくる。アナログ式のかぎく音がして、ドアがあたしの立つ廊下側へ押されひらく。


「ごほっこほ……はい―――」


 続くせきと共に出てきたのは、パジャマ姿の深輝みきちゃんだった。


「あ、えーっと……こんにちは深輝みきちゃん」

「ともな、せん、ぱい………?」


 ほんの少しかすれたような声で呟いた深輝みきちゃんは、二秒程かたまったかと思うと、慌てて口元を両手でおおい隠した。


「ち………」


 ねつが上がったのか赤くした顔に片方の手を残したまま、深輝みきちゃんはもう片方の手を恐る恐るといった具合にドアの取っ手に伸ばす。


「ちょっと待っててください!!」


 深輝みきちゃんは耳まで赤くなった顔でそう言うと、風邪かぜを引いてるとは思えない機敏きびんな動きでドアを勢いよく閉め、部屋の中をドタドタとけ回る音を鳴り響かせる。

 五分くらいがって少し心配になり出したころに、再びそのドアは開かれた。


「……どうして先輩がこんな所にいるんですか」


 姿を現して一番に、にらまれる。


「えっと……深輝みきちゃんが今日お休みだ、って聞いて……お見舞みまいに」

「授業はどうしたんですか。こほ、今日はどの学年も特別な活動があるわけではないですよね」

深輝みきちゃんのお見舞いは特別な事だよ!?」

「……………………」

「……」


 また深輝みきちゃんが動かなくなった。

 出てきてから口元に手を当てたままの深輝みきちゃんは、何か思うようにため息をくと、片手でドアを押さえた状態で身を引く。


「はぁ……こんな所で話していてもらちが明かないので、一旦上がってください。どうせそのつもりで来たのでしょう」

「あ、うん。お邪魔じゃまします!」


 深輝みきちゃんからドアを預かって、玄関に入る。

 部屋の奥へ進んでいく深輝みきちゃんを追って、後ろ手にドアを閉めてスニーカーを脱ぎ土間から上がる。台所と合わさった廊下を抜けて開け放たれたドアの先、居間いまに置かれた背の低いテーブルの奥に、あたしを招き入れた部屋のあるじは座った。

 あたしが脱いだ靴をそろえている間に入れたのか、深輝みきちゃんの対面、平たいクッションが敷かれたところのテーブルに水に入ったコップが置かれている。彼女が身振りで指し示すそこに、鞄を横に置いて腰を下ろす。


「まず、どうしてこの家の場所を知っているんですか」


 あたしがお尻を着けるやいなや、深輝みきちゃんは即座に問いかけて——問いただしてきた。それを説明するのには少し手間取るため、ここに来るまでの経緯いきさつを話した。

 学校の廊下で深輝みきちゃんがお休みだということを聞いた事。そしてそれを聞いてから、 一階の昇降口に降りてすぐ、隣の職員室から大幸たいこう先生が偶然出てきた事。そして、深輝みきちゃんのお家を先生から聞き出すことができた事を。


「はぁ…………。先輩に問い詰められた先生には同情しますが、生徒の個人情報を易々やすやす漏洩ろうえいさせてどうするんですか………」


 められた、のだろうか?


「そこに疑問をいだけたのにはいささか成長を感じられますが、その発想がまず出てきている時点でやはり先輩は変わりませんね」

「もしかして深輝みきちゃん、あたしのことバカだと思ってる?」

「こほっ、違うんですか?」

「違うよ!? 今までの地の文から見ても結構、難しいコト言ってたりするよ!?」

やぶからぼうに何を訳の分からない事言っているんですか。やはり⑨ですね」

「ま、まる…………?」

「……ごほん、流してくださって構いません…………」

「…………? うん、分かった……」


 みょうな間が出来て、会話が止まる。

 どこか落ち着かない気分になりそうだ。とりあえず出されたお水を飲みながら通された部屋を見渡したところで、ふと思いつく。

 このお家にお邪魔してから、深輝みきちゃん以外の人の気配を感じないのだ。お母さんとかは居ないのか、と考えるも、すぐに深輝みきちゃんのお父さんはいないことを思い出した。


「そういえば、お母さんとかってお仕事なのかな。深輝みきちゃん風邪かぜっぴきだけど一人でお留守――」

「母は居ません」


 問い掛けるあたし台詞せりふを遮って、深輝みきちゃんの声は発せられた。


「え?」

「母は今、病院で入院中なのでこの家には私と弟しか住んでいません」

「え? おとうとくんいるの!? どんな子? なんさい?」

何故なぜそこに食い付くんですか! というかなんですかその反応は。ナンパですか」


 テーブルに乗り出して深輝みきちゃんに詰め寄る。それを黒髪の後輩少女は、相変わらず容赦なく顔ごと押し返す。この短い間に、だんだん小鞠こまりちゃんに似てきた気がする。


「えー? だって深輝みきちゃん、あんまり深輝みきちゃんのこと話してくれないんだもん。気になっちゃうよー!」

「はぁ……っけほ、弟は私の一つ下で、いまは修学旅行でここを離れているので会えないですよ」

「そっか……」

「会うつもりだったんですか……」


 あたしの熱烈な訴えに深輝みきちゃんは冷静に返す。

 その冷静な風に見える深輝みきちゃんの顔。口元の辺りに、あわかクリームのような白い何かが付着しいているのに気が付く。


「あれ? 深輝みきちゃん、っぺたのところに泡みたいなのが付い―――」

「っ!? こっ、これは、さっき歯を磨いたばかりなのでッ!」


 あたしが最後まで言いきるまでもなく、電光石火のごと深輝みきちゃんはパジャマのそでで自身の顔をぬぐい去った。

 すごい慌てようだ。そんなに恥ずかしかったのかな。


「そ、そんなことよりも、結局、灯成ともな先輩はここに何をしに来たんですか」


 ぼんやりと正面に座る深輝みきちゃんを眺めていると、居住まいを整え直した彼女が問いかけてきた。

 あたしもそこでようやく、今回の本題を思い出す。


「もちろんお見舞みまいだよ? そういえば深輝みきちゃん、風邪かぜって聞いたんだけど……」

「風邪だと聞いていて先程までのはしゃぎっぷりですか。良い根性してますね」

「えへへ」

「褒めていません。……昨日のきゅうな雨で冷やしてしまったらしく……けほっけほっ、このていたらくです」

「えっ、でも深輝みきちゃん、かさ持ってるって言ってなかったっけ?」

「けふっ、持ってはいましたが、恥ずかしいことに身体をくタオルなどを持ち合わせていなかったので、降り出したときに濡れたままで長時間あるいて帰ったものですから」

「歩いてって……板橋いたばし区の北のはしから練馬ねりま区のここまで!? それは風邪引くよ! 電車は乗らなかったの?」

れた服のままで電車に乗れるわけがないじゃないですか」

「あ……そっか、人がいっぱい居るもんね」

「……? この時期は電車は暖房なんていていませんから、濡れたままじっとしていたらもっと冷えるからですが……。まぁ結局けっきょく風邪は引いてしまいましたので何とも言えませんが……こほっ」

「そうなんだ……」


 昨日お墓で雨に打たれた後、あたし和光わこう2町にある家まで走って帰り、玄関で服を全部ぐと、その足ですぐにシャワーを浴びた。

 けれど、家が離れている深輝みきちゃんはそうはいかなかったのだ。

 あの時すぐには帰らずに、何かからだを拭けるものを渡してあげてからでも良かったんだ。

 そう考えて、今ではおそい後悔にしょんぼりと項垂うなだれる。そこでふとかばんの横に置いた自然再生使用のレジ袋に目が付く。 


「あ、そうだ! ここに来る前にね、コンビニ寄って来たんだ」

「もしかしてその制服せいふく姿で行ったんじゃないですよね。けほっ」

「うっ……ま、まぁまぁ、今日はあんまり硬いことはナシだよぉ」


 言って、レジ袋の中をテーブルの上に出していく。

 ももの缶詰めにミカンの缶詰め、キウイの缶詰めにパイナップルの缶詰め、柿缶、さくらんぼ缶、蜂蜜はちみつりんご缶、ツナ缶にさば缶に猫缶にイワシ缶に


「ちょっと待て、かんめしかレパートリーが無いんですか! よくコンビニにこれだけありましたね。というかねこ缶てなん、けほっ。何なんですか!」

「缶詰め美味しいよ!?」

「確かに味は問題ないでしょうが、論点が違います!」

「おばあちゃん、風邪の時のごちそうだ、って言ってたもん」

「そうじゃない。いつの時代の話ですか。っこほ、けほ、それ以前に猫缶はどう考えてもおかしいでしょう。何故なぜ買った。いや何故なぜ手に取った」

「……何でだろう?」

「私に聞かないで下さい! そもそもうちに缶切りが無かったらどうするつもりだったんですか」

「確かに」

いま気付いても遅いでしょう。手に取った時点で疑問ぎもんを感じてください! というか、プルタブ式でない缶詰なんてこの時勢、置いているお店なんてないでしょう! どんなサーチ能力してんですか――ひくちっ」

「いやぁ、えへへ」

「褒めてない! げほっ」


 喋り疲れたのか、深輝みきちゃんは胸に手を当ててぜえ、ぜえ、と呼吸を荒立てる。


「あ、ごめんね。風邪引いてるのに無理させちゃって。えっと、深輝みきちゃんのお部屋へやは、隣かな」


 そう言って立ち上がり、左手にあるはん開きになっているふすまの方へ手を伸ばす。

 その手首を、目にもまらぬ速さで掴まれる。

 その目は、病気で顔色かおいろが悪いからか、睨むように細く見据えていた。


「はぁ、はぁ。あまり、げほっ、部屋を好き勝手に、はぁ……っ歩き回らないで下さい、ごほけほッッ………」

「ご、ごめん―――」


 そこで、深輝みきちゃんはあたしの目線より少し低い位置の頭をゆらゆらとさせたかと思うと、チークを入れたようなべに色の頬をあたしの胸元へと当てがった。


「み、深輝みきちゃん―――――!?」









 チク、タク、という音だけが、まず耳に入ってくる。

 部屋に静けさが戻り、ようやく落ち着くことが出来た。

 ひとねむりから目覚めた頭で思ったのは、それだった。そして、やや温度が高く思うひたいに、何かひんやりと気持ち良いなにかが乗っているのを感じとる。

 何かと思い、手に取ってみると、それはハンカチだった。もも色とだいだい色でいろどられたハンカチは、どこか見覚えのあるくたびれ方をしている。何故なぜこんなものが私の額に乗っていたのか疑問ではあるが、いまもやがかかったような頭では結論へとはいたらなかった。

 考えても仕方がない。

 喉がかわいているのに気付いて、ハンカチを持ったまま布団からもぞもぞとい出てベッドから降りる。

 廊下にもうけられた台所でコップに水を入れようとシンクを見ると、昨日からったらかしにしていた洗い物が綺麗さっぱり無くなっていた。


「あれ……いつ洗ったんだっけ」


 横の洗い物カゴには、いつもとは違う置き方で食器るいが干されている。風邪で朦朧もうろうとした頭でやったからだろうか。疑問に思いながら、蛇口のノックを起こす。

 コップに出した水道すいどう水を数度に分けて飲み干すと、風邪を引いた時特有とくゆう寂寥感せきりょうかんが押し寄せてきた。

 このままベッドに戻っても多分たぶん眠れないだろうから、ひままぎらわせるためにテレビをける。

 そこでふと、頭に浮かぶ。そういえば、さっきまでは全然ひまだなんて、思いはしなかった。

 いや、灯成ともな先輩が来るまでは、暇だったはずだ。そしてさっきまでは無かった空虚くうきょが胸の内に―――

 そこまで考えて、雑念をはらうためにかぶりを振る。

 そんな訳はない。これは、風邪で精神が弱って、さびしいなどと錯覚しているのだ。決してあの先輩が居なくなったからではない。病人の家に押しかけて騒ぐような人など、居なくてむしろ清々せいせいする。

 それでも風邪のせいで心をむしばむ嫌な感情を打ち消すために、点けたテレビに映っていたニュース番組に意識をうつす。

 アナウンサーが手元のタブレットをスワイプしてテレビ画面―――カメラの方を向いたところで、視線が左下へ一瞬いっしゅん落ちる。


『それでは次のニュースで……いえ、緊急速報です――――――』


 視線が、くぎ付けになる。

 固まった頭でも、の気が引いていくのが分かった。












あきら———————!!??」












 第二章 - 絆         完

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