6 ~風邪の少女~
昨日
登校してすぐ、下駄箱で靴を履き替える
一時間目の英語の授業を終えて、十分の移動休憩時間で
「ちくしょー。さっきの
「まあ
「そこの――」
反射的に振り返り、会話をしていたであろう
「――
「えっ!? あんたダレ……いや、誰ですか?」
肩を掴まれた男子生徒は、
「
「ミキ……? って
「
「はい……えっと、もういいですか?」
「……うん……」
男子生徒は
「(何だったんだ今の……)」
「(ほらあれだろ、この中学きっての
その男子生徒達と
「
「は? なんだ急に。魔法少女の出動
「え、えっと
「……」
戸惑いと疑念の色を顔に
「そうなのか?
「さあ〜〜。あったんじゃないですか?」
「……。そういえば先程、
「あ……いや、いえ出動要請です!」
「…………」
「……はぁ……分かった。ならその召集とやらへ急いで出向しろ。くれぐれも目立つようなことをするんじゃないぞ―――」
「ありがとうございます! 行ってきます!!」
目元を押さえたままの
「……まったく、目立つなと言ったそばから
うっすらとした意識が
「お昼前、か」
思ったよりも長い間、私はベッドで眠っていたらしい。
独り
この時間に
対応が面倒な相手であれば
「ごほっこほ……はい―――」
少し
「えぇっと、確か先生が言ってたのは……」
半透明な光の線の
映し出されている左上側、赤いスポイトのような表示マーカーが、立体な光線が
その線に
マップアプリケーションの案内
申し
「うん。ここだ。間違えようがないよね」
肩に掛けた
ピポーン、という
「ごほっこほ……はい―――」
続く
「あ、えーっと……こんにちは
「ともな、せん、ぱい………?」
ほんの少し
「ち………」
「ちょっと待っててください!!」
五分くらいが
「……どうして先輩がこんな所にいるんですか」
姿を現して一番に、
「えっと……
「授業はどうしたんですか。こほ、今日はどの学年も特別な活動があるわけではないですよね」
「
「……………………」
「……」
また
出てきてから口元に手を当てたままの
「はぁ……こんな所で話していても
「あ、うん。お
部屋の奥へ進んでいく
「まず、どうしてこの家の場所を知っているんですか」
学校の廊下で
「はぁ…………。先輩に問い詰められた先生には同情しますが、生徒の個人情報を
「そこに疑問を
「もしかして
「こほっ、違うんですか?」
「違うよ!? 今までの地の文から見ても結構、難しいコト言ってたりするよ!?」
「
「ま、まる…………?」
「……ごほん、流してくださって構いません…………」
「…………? うん、分かった……」
どこか落ち着かない気分になりそうだ。とりあえず出されたお水を飲みながら通された部屋を見渡したところで、ふと思いつく。
このお家にお邪魔してから、
「そういえば、お母さんとかってお仕事なのかな。
「母は居ません」
問い掛ける
「え?」
「母は今、病院で入院中なのでこの家には私と弟しか住んでいません」
「え?
「
テーブルに乗り出して
「えー? だって
「はぁ……っけほ、弟は私の一つ下で、
「そっか……」
「会うつもりだったんですか……」
その冷静な風に見える
「あれ?
「っ!? こっ、これは、さっき歯を磨いたばかりなのでッ!」
すごい慌てようだ。そんなに恥ずかしかったのかな。
「そ、そんなことよりも、結局、
ぼんやりと正面に座る
「もちろんお
「風邪だと聞いていて先程までのはしゃぎっぷりですか。良い根性してますね」
「えへへ」
「褒めていません。……昨日の
「えっ、でも
「けふっ、持ってはいましたが、恥ずかしいことに身体を
「歩いてって……
「
「あ……そっか、人がいっぱい居るもんね」
「……? この時期は電車は暖房なんて
「そうなんだ……」
昨日お墓で雨に打たれた後、
けれど、家が離れている
あの時すぐには帰らずに、何か
そう考えて、今では
「あ、そうだ! ここに来る前にね、コンビニ寄って来たんだ」
「もしかしてその
「うっ……ま、まぁまぁ、今日はあんまり硬いことはナシだよぉ」
言って、レジ袋の中をテーブルの上に出していく。
「ちょっと待て、
「缶詰め美味しいよ!?」
「確かに味は問題ないでしょうが、論点が違います!」
「お
「そうじゃない。いつの時代の話ですか。っこほ、けほ、それ以前に猫缶はどう考えてもおかしいでしょう。
「……何でだろう?」
「私に聞かないで下さい! そもそもうちに缶切りが無かったらどうするつもりだったんですか」
「確かに」
「
「いやぁ、えへへ」
「褒めてない! げほっ」
喋り疲れたのか、
「あ、ごめんね。風邪引いてるのに無理させちゃって。えっと、
そう言って立ち上がり、左手にある
その手首を、目にも
その目は、病気で
「はぁ、はぁ。あまり、げほっ、部屋を好き勝手に、はぁ……っ歩き回らないで下さい、ごほけほッッ………」
「ご、ごめん―――」
そこで、
「み、
チク、タク、という音だけが、まず耳に入ってくる。
部屋に静けさが戻り、ようやく落ち着くことが出来た。
ひと
何かと思い、手に取ってみると、それはハンカチだった。
考えても仕方がない。
喉が
廊下に
「あれ……いつ洗ったんだっけ」
横の洗い物カゴには、いつもとは違う置き方で食器
コップに出した
このままベッドに戻っても
そこでふと、頭に浮かぶ。そういえば、さっきまでは全然
いや、
そこまで考えて、雑念を
そんな訳はない。これは、風邪で精神が弱って、
それでも風邪のせいで心を
アナウンサーが手元のタブレットをスワイプしてテレビ画面―――カメラの方を向いたところで、視線が左下へ
『それでは次のニュースで……いえ、緊急速報です――――――』
視線が、
固まった頭でも、
「
第二章 - 絆 完
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