8.証明するには試されるしかない/神685-4(Pri)-18

 運命の日がやってきた。

 昨日は結局レインさんも混ざって四人で色々準備をした。

 おかげで今日やってくる二入に関する情報はかなり把握している。


 普段から良く顔を合わせるレインさんも知恵を貸してくれた。

 今までで一番良い条件で話し合いが出来るだろう。

 でも、昨日は四人で夕食を一緒にしてエリアとレインさんは帰した。

 質問とか性格とか色んな情報が出揃ったところでわざと。

 理由は、そんな前以て答えを準備しては駄目な気がしたからだ。


 もし、これが就職のための面接だと考えてみよう。

 面接官が欲しがるのは真実であって準備された答えではないはずだ。

 そこで嘘をついて就職したとしても、きっと互いのためにはならない。

 これは私が就職活動してた時、どっかで見た言葉だがその通りだと思った。


 もちろん、今回のこれは就職のための面接ではない。

 でも根本的なところ、《どういう人間か知りたい》というところは同じだろう。

 だったらここは素顔で行くべきだとみんなを説得して帰らせたということだ。


「妙なところで硬いですね……アユム様」


「いつものことですよ、《相手は自分を写す鏡である》

 私は常にそう有りたいと思っています」


「エリアちゃんの時みたいにですか……。

 今回はエリアちゃんの時よりも後がありませんよ?」


「後がなくても引けないものはあるのです」


 まあ、それっぽい理由はいくらでも並べられるけど、一番の理由ははこれだった。

 事前に用意した答えは、状況次第で答えになる。

 その場合、私はその答えを口にしない、どうあってもだ。

 まさしくエリアの時と同じで《引けないのなら引かない》を貫きたいがため。

 あえて答えを用意しないで、相手の出方次第で決めることにした。


「もう、本当に子供なんですから」


「男はいつになっても子供、ということにしてください」


「そういうことにしておきましょう。それで、どうですか?」


「いつも通りですね、悩んで出た結論がいつも通りだったので」


 皆のおかげで色々知れたのは良かった。

 どういう人だとかはわかったし、その点は皆に感謝している。

 でもどうなっても出方次第で私は対応を変える。

 本当にいつも通りの方法であり、それなら緊張する理由もないということだ。

 ――まあ、確かに今回は話し合いに失敗した時のリスクがでかいのだが。

 そんな私の返答を聞いて、レミアさんは呆れたように大きくため息をついた。


「両方ともいつも通りということですね。

 後でエリアちゃんとレインには何か奢ってください」


「可能であるのなら、それこそレミアさんとエレミアも一緒に」


 そこまで言って、会話は中断された。

 私も特に喋ることがなかったため、昨日までの勉強内容を復習することにする。

 因みに勉強というのは村長たちの性格分析ではなく、魔法に関するものだ。


 魔法というのはファンタジー作品の代名詞だ。

 ファンタジーが仮想ファンタジーたる所以でもある。

 現実に存在しないという点でも、元の世界では想像でしか描けなかった点でも、魔法というのはその言葉だけでも人をメルヘンの世界に導く。


 現代にもルーン魔術とか錬金術とかは残っている。

 またそれらに関する様々な資料は数えきれないほどに残っている。

 しかし、私たちが夢見るその魔法とは距離があるのが実情だ。

 その意味でも、魔法はファンタジーを語るには欠かせない。


 ただ昨日言った通り、基本的に私は魔法を使えない――

 この世界の魔法は、厳密に魔法と魔術を区別しているので、正確には《魔術》を使えないことになる。


 魔法は法であり、魔術は術である。

 法とは法則を意味する、つまりは理論だ。

 魔法とは何かという根本的な質問から関連する法則や歴史など。

 魔術と関わりがある全ての理論を全部まとめて《魔法》と呼ぶ。


 因みに法則と言ったら聞こえは良いが、要は科学だ。

 より正確にいうと物理学や化学関係の話になる。


 そして術とは技術、私たちが夢見るそれだ。

 ただこれには理論の前に自然に漂うマナーを感じられないと始まらない。

 マナー自体は後天的にも適応力を高められるらしいが、それも年単位の話になる。

 今のところ、私一人で魔術を使うのは不可能という結論だった。


 ついでの話だが、この世界の子供はみんなマナーの適応力がある。

 特殊な方法を使って、適応力が高まりやすい子供の頃にそれをやっておくらしい。

 マナー適応力を上げて、魔術を使えなくともマナーを感じられるようにする。

 そうすることで、もしもの時にそれを感知できるからという理由だ。


 方法は種族ごとに違うが、やらない種族はいないって言ってた。

 お陰様で異世界人という証拠がもう一つ増えたということだが、全然嬉しくない。


 それで今週はずっと魔法の勉強だった。

 理論を知っていればマナーを感じた瞬間から簡単なものは使える。

 だから、何時かのその日のための勉強である。


 まあ、そういう勉強は慣れてる。

 憧れてた魔法……いや、魔術が使えるのなら勉強するのはやぶさかではない。

 やぶさかではないんだけど、実技なしで理論だけを学ぶのは――

 ぶっちゃけ苦手だ、半年以内に忘れる自信がある。


 なので実際、半分は諦め状態だ。

 マナーの扱い方は見えないと始まらない。

 今使えるわけでもないのに今更、化学や物理学を学びたくもない。


「魔術師も魔法師も決して楽な道ではありませんよ?」


「知ってはいますけど……まあ、ぼちぼちやります」


 横で私の表情を読んだのかレミアさんが一言突っ込んできた。

 因みにこの世界の魔法師は理論専門で魔術師は実技専門という扱いだ。

 元の世界での科学者と技術者を思い浮かべればわかりやすいかと思う。


――――トントン


『失礼する。レミアよ居るか?』


 そんな部屋の中に静かに広がるノックの音と聞き慣れない男性の声。

 というか今まで私が聞いた男性エルフの声は、私を気絶させたあの男しかない。

 確かレントと言ってたような気がするが、それすら覚えてないのだ。

 だから、どっちにしろ私からすれば聞き慣れない声にしかならないだろう。


 でも、そんなに大きい声でも無いのに部屋中に響く圧力を持っている声だった。

 この声を一度でも聞いたのなら忘れるはずがない。

 今日来ると言ってた人の事を考えると逆になるほどと納得する自分がいた。


 レミアさんは返事をする前に一度だけ私を見た。

 そしてその視線に私も大丈夫だと頷いてみせる。

 それを見てからレミアさんは扉の向こうに居るであろう男。

 フリュード村の村長、エルド・フリュードに返事をした。


「はい、どうぞ中に入ってください」


『うむ、では失礼する』


 そうして中に入ってきたのは強面のエルフと、細目のエルフ二人が入ってきた。

 なるほど、これはわかりやすい。

 恐らく強面の方がエルド村長で残る一人が秘書のノマードのはずだ。


 入ってきたエルド村長は私を一瞬だけ見たが、そのまま視線をレミアさんに移す。

 レミアさんとの挨拶を交わす後ろの秘書は、村長よりは興味を持ってるようだ。


 でも、秘書さんも視線がどうも先日のエリアに似てるな。

 村長はそんな生ぬるいものではなく、ガン無視だ。

 本当に話し合いに来たのか?

 ――いや、やはり半分は決めつけてる感じだ。


 はあ、そうか――そりゃあ、予想はしてたけどこれは辛い。

 上手くいく気が全くしないし、私が頭を下げる気はもっとしない。

 でも、どんなに状況が悪く見えても、とりあえずは様子見だ。

 こっちに話をかける前にとりあえずの印象から判断しよう。


 先ずは村長さん。

 顔もそうだが雰囲気からも堅実な感じがする。

 どこまで柔軟な考え方をしてくれるかが疑問な感じの顔だ。

 ただ本当に話してみないとわからないけど、こういうタイプは大体ぽっと出の何かをよろしく思わないケースが多い。


 次は秘書さん。

 こっちは冷静沈着、眼鏡はかけてないけどかけたら似合いそうだ。

 冷たそう……には見えないが博識と言っていたし知識には自信がありそうだ。

 逆に知識にないものとの向き合い方が気になるところではある。


 そういや、エリアも世話になってる人と言ってたっけ。

 じゃあ、目で見たものを判断するタイプと仮判定しておこう。

 村長さんよりは多少やりやすいかな。


「――それで? お前が例の人間か?」


 そんなことを思ってるといきなり聞いてきた。

 エリアはほぼ無意識レベルだったけど、こっちは敵意丸出し状態だ。

 つい出ちゃいそうなため息をぐっと堪えて、かつそのまま何も包まず返す。


「そうなんでしょうね、ここには自分しかいませんし」


「ふん、態度がデカイな、流石は人間と言ったところか」


「そちらも負けないかと思いますが、流石は村長さんですね」


「こいつ……!」


「村長、抑えてください。そんな態度じゃ会話なんか出来ません――

 レミアさん、とりあえずお茶をお願いしてもよろしいでしょうか」


「はい、畏まりました――――

 アユム様は鏡のような方なので、ちゃんと接してくださいね?」


 切れそうな村長さんを秘書さんが抑えてからレミアさんにお茶を頼んだ。

 こういう場で暖かいお茶は逆に危ない気もするが……。

 レミアさんなら上手くやってくれるだろう。

 因みに《鏡のような方》という言葉は突っ込まないことにする。

 実際今日はそのつもりでここにいるわけだし。


「それで、アユムさん、でしたっけ」


「はい、そうなります」


「ああ、申し遅れました。

 私はノマードと言いまして、この村の村長秘書をやっています」


「自分はアユムと言います。今の所は――まあ、無職ですね。

 とりあえずは勉強中の身ということで」


「勉強中――まあ、上手く回しましたね」


「場の空気を重くする必要はないでしょう」


 私を閉じ込めているのはこの村のエルフたちで、その首謀者は目の前のこの二人。

 ちゃんとした話し合いなら別に自分からそれを突っつく気は全然ない。

 横で村長さんは納得行かない感じでこちらを見ている。

 多分だけど、秘書さんがいなかったら既にこの部屋を出てるだろう。

 そんな私の態度を見て、秘書さんは面白いといった感じで続いた。


「鏡か、うん確かに、君は別に私達を何とも思ってないね」


「心配しなくともちゃんととして見てますよ。

 何とも思ってないなら会話なんか成立しません」


「そうだね、それは真理だ。

 エルドさん、どうですか? 何か刺さりませんか?」


「何も刺さらん、そもそも信用できるはずがなかろう」


 信用できるはずがない。

 つまりは会話する気はない。

 この村長は私と話し合いがしたくて来たのはなく、尋問がしたかったのだろう。


 単純な受け答え。

 質問をかけたら私は素直に返答するとだけというものを期待した。

 そもそも信用していないのならここで私が何を言ってもこの人には伝わらない。

 結局いいように捻じ曲げられるだけだ。

 私としてはどうにも出来ないと思ったところで、秘書さんの方で先に動いた。


「心外ですね。

 確か村長はあなたの娘たちと監視団長のレインの目を信じてきたはずですが?」


「当然だ、身内の言葉を信じないわけにはいかない」


「なのにアユムさんは信じないと」


「危険がないのはわかった、ただそれ以外を簡単に信じることは出来ない」


「彼が人間だから?」


「そうだ」


「はあ――アユムさん。これが現状です」


「なる……ほど」


 今、私が村長さんから一番聞きたかった質問。

 それを適切に切り出し、私の前で答えるようにしてくれたのはありがたい。

 でも、流石にどもらずにはいられなかった。


 秘書さんが言った《現状》というのは、エルフ達の現状だ。

 つまりこの、会話すら成立しない村長さんの態度。

 これを一般的なエルフの態度と見て良いという話なのだ。


 これがどもらずに居られるか。

 根深い、根深いと思ってはいたけどここまでとは思わなかった。


 この人はエレミアやレミアさんの父であり、村長でもある。

 秘書さんまで好評価なのだから少しは受け入れてくれるのではとも思った。

 しかし、早計だったかもしれない。

 そうやって焦っているといつもの如く、狙ったかのようなタイミングでレミアさんのお茶が目の前に置かれた。


「まあ、とりあえずはお茶にしてください、時間はたっぷりありますし」


「おっとすみません。ありがとうございます」


「……いただこう」


「ありがとうございます、レミアさん」


 良いタイミングでお茶を届けてくれたレミアさんに感謝し、お茶を受け取る。

 いつものように熱くも冷たくもないちょうどいい温度のお茶。

 ただ少しだけ変わってるところが一つだけあった。


 村長さんに渡されたコップが普段見かけるコップではなかった。

 緑の木の葉で作られたコップ、のように見えた。

 でも木の葉のみでお湯を入れられるコップを作れるというのは聞いてない。

 村長さんもそれに気づいたのか、苦笑いでレミアさんを見た。


「これは、もしかしてフォレスト様の?」


「はい、加護を受けた湯呑になります」


「なるほど、さすがはレミアさんです。

 万が一の時、それで村長の暴走を止めるということですね」


「湯呑と言っても神の加護が宿った物です。

 粗雑な扱いは出来ませんし、これなら投げられても人に危害は加えません。

 この場合、本来ならお客様であるアユム様にお出しするのですが――

 ここは敢えて、村長に使わせていただきました」


「――はぁ、わかった。

 とりあえずは自重しよう、だからその目は止めてくれないか」


 因みに、私はあのコップを初めて見た。

 別にあれで飲んでみたいというわけではないが、理由が気になるところでもある。


 でも、今はそんなことより眼の前の問題に集中しよう。

 村長さんも少しだけど剣呑な空気が軽くなった気がするし。

 と言っても根本的なところは何も変わってないのだが。


 そう、根本的な問題、根本的なところが問題だ。

 先程、秘書さんから村長さんに投げた質問、

 これがこの問題の始まりと終わり、アルファとオメガなのだ。


 私が人間であることを変えることは出来ない。

 エルフが人間を嫌うことは嫌というほどわかった。

 でも、人間という種族は嫌いでも個人まで嫌う理由はないのではないか?

 いや、せめて個人は嫌悪の対象外に出来るのではないか?


「あの、村長さん」


「――なんだ」


「あなたが人間を嫌うのはよくわかりました。

 他のエルフたちもそうなのでしょう。

 でも、私はあなたをエルフである前に人、一人の知性体として接しています」


「それは態度から既にわかっている。

 それに、もしお前が他の人間たちと同じであったなら、私はここに来なかった。

 エレミアはともかくとしてもレミアとレインは認めなかっただろうからな」


 お茶のおかげか、会話が成立した。

 それに相変わらず渋々ではあるが、肯定的な意見を聞けた。

 このチャンスを逃すわけにはいかない。


「なら、機会を与えてくださいませんか。

 ――自分に、自分を証明できる機会を」


「ふむ……」


「村長、彼は筋を通そうとしています。

 それに正しい要求だと思われます。

 村の状況は自分もわかってますが、機会を与えてみてはいかがでしょうか」


 私の発言に秘書さんも力を乗せてきた。

 ――正直、この秘書さんは色んな意味で油断できないと未だ思ってる。

 でも、今は味方になってくれそうで何よりだ。


 流石に今回は、色よい返事が貰えるのかと村長さんを見つめる。

 しかし、当の村長さんは相変わらずの苦い表情で答えた。


「ノマードよ、話がそう簡単じゃないのは知っているだろう。

 そもそも機会と言っても、村のエルフたちを認めさせることは――」


「まあ、わかりやすい方法がないのは確かですが……」


「すぐに全てを成すのが無理なのはわかってます。

 今はただ、正式に滞在許可を得て、自分が村を歩けるようになれば良いのです」


 段々焦ってきた。

 何とか鎮めようと手に持ったお茶を一気に飲み干す。


 ――今これを何とかしないと、時間をいくら費やしても無駄な気さえしてきた。

 そもそも、これ以上出来ることなんてない。

 何とか、この教会から出られるようにならないと次の手も出せないんだ。


 部屋の中に静寂が訪れて、それに反比例するように自分の心がざわつく。

 ――その時、廊下を走る足音がどんどん近づいて来る。

 そして、その勢いのまま部屋の扉が激しく開かれた。


「失礼します! 村長はいらっしゃいますか!?」


 入ってきたのはレインだった。

 しかしその表情は相当深刻なもので、私を含む全員の身に緊張が走る。

 そこでいち早く反応したのは、当然のことながら村長さんだった。


「何事だ!?」


「賊です! エレミア様をさらった例の奴隷商人たちです!」


 奴隷商人って、最初のあそこか!?

 なんでここに……いや、なんで今さら!?

 賊ということはということだよな?

 いや、それよりも――――


「位置は? そして規模はどうなる?」


「位置は森に入る手前で、今回は発見が早かったです。

 規模は五十人くらいになります」


「――こちらの指揮をしてるのはレントだな?」


「そうなります」


 流石は村長と言ったところか、優先順位はわかっているようだ。

 今、大事なのは理由ではなく情報と迎え撃つ準備だ。


 ただ、あの時は騒ぎの最中だったし、周りを見渡す状況でもなかった。

 当の商人の顔もパッと見ただけだから今では思い出せないけど……。

 ――流石に無謀すぎやしないか?


「――これが良いかもな」


「村長……?」


 村長さんは呟きながら立ち上がる。

 それに釣られて秘書さんも首を傾げながらも一緒に立ち上がった。

 いや、その行動自体は当然のことだから、何も言うことはない。

 どっちにしろ攻め入ろうとしている敵がいるなら、私なんかに構ってる暇はない。

 でも、村長さんの呟きからは得体の知れない寒気が感じられた。


「おい、アユムとやら――さっき、機会をくださいと言ったな?」


「……言っておきますが、戦闘は出来ません」


「それは既に聞いている。

 知ってる上で、試させてもらうとしよう。

 この試しを乗り越えるのなら、正式に君の滞在を認めよう」


「その試しというのは?」


「今日か明日中に知らせる。

 安心しろ、お前に出来ないことをさせる気はない」


 それだけ言って、手に持っていたお茶を一気に飲み干して部屋を出ていく。

 秘書さんとレインさんも急いで村長さんについていった。

 残されたのはいつもの二人と、空のコップ三つだけだった。


「行って、しまいましたね」


「父もエルフです。

 口に出したことは守られると思いますから……。

 今回の目的は果たせたと見て良いのではないでしょうか」


「そこは、心配してませんが――」


「――もしかして、あの人間たちことが?」


「それこそまさかです。それこそどうでもいいでしょう、ただ――」


 滞在を認める、というのは村長さん本人が渋ったように簡単なことではない。

 今の村の状況からしたら尚更だ。

 なのに正式に認めると言った、それも今日か明日中に知らせるとも。

 ……元々狙ってたのは、少しだけ目を瞑ってくれるだけだったのだが。


「ただ――そう簡単なものではない気がします」


 例の奴隷商人の軍勢がどんなものであれ、そこは気にしない。

 森の中でエルフと戦うのにしては人数が少なすぎる。

 何をどう見ても彼らに勝ち目はない。

 そして恐らく、私への試しと彼らが関係してるのは間違いないだろう。


 口では表現できない不安感が胸の奥底から込み上がって来る。

 私は何も言えず、空になって置いてある一つと二つのコップをただ眺めた。

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