3.Gは魔王の存在を知る

おのれ、すばやさ30の我が着いていくのがやっととは。


先ほどステータスの高さに驚かれていた3匹以外の巨人も我と比べれば何十倍ものステータスを持つに違いない。


早く強くならねばならないが焦ってはだめだである。


ぬおっ、角を曲がったか。


急げ見失ってはダメだ。


ぬぬ、これはなんだ非常に嫌な予感がするぞ。


この感じはいままでも感じた事があるぞ!嘗てこの感じを経験したことがあるのだ。


あの時は確か物陰から出た瞬間巨人に見つかったのだ。




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≪適応力≫で直感LV1を取得

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このまま角を曲がってはならぬ。


己の感を信じて一度角の前で立ち止まるべきだな。


ゆっくりと顔を覗かせ角の向こうを確認すると、巨人が一人こちらを注視しておった。


ふう、危なかったぞ。


慎重なしかし迅速な尾行を続けよるぞ。


それ以降、嫌な予感を頼りにあるときは隙間に身を隠し、ある時は天井に張り付き、そうした危機を何度も回避したのだ。




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偽装   LV1⇒3

気配遮断 LV1⇒3

直観   LV1⇒3

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ふむ、やはりスキルの向上には実践が一番なのだな。


早くも一つ重要な情報を取得した我は巨人に勝つ日もそう遠くないな。


我が頭脳はなんと恐ろしいことか。






どうやら巨人どもがついに目的地に着いたようじゃ。


なぜなら巨人どもが一つの部屋に続々と入っていっておる。


し、しまった。


慎重に巨人どもの隙をついて部屋に侵入しようと様子見をしておったら最後の巨人が扉を閉めおった。


うぬぬ、どこか別のところから入れるところはないのか探すしかないのか。


とりあえず部屋のまわりの壁を調べるぞ。


ふ~む、我の《直感》がこの辺りが怪しいといっておるわ。


どれどれ、ほほう、ここの隙間から光が漏れておるわ。


巨人では通れぬが我であれば余裕で抜けられるわ。


巨人どもは図体ばかりでかく詰めが甘い蜂蜜のように甘いの~。


ここから部屋に進入して巨人どもから情報を盗んでくれるわ。


はっはっはっは~。




「我々が勇者さまがたを召喚したのには理由があります。女神イリス様が残したと言われる神託です。魔王が世界に再び現れたなら召喚した勇者とともにこれを討つべしと。我々も召喚された勇者さまが何も知らずに召喚されるとは思っておりませんでした。」


ヒゲ巨人が我と小型巨人どもを召喚した経緯をちょうど説明しているようだ。


話も始まったばかりじゃの。


もたもたしておるから我に情報をとられるのじゃぞ。


「さきほどステータスを確認してあなた方が我々を召喚した勇者であろうことは分かります。しかし、私達は戦いとは無縁で生きてきました。だから戦うことはできません。もとの場所へ返してください。」


我を叩き潰そうとした勇者と呼ばれた小型巨人が代表で話しているのかの?


「勇者様たちの事情はおおよそ把握しました。ただ帰還はすぐにはできません。」


「どういうことだ!」


「すぐ返せよ!」


「犯罪だぞ!」


帰れないと聞いて小型巨人どもが騒ぎ出した。


小型巨人どもは本当に我と同じ世界から来たのだろうかと思うほど危機感がないのぉ。


「勇者様、最後まで話を聞いてください。お願いします。」


ヒゲ巨人はいやに下手に出ておる気がするのぉ。


「みんな、ひとまず最後まで聞いてから判断しよう。」


勇者巨人が小型巨人どもを諌めまとめておるのか、こやつが要注意巨人かもしれん。


「ありがとうございます。勇者様方をお返しするには必要なものが二つあります。1つ目は勇者様たちが来られた場所の位置の特定。これは勇者様と一緒に持ってこられたものを解析し、召喚の残留から特定します。二つ目は魔力です。これが非常に問題です。今回の召喚で使用した魔力は500年前から宮廷魔術師がためた魔力と魔石を使っており、帰還にはその倍は必要と考えられています。」


それでは小型巨人どもが生きている間には帰還できんな。


「それは帰れないと同じですよね。」


「確かに普通の方法であれば何百年も時間が必要です。しかし普通でない方法を使えば可能です。それは魔王や魔王軍幹部の魔石の使用です。そもそも魔石とは魔物や魔族の体内にあり、強いものほど強い魔力を宿しています。」


なるほど、もしヒゲ巨人の言っていることが本当なら魔王を倒すことができれば小型巨人どもは帰れると。


ふむ、そんな1000年以上貯めた魔力に匹敵する魔石を使えば我は巨人どもを倒す力が手にはいるかもしれんのぉ。


なにせ小型巨人どもや我を強くした魔法の2倍の強さを宿しておるのだからのぉ。


ふっふっふっふ、我が聞いておるとも知らずに迂闊に重要な話をしてくれてありがたいのぉ。


「それはつまり、帰りたければ僕達に魔王を倒せということですか。」


「そう思われてもしかたがないが、もちろん。勇者様方以外が魔王を倒しても我王国がその魔石を買い取り勇者様方をお返しします。勇者様方が魔王を倒されない場合もこの世界で生きるすべをお教えします。ただ、勇者様方ほど強くなれる可能性がある人物はおそらくおりません。なにとぞお考え下さい。」


「分かりました。よく皆で相談してお答えします。」


「ありがとうございます。今日は食事を取ってゆっくり休んでください。勇者様方にはメイドをお付けしますので何なりと申しつけください。明日からこの世界で生きるのに必要な知識と技術をお教えします。それでは食事にしましょう。」


どうやら一旦話は終わりのようだ。


我も食料を調達せねばな。

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