第542話

 思わず、フォックスが叫び声をあげる寸前、ボクは彼の口を塞ぎ、一万円札を数枚握らせた。

『た、頼む! 黙って用を足してくれ!!』

 耳元へ囁きかけた。


『ン…、う~ン…、うン……』

 フォックスは我慢の限界なのか、ボクの顔と握らせた金を見て、うめくように何度も頷いた。

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