元チートツール製作者のスキル《チートツール》が最強ってレベルじゃないんだが
魚を1匹見つけたら100匹いると思え
序章 運以外《SSS》ってなろう小説みてえだなぁ!?
第1話 不正道具製作者の人生終了
「中国人ってやっぱ金持ってんだな。滅茶苦茶投資してくれるやんけ」
暗い部屋でパソコンを睨みつけながらそう呟く25歳の俺……シメサバタダノリ。
周囲から世界一のチート製作者と呼ばれている俺は、最近話題のバトルロワイヤルのチートツールを作ったんだがこれが飛ぶように売れる、そんな購入者たちの使う言語は大体中国語だ。
しかしこのチートがそんなに反応が良かったとは思わなかったが……
「……いや、よくよく考えたらあいつらの生活の支えだしな。そら欲しくなるか」
そう思いながら俺が作ったチートをまとめて投稿サイトにあげた動画をボンヤリと眺める。
動画の内容は、投稿者が防具を装備していない敵プレイヤーに発砲するが、血も出ずいくら撃っても死なず、火花のようなエフェクトを放ちながら近づいてくるというものだった。
このチートの名前は確か『ターミネー〇ー』だったような気がする。
他にも時間を停止することができる『ザ・ワール〇』や、アイテムを超高速で両手から発射することができる『波動〇』、どんなアイテムでも自由に無限に取り出せる『四次元ポケッ〇(ちょっと違う)』なども紹介されていた。
そんな滅茶苦茶なチートを作っては販売しゲームを廃れさせては別のゲームへとイナゴ渡りをしてきた俺だが、正直な話、ゲーム全般ではチートは使わない方が絶対面白いと思う。
「チート使うヤツは分かってない。レベルをゆっくり上げていくっていうゲームならではの楽しみを放棄してるわ」
無双したけりゃ戦国無〇でも買えよといつも言うが、チートを求めている奴らはそれを拒否し、俺に必死にチートを求めてくる。
『いや、じゃあまず販売するなよ』
というヤツもいるかもしれないが、別に俺は自分のチートをゲームで使ったりはしないし、まず対人ゲームやMMOをあまりやらないのでどうなろうがどーでもいい。
その動画のコメ欄には様々な俺に対しての罵詈雑言が書かれていた。
『ヤブ医師ね!』
『実力で勝てないからチート作ってるんでしょ?』
『医師????wwwwただの猿じゃんwwwww』
『Fuck You』
『ネットでしかイキれない陰キャwwwww』
『野〇先輩よりもウンコに近い男』
『ネットのゴミ』
当たり前だよな、自分らのゲーム荒らされたらたまったもんじゃないわ。
だからといってチート作るのやめたりしないけど。
何故俺が”ヤブ医師‘‘って呼ばれているのか、由来は一つのエピソードから来ている。
元々のオンラインでの名前は山田太郎だった。
ある日、とある超有名な難攻不落と言われていたオンラインゲームの抜け道を俺だけが見つけて、中の様々なプログラムを盗み見してから帰ろうとした。
だがそんな中『このゲームはこのバグをなかなか治せない』と言われていた『NPCのテキストと音声が全く噛み合っていないバグ』の原因を見つけてなんとなく修正したことがあった。
そのバグが修正されてからそのオンラインゲームを遊んでいた全世界のユーザーは「いつの間にか治っている」ととても喜んだ。
まあ数日後にはチートまみれになって滅茶苦茶荒れたんだけど。
そんな中、運営は1週間過ぎてからやっと俺が中へともぐりこんでいたこと、バグを勝手に治していたことに気が付き面白いと思ったのだろうか、その事件の説明を動画にして動画投稿サイトにアップした。
んでそれが『バグを治しながらもチートを作るというヤブ医者のような仕事っぷり』と言われて超有名になり、現在に至るというわけだ。
正直、俺はこのあだ名を気に入っている。
「いやそんなことどうでもいいわ、それよりも今日届いたこれを……」
置いてあった大きい箱のガムテープを無理矢理引きちぎる。
その中にあったのはそう……!
「よっしゃあ! 最近話題のVRゴーグ……ごほん」
いかんいかん、あまりの嬉しさに大声で叫んでしまった。普通に近所迷惑だし、目立つことが大嫌いな俺にとっては重要な問題だ。
しかし3日間で届くんだなさすがAmazo〇、部品も全部そろってるし、ソフトも二つ入っていた。
「あーっと、こっちがオフラインで、こっちがオンゲのか」
二つのソフトのうち一つはシューティングゲームらしく、言うなればL4D〇のVRバージョンのような一人でもみんなでも遊べるクッソ楽しみだったソフトだ。
ちなみに協力ゲームのチートは需要はあるっちゃあるが対人ゲームに比べたらあまりないのでそこまで作っていない。どちらかというとmodをかなり作っている。
そしてもう一つのソフトが、俺のイナゴ渡りの次の目的地『ファンタジー・ワールド・オンライン』最近発売されたファンタジーRPGだ。
今の時点でVR専用だというのにかなりの人口がいるらしく、その理由は自身のモデルをゲーム内でも使うことができるからだと。
つまりVRチャッ〇のオンゲ版みたいなものであり、最近はやりのVTuber達もこぞってこのゲームを実況し始めたらしい。
そんな中、俺がチートを販売しはじめたらもっと多くの人に嫌われるだろうな。
「とりま偵察がてら先にファンタジーからやってみるか。えーっと、こうやって付けるんだな」
ソフトをハイスペPCに突っ込みVRの設定をちゃっちゃと行うと、部屋の空いている場所まで行き、両手にリモコンを握る。
やっぱり初めてVR被るだけあってワクワクする。
子供のころに始めてゲームを買ってもらった時に感じたのと同じ感じだな。
初期設定には興味がない。
そんなことよりも早くゲームをやりたいということもあって約30秒ほどでゲームのムービーが流れ始めた。
『かつてこの世界は暗闇だった。
見渡しても黒のみ、何も感じないし、何も存在してはいなかった。
だが、そんな世界でとある少女達が生まれてきた。
調停者タリス
監視者ディーゼル
種蒔きのバルトラ
深淵潜りのドーランダ
光月の化身アメロニア
1日目 調停者タリスは”世界のしくみ”を定めた
2日目 監視者ディーゼルは”罪”を定めた
3日目 種蒔きのバルドラは”生物の根源”を蒔いた
4日目 深淵潜りのドーランダは”深淵”を生み出し、自らその中へと潜った
5日目 光月の化身アメロニアは”月”を空へ飾った
6日目 少女達は魔力を使って太陽を作り、空高くに飾ったのち、息絶えた
7日目 ”生命の根源”から生まれた生物は、皆少女達の”指”となった
これがこの世界の始まりで―――』
「あっはいそうっすか」
長くなりそうなのでスキップボタンを押すとすぐさまキャラクリ画面へと切り替わる。
このゲームは自身が作ったモデルを使えるが、そんなものを持っていない人でもゲームの中でアバターが作れるようだ。
腰の大きさ首の太さ、顔のでっぱりや体の影まで変えられるようだ。
「……全裸modとか需要ありそうだな。後でプログラム組んでみるか」
まあキャラクリはしない、この日のためにパイプを使って俺専用のキャラを作ってもらっていた。
デザインに最も影響されたのは、かつての中世ヨーロッパで黒死病が流行った時に、医療知識が全くなかったヤブ医者が多かったと言われているペスト医師だ。
カラスのような特徴的なマスク、少し傷んだシルクハット、茶色いコートに腰に巻き付けられたポーチとランプ……デザインも好みだし、ヤブ医者と言われている俺にぴったりじゃあないか。
また今度仕事を頼んでみようかな。
そんなことを考えてると、頭に巻き付けたVRの位置がズレたような気がしたので調整しようとした。
その時だった。
「……は?」
ユーザーインターフェースと……青い空? 白い雲? 揺れる……木の葉か?
先ほどのアバターが中央で浮いている画面はどこにいったん……
「俺いつの間に横になってたんだ?」
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