(水+熱)+{(水+土)+熱}=熱湯爆弾
迷宮核側の橋頭保として造られた半円の防壁に配置された3体の支援用のスライムたち、このスライムたちは前線で戦っているスライムたちへの水と土や泥の供給だけをやっていたわけではない。
いや、やっていることは水を、土を、熱を精製をしていただけなのだが、目的が異なっていた。
そうして、異なる目的のを遂行する為に貯めこまれた、水と土はこれから行われることに使用する為に、さらに手を掛けて変化させられていた。
現在前線で活躍している3体のスライムたちは能力が増大したため、ローテーションを組んで1体ずつ敵へと攻撃を仕掛けている。
1体が攻撃しているとき、1体は移動し、1体は自陣で件の準備を行っていた。
この準備が中々に凶悪な物で、まず、水に高温の熱を与える。
次に水と土を混ぜて泥を作り、これを中身が空の陶器の様な球を作り出す。
最後にこの球の中に高温の水を注ぎ込み空いている孔を塞ぐ。
熱湯の爆弾の完成だ。
この完成した熱湯爆弾はすぐさま実践に投入された。
攻撃の順番になったスライムは温度が下がらないようにしつつ、これを保持して適防壁へと接近、自身の遠距離到達距離まで近づくと爆弾を壁と壁の間に投げ入れた。
投げ入れられた熱湯爆弾は白い床にぶつかり弾けることになる。
すると、まず水を覆っていた陶器部分の破片が壁を修復または新たに作り出していたスライムや、防衛行動を取るべく配置されていたスライムたちへと襲い掛かりこれを撃破。
熱を与えられた水に、内側から圧力が掛かっていた陶器部分、その陶器部分だが、その圧力耐える程度の厚さを持っていた為、これだけで成長していない脆弱なスライムは息絶えることになる。
だが熱湯爆弾の効果はこれだけでは終わらない。
陶器から解放された高温の水が水蒸気となり壁と壁の間に留まったのだ。
上面が解放されているとはいえ、熱源となる水は床に貯まり横方向は壁がある。
これによって水蒸気は壁の間を満たしていく。
熱は徐々に上方に逃げていくか、冷めていくかしていくのだが、後続のスライムもまた熱湯爆弾を持って来ていてこれを投擲。
冷めつつある壁の間の通路はまた熱しられて温度を上昇させる。
これを、何度も何度も繰り返していくと、いつしか壁は早々に冷めない状態へとなっていく。
こうなってくると、進行側のスモールホットスライムでは、対処できないほどの熱量に達してしまい。
壁の間にはスライムは一体もいなくなってしまった。
水蒸気に煙る壁の間を我が物顔で通り抜けるは3体のスライムたち。
幾重にかに建てられている壁の間にある通路を通り抜け、湯煙の中からヌッっと徐に姿を現すスライムたち。
かれらの能力であれば余裕をもってこの熱量の中を通り抜けられるようだ。
そんなかれらの姿を眺めるのは、自陣の中だというのに負い込められている幾体かのスライムたち、木の扉から後続のスライムはすでに侵入していなくなっている。
蹂躙
瞬く間にこちらがに来たスライムたちは殺され、吸収され、糧となる。
ここに至るまでに、熱湯爆弾で処理されたスライムたちは、分解され魔素となりこの部屋を漂っていたが、最後の複数体はちゃんと能力上昇の為に戴かれたのだった。
スライム吸収を終え、スライムの一体が木の扉へと触れる。
―――
扉の支配権を得ました。
―――
ふー、これでひと段落ですね。
向こう側の確認をしてください。
できればそのまま行きましょう。
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