何度目かの猥褻と出発
抗えない密室。
露わとなった俺の身体を貪るように触る二人の変態。
不慮の事故と称して至るところに触れてくる手口は達人級。
絞め落とせども絞め落とせどもすぐにどちらか片方が復活して俺を襲ってくる。
「お姉様、こちらのワンピースなんてどうでしょう?」
「お姉様、こちらなんてちょっと大胆で大人な色気が醸し出しますよ。」
「いや、普通にそこの束で売ってる服とかで良いけど…。」
「「いけません、いけません!!」」
「もうご勝手に…。」
お姉ちゃんちょっと疲れちゃったよ、だって朝からだもん。
店員さんもあらあらと微笑んでないで助けて。
こうして夕方までずっと下着から何まで姫様とミーナちゃん色に染められてしまいました。
もうお嫁に行けないよって呟きたいけど迂闊にそんな発言をすれば喜々として目を光らせる奴らが沢山いる。
「「安心して下さい、私達がもらいます!!」」
人の心を読まないで。
そんなこんなで気付けばあっという間に出発日。
今回は本当の意味での旅行に近いので大々的に送迎式みたいなのは行われない。
俺の住む教会から馬車で外へと続く門まで行き、そこで姫様やフォルクスさんと合流する手筈となっている。
さて教会の皆に出発の挨拶をする。
ロコルお姉ちゃんとミーナちゃんはこのまま馬車で一緒だけどトーラスさんとアンジェリカさんとはここでお別れだ。
なのに、二人の表情が天と地の差がある。トーラスさんなんか特にどんよりと暗い。
声をかけるのも躊躇うほど陰鬱。
「あ、アンジェリカさん、それでは行ってまいります!」
「ふ、ふん別に行ってらっしゃいなんて言わないんだからね。で、でも、またお会いしましょうですわ!ふん。」
不機嫌そうに頬を赤らめそっぽを向く。
再会を望まれているから嫌われていないね。
「ふふ、はい。ちゃんと帰ってきますね。あと、トーラスさん行ってきます。」
「う、ふぐぅぅ…ぜいじょ様行ってらっじゃいまぜぇー!!」
両手で顔を覆っても拭いきれないほどの大量の涙を流すトーラスさん。
まじで何があった?
いつまでも泣き止まないトーラスさんを周りのシスターが何処かへ連れて行った。
彼を見た者は次章まで居なかったという…。
四人乗りの対面式馬車に三人で乗り込む。
全員が座ったのを確認して動き出す。
ここで前提を伝えます。
今回の旅行は巡礼とか交流会みたいなのではなく純粋な旅行に近い。わざわざ市井の人々に公表する事ではない。だから、普通の日常の街中を馬車で通り過ぎる予定でした。
これが前提なのに当然のように跪き道を作る王都の人達。
ミーナちゃん達も当たり前のように平然として困惑するのは俺だけ。
「なんで相変わらずこんな道が出来るんだろう…。」
俺の呟きにミーナちゃんが満面な笑顔で答える。
「お姉様は信仰の対象です。敬愛する御方に跪き崇めるのは当然でしょう。本当は足を舐めるなど敬慕を示したいですがお姉様は嫌がるでしょう?ですから、せめてこれぐらいはお許し下さいませ。」
そうですか。
行ってきます。
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