バイバイ、こんにちわブーブー
やっと王都に着いた。
クートの町と最後に立ち寄った村。
結局、今までの村や町と同じように騒ぎとなった。
クートでは部屋で待機してる間に外は人でいっぱいになってるし、クートの教会の司祭も半エルドさん状態になっていた。
相変わらずエルドさんと騎士達が動き回っているようだ。
治療中も祈りを捧げる者も出てくる始末。
はいはい、そこ神じゃないよー。祈らないでじっとして。
はい、エルドさん横で泣かないで。
町を出る頃には心労で思わず外をボーッと見てたよ。
そして、ようやく王都。
門近くでもかなりの人の数。さすが大都会。
でも、少し不安がよぎる。
ここで今までの町と同じように騒ぎになったら流石の俺も耐えられる自信がない。
エルドさんがトーテルの町から出発する前に、王都に早馬で伝令を送っていたようだ。
おかげですんなりと通ることが出来た。
二つある門のうち俺らが使った門は貴族用。
庶民の俺が通っていいのかと思ったけど、エルドさんは聖女とは王族と同格の扱い、それほど価値のある重要な存在なのだと熱く教えてくれる。
大袈裟なと思ったけど、聖女だけが使える力なら確かに貴重なのかもしれない。
そして、門を抜けてそのまま王都の教会に向かう。窓越しから見える賑わい。屋台がいくつも並んでいて見たことない食べ物ばかりだ。
聖女活動の合間に食べに来られるかな?
いざとなれば、変装でもして行けばいいか。
そんな事を思いつつ到着。
エルドさんの手を借りて下車。
うわっでっか!
トーテルやクートの町とは比べ物にならない倍以上の大きさを誇っている。
この国の主要都市なだけに教会もそれ相応の規模だな。
今日からここで暮らすのかー。
馴染めるといいけど‥
エルドさんとはこのまま一緒に中に。
でも、騎士達とはここでお別れ。
俺を送り届けるのが任務だもんね。少し寂しいよ。
思わずお別れに『ありがとう。また会おうね』とカーラさんをぎゅっと抱きしめてしまった。
『おぉ‥一生の思い出にさせて頂くであります』と凄く立派な敬礼をされたけど。
エルドさんもサイルさんも羨ましそうに見ないの、俺が女の子だからカーラさんは受け入れてくれたんだから。カーラさんに抱きついたら駄目だよ。
エルドさんに連れられ中に入ると、受付?の所に2人のシスター。その奥の扉は聖堂とつながっているらしい。
エルドさんが2人のシスターに話かけている。
多分、俺の事を伝えて司教と話の場を設ける算段なんだろう。
馬車の中で説明されたが、王都の教会は司祭だけでなく司教もいるとのこと。
といっても、司教は自分の屋敷を持っているそうで今ここにいるか分からない。
お、シスターの1人が走っていく。
もしかして、今いるのかも。
それか司祭を呼びに行ったのかな?
しばらくして先ほど走っていったシスターともう1人エルドさんと同い年くらいの男性が一緒について来ている。
おお、ガタイ良いな。エルドさんより日頃から運動しているのが窺える。
「初めまして聖女様。私はこの教会で司祭をしておりますトーラスと申します。お会いできて大変光栄の至りにございます。」
礼儀正しく挨拶してくる。
俺も旅の途中で鍛えた言葉遣いで。
「いえこちらこそお出迎えして頂きありがとうございます。私は聖女の称号を承りましたアリスと申します。どうぞこれからよろしくお願い致します。」
うん、上出来上出来。
エルドさんも横でうんうん頷いているし。
「では、司教様の元まで案内させて頂きます。どうぞこちらです。」
トーラスさんの後ろをついて行く。
でも、エルドさんが少し不機嫌。
『聖女様に‥ざわざ‥‥向かせるなど』と呟いている。
上手く聞き取れないけど、俺の敬語がやっぱり変だったから怒っているのかも。
そして、一つの部屋の前に。
ん?どうしたんだろう?
トーラスさんが何故か俺に申し訳なさそうに一礼をして扉を開ける。
すると、ソファにでっぷりと座るおっさんが。
テーブルの上にはグラスがひとつ置かれていて飲みかけ。
匂い的にお酒?
こんな昼間に教会で?
二重顎の脂ぎった顔はほのかに赤らんでいた。
まじかよ
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