美姫にとっての彼

今回は美姫の視点で進みます。


「美姫ちゃんは彼のどこが好きなの?」

 まゆちゃんが突然切り出した。

「どことか、いつからとかもう覚えてないよ」

 これは私の偽らない本音だ。一緒にいるのがあたりまえ過ぎて考えたこともなかった。

 顔は? 悪くないほうだと思うけど、イケメンというわけではない。

 身長は? 高すぎず低すぎず特徴があるわけではない。

 特徴をあげるとすれば、行動力の高さと気が利くところかな。

 私も知らないまゆちゃんと彼の二人だけの秘密は気になるところだ。

 みうちゃんは本当に綺麗な女の子で、告白も2桁を超えても彼のことを思い続けてる。みうちゃんに言い寄られても答えを出せないでいるのは優柔不断としか思いえないけどきっとなにか理由があるのだろう。意味なくキープするようなタイプじゃないのは知っているしそんなことできるほど器用じゃない。


 結局、わたしはどうしたいのだろう? 付き合いたい? 添い遂げたい? 

 でも私はみうちゃんもまゆちゃんも泣いてほしくない。きっと私が彼と付き合ったら二人は悲しむ。


 って思うんだ。なんて話をみうちゃんにしているのが今。

「調子に乗らないでくれる?」

 本当に頭にきているようで語気が荒かった。

「なんでそんなに怒ってるの?」

「他人に気を使ってるようで自分中心に考えているからよ」

「そんなことないよ」

「じゃあなんで自分が結ばれる前提で話をしているの?」

 答えに詰まった。それがみうちゃんが指摘したことの正しさを物語っていた。でもそれを認めたくない私がいる。

「まゆちゃんはどうなんだろうね?」

「あの娘は付き合うとかなんて考えてないわ。ただ寄っかかってるだけよ」

 みうちゃんは本当に人のことをよく見ている。

「結ばれるのは1人だけなんだよね」

「当たり前じゃない。ハーレムエンドなんて二次元にしかありえないわ」


 彼はどんな答えを出すのだろう。

 そして私はそれを受け入れられるのだろうか。


 夜は更けていく……。

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