クイズで無双すると集まりぼっちになれない

立花戦

邂逅のネクストジャンプ

第1話絶望と未知なる既知

このみにくい世界が嫌いだ。

だから、俺は自殺を決意した。


「この世界は常にうごめいている。

悪意、憎悪、侮蔑がぁ!

そんなものを毎日のように

浴びせられたら・・・

俺が俺じゃいれないほどに

破滅な感情に支配されそうに

なってきて・・・だから。」


屋上の柵を越えて縁の上に立つ。

眼下には、喧騒で楽しそうだったのを・・・

恨めしいくなってくる。


(人生14年・・・振り返れば

本当につまらない世の中だったな!)


この世界は大きく変化した。

二年前にある伝説の

鬼才クイズ作家により、世界を震撼させた。

クイズは、娯楽から一種の希望の形に

昇華させた、まるで魔法のように。


遺産レガシーのような

そんな価値となった。

そして現代のクイズは、

喚声を上げ熱狂させ度々にニュースで観られ

無関心な人にも熱くなり

職業をプロクイズなんてものあるほどだ。

さらには、政府がクイズを

推奨までするしまつだ。

そして今の2019年は、世界はクイズで

競い己を高め未来は、輝かしい・・・

そんなキャッチフレンズの看板を

街中にどこにも似たのを目にし、俺は思う

どうかしていると。

そして俺はそのクイズが嫌いだ。


(なにがクイズなんだよ。

・・・ランクと呼ばれるものが導入?

そんなんで正解率で優劣で決めて・・・

バカじゃないのか!?)


そしてそんな感情を言うと周りの反応は

実に予想の下斜めだった。

侮蔑に疎まれた。

容赦のない罵声と嘲笑を

まるで異物を見るような眼差し。

そしていじめられた。

家族にも伝えると戸惑い

なにを考えているのか

どうしてそんな風に育ったのか

少しずつ距離を置かれていき

そして今は本当の居場所がない。

苦痛が俺の日常となった。

堪えられず自殺に敢行しようと決意するのに

十分なほどに追い詰められた。


(居場所がなく、

嫌われ幸福なんてない・・・

だから俺はこれを選択したんだよ・・・)


こんなクズが跋扈する世界にいたくもない!

俺はこの負の感情を任せるままに叫ぶ。


「クイズが面白いだって・・・

はあぁ!こんな世界にいつまでいて

苦しんだよバカがあぁぁ!!」


そして天国も地獄もない無の世界に

進もうと一歩前に足を踏む出そうと

片足を上げる。

それで何もかも苦しい思いも考えなく

済む。そしてその一歩に踏むべき

虚空を降ろそうと落下して新たなる道が

現れるをの見えてきた。

絶対無限の深淵の扉が現れ

その道を逝き行くため一歩前に――


「やめろぉぉぉぉ!!」


とめようと甲高い声が後ろからした。

背後を振り返れば

青色のシャツとチェック柄のアウターに

ジーンズの黒髪(普通)の大学生だろうか

いや、それよりも誰なんだ?


「来るな!」


とりあえずありがちな事を言う。

内心知らない人が止められ少し困惑した。


(チッ、面倒だ。

どう乗り切るか・・・。)


飛び降りればいい話だけど

なんとなくそれは、逃げみたいで

選択したくない。

なら、正義感を燃やすあの幻想を

論破してからでもいいか。

最後にそれぐらいはいいだろう。

俺の有終ゆうしゅうの美を飾る誰もいないこの場所でなぁ!


「まだ、中学生だろ

希望や夢が溢れる未来があるじゃないか!」

(ありがちな言葉だな、呆れてしまう)

「なら、その希望や夢は

いつになればあるんだよ?」

「いつか・・・必ずおとずれる!」

「・・・ハッ!」


つい、声に出て笑う。

本当に止めようとしているのか

疑わしくなってきた。

そんな誰でも言いそうな言葉を

聞いていると

核心的のようで

実は何も考えていない空っぽだ。

そんな言葉に誰が心を動かせる!


「そのいつかは、いつなんだ?」

「いつかは、俺もしらない!」

「・・・・・・はぁ!?」

(何を言っているのこの人?)

「そんなわけで、俺の出題したクイズを

解けえぇ!!」

「・・・・・。」


本当に何を言っているのだろうこの人?


(まさかヤバイ人なのか。

目が本気だよこの人!?)


その前に最後に会うのが

こんな人だと、なんだか悲しくなってきた。

そんな俺の反応しらず男は続ける。


「これを解けば諦める!」

「諦めるの!

自殺しようとしているのだけど!?」

「止めてほしい?」


なんだか頭が痛くなってきた。

支離滅裂ここ極めり。


「・・・状態が分からないが

解けばいいんだな。」

「ああ!」

「それじゃ、こっちまで持ってきてくれ。」

(俺が縁から離れたら力づくで

止めようとしているな。

こんな浅はかな作戦が通じると

思っているのかよ。

・・・だが解いて奴の絶望を見るのも

いいな。

これが俺の人生最後の戦いとして)


唐突な展開に頭がおかしくなり

正常な判断能力低下したかもしれない。

だからなのか、俺は

解くことを決めるのだった。


「少し多いだろうから

こんな縁から離れて解かないか?」

「いや、信用ができない。

早くよこせ!ここで解く。」


俺はそれなりに偏差値が高い。

クイズは、知識と知恵こそ

力の源だどうせ。

差し出される紙を受け取り

内容は本当に長かった。

それよりもこれは・・・


(難しかったり、簡単だったり

バランス悪すぎる。)


だが分かる。全部とは解けないが

多く答えれば勝ちだろう。


「終わったぞ!」


青年は受け取ると封筒から

新しい紙を・・・って!


「はい。」


爽やかな微笑みで次を渡してきた。


「・・・・・・解けと!?」

「ああ。

これだけとは言っていないからね。」

「・・・ハァー、分かったよ!

だが、これが最後だからな。」

「ああ!」


何だか論破とか解こうとか考えていたけど

なにをやろうとしてるのか理解できない。

なにをしたいんだ、あの人。そして俺も!

とりあえず速く解いて終わらせるよう。

問題は、書き問題。


【一問】キョヨウ範囲・・・


簡単だな《許容》。

許容の二文字はどちらも訓読みで《ゆる・す》と呼ぶ。


【二問】その人のサイリョウに任せる。


《裁量》とボールペンで書く。


(特に難しいと呼べないな。)


ずいぶんと普通な問題で

苦戦することない。

だが十問目で難易度が上がった。


【十問】トマト(野菜)


赤いナスと書いて《赤茄子》っと。

ちなみに他にも漢字があるが

これが一般的だ。

さらに解けば、どんどん難易度上昇する。


【十五問】ゼンマイ(植物)


分からない。


【十六問】ウグイス(鳥)


・・・駄目だ!分からん。


【一七問】ネズミ色


ネズミの漢字か。

それなら・・・

あれ、どんな字だったのだろう?


【十八問】バラ(花)


よし!

これなら分かる、《薔薇》だ。

だが、分かるのは少しだけで

ドンドン難しくなり

最後の問題ではこれだった。


【三十問】かまど(一文字)


「分かるかぁぁぁぁ!!」


つい叫んでしまうが仕方ない。

こんな明らかに漢検一級で出てくるような

漢字で中学生に出す問題か!

なんだよ、この急激な難易度上昇。

今の俺は理不尽なクイズに叫んでいる。

ペンを紙に巻き柵の上に向け投げる。

それを普通に受け取る。


「おっと・・・終わったのかな?」

「終わったよ!難しい過ぎるだろがぁ。」


せめてと罵倒しようとする俺。

巻かれた紙を広げ、中を見る大学生?


「半分も正解してないから

俺の勝ちだな!」


なにを勝った言うのかこれで。

それよりも条件をいっていない!


「だけど俺は飛び降りるけどな!」


振り返り眼下には、

俺を見る、つまり気づいた人が集まり

人垣が出来ていた。


(流石に気づくよな・・・・・・

なら、観客の前で俺の最後を

見届けてもらおうか。)


そんな負の感情で決意する。


「おーい!

ここに来てクイズやらないか?」


・・・・・。


「負けたままで、終わって悔しくないなら

別に止めないが、せっかく

面白くなったのにお前は熱く

ならなかったのか?」


そんな煽りでやめると考えているのか。

だけど、この燃えたぎるのは、なんだ?

まるで、クイズが楽しくなるようで―――


「逃げじゃない。

そもそも真剣じゃない・・・

それに・・・

クイズなんてクソくらえ!」


俺はクイズが嫌いなんだ。

俺の人生を破滅させたんだ。

憎いんだよ。


「だけど、楽しそうに解いて

いたじゃないか?」

「・・・楽しそう?」


青年は「ああ!」と、清々しく返事する。


「おまえは、このクイズに

楽しいと感じたはずだ!

宣言するよ。

自殺なんてやめて続きをするってなぁ!」


楽しいとかそんなことは・・・

少しだけならあるかもしれない。

・・・少しだけなら解いてもいいだろう。


「逃げるのは、癪に障るからな。

そのクイズ答えてやるよ!」


柵を登り縁から離れる。

その大人の前にゆっくり進む。


「フッ、解けるなら

やってみるがいい!」


不敵に笑い、クイズを用意した

紙を前に出す。

そして無我夢中で解く。

またも書き問題で

未知な戦いは続き何度目になるか一つの

クイズが終えると空気を読まない

教師や生徒がいた。そして説教され

家路に就くのだけど・・・


「どうして、あんたもいるんだよ!」

隣にあの大学生がいる。

「はは、これは厳しいな。」


おっさんみたいな事を言うな、この人。


「・・・あんたは、俺を止めるために

クイズでうまく成功した。

だけど、俺は感謝しないからな。」

「うーん、男のツンデレなんて、されても

困るのだけど。」

「ツンデレじゃねぇから!」


まったく、的外れにもほどあるだろ。

俺がツンデレな言動していないのに。


「実は最初に止めるためだったのだけど、

クイズの事になっていき、

俺が作ったクイズで楽しんでほしいと

それしか考えだけしか

なかったかな?」


そう言えば突然変異した・・・かな。

この人、かなりのクイズバカなんだな。


「そう言えば名乗っていなかったね。

僕は、米内光よないひかる

第37総理大臣の米内光政と書いて

最後の一文字を除外して

米内光。」


よないみつまさ?

よないひかる?

どうしようどんな漢字か分からない。

それは、置いといて。


「俺は、由利騎魅正ゆりきみまさ

親が由利公正ゆりきみまさのファンで

公正にしたかったんだけど

周りが止められて、

ならせめて呼び方が同じに結論した。

騎馬隊の騎と魅力の魅と公正の正の

3文字で騎魅正。

ちなみに苗字は同じ。」

「・・・えーと、

覚えるの簡単だけど

漢字が複雑的なんだね。」


苦笑して困った顔で答える

大学生もとい米内。

名前に説明なんてすれば

大抵の人は、そんな表情されるからな。


「それじゃ、ゆり君!

僕はこれで。」


赤の信号に待っていたが米内は

別の道に指を親指で道をさす米内。


「気になったけど

今は僕になってるけど

俺の記録によると確か

屋上では一人称がおれだった気が

するのだが?」


最初は疑問を抱くほどではなかったけど

そう何度も一人称で僕と言えば

気になってくる。

米内は、恥ずかしそうにして答える。


「実は、キャラなんだよ。それ」

「そうか。」

「・・・あれ?反応うすぅ!驚かないの。」

「今日、会ったばかりだけど

変人なのが分かっているから

いまさらだな。」

「あっはは、

よく言われるよ、それじゃ。」

「ああ!」


そして米内は、走って小さくなっていく。

もしかしたら忙しいのに

俺と話してくれたのか・・・。


(心配なのが分かるけど

他の人ならストーカーと間違いそうな

行動する人だな。)


信号が青になり、渡る。

それから二年が過ぎ

米内とはあれから会うことはなかったが

俺は、あの出来事のおかげでクイズが

好きになった。





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