本当に好きなものは譲らない

 皆さんはバスクチーズケーキというものご存知でしょうか?どうやら最近流行っている(北海道だけかも)ようです。


 妻は極度の甘いもの好き、どうやら甘いもの摂りすぎで、どこかに小さなポリープ(たしか胆のう)が出来てるらしいです。要経過観察で、翌年調べて大きさが変わっていないので、普段食べている甘いものの量は許容範囲と勝手に思っているようです。


 主に食べるのはコーヒーゼリーやプリンですが、だいたいはスーパーで3個入りパックが100円以下で売られてるときに両方買って来たり、レアチーズケーキやベイクドチーズケーキが単品でお買い得シールが付いてるものを良く買って来ます。

 単品物のスイーツが1個しか売られてないときは、買うときに


『お兄さんも食べる?』


 と一応聞いてきますし、3個パックのゼリーやプリンは、家で食べるとき一応食べるか聞かれます。


 ある日、北海道の有名なお菓子メーカーから、”バスキュ〜”(正確にはトカチック・バスキュ〜)という商品が出たと、朝食中に読んでいる朝刊の広告欄に出ているのを見つけました。


『お姉さん、なにやら新しいチーズケーキものが出たらしいよ』

『え?なになに?どこから?』

『柳月(りゅうげつ)からだってさ』

『柳月かぁ、それなら会社から駐車場に行く途中のデパ地下にお店ある』

『買ってみたら?でも中々良いお値段ですが(笑)』

『確かにセレブ価格だわ(汗)』

『まぁ1回どんなものか食べてみるくらいはあっても良いかもね』

『それじゃ今日買ってみるよ』


 そして帰宅時、駐車場の車で待っていると


『いや~結構混んでたよ』

『買えたの?』

『バッチリ!』

『そしたら、今日の食後のスイーツはそれだね』


 夕食後、3分で冷蔵庫から袋を取り出し


『食べる?』

『いや、まだ入らないから(笑)』

『それじゃ見るだけでも・・・』


 もう気になって気になって、拝まずにはいられなかったみたいで、テーブルに置いた箱をそっと開ける妻


『えーーーーーーーっ!』

『ん、どうした?』

『お値段の割に小さい!』

『お高いスイーツはそんなもんでしょ?』

『でも確かに美味しそう・・・早く食べたい』


 食後時間が経過し、そろそろスイーツのお時間、妻は紅茶用のお湯を沸かし、買ってきた小ぶりなバスクチーズケーキを綺麗に8等分にして準備完了。

 外はさっくり、中はしっとり濃厚で、確かに美味しいものでした。


『あー、これ好きなやつだ』

『それは良かったけど、これ頻繁に買える値段じゃ無いね』

『そこだんだよねー、どこかのコンビニとかで(安いの)出してくれないかなぁ』

『最近、コンビニのスイーツは馬鹿に出来ないみたいだから、出るかもしれないね』


 それから2ヶ月ほどが経過し、どうやらローソンからバスクチーズケーキが出たようでした。食べてみると、柳月のほど濃厚では無いものの、バスクチーズケーキの食感もしっかりあり、途端に妻はそのローソンのバスクチーズケーキをリピ買いするように(笑)。

 そして、記録的に雪が少なかった札幌に、たった1日で平年並みの積雪をもたらせた大雪の日の帰り道


『あー、タバコきれてたんだけど〇〇商店の前は、雪で車が停めれそうにないね』

『それじゃコンビニで買えば?私もプリンとか買いたいし(笑)』

『うーん、プリンならいつものスーパーまで行こうか?』

『いや、今日は高級(要は1つ売り)なプリンを食べたい気分なの』


 そんなわけで、渋滞の道から近所のローソンに寄り道、僕は最近覚えたQUICPayでさっさとタバコを買い、何を買おうか迷っている妻を待ちます。

 帰宅後夕食、この日もたまたま筋トレ日だったので、さっさと食事を済ませ筋トレして居間に戻ると、妻は紅茶を飲みながらローソンのバスクチーズケーキを食べてました。

 筋トレ直前は胃から食べ物を無くすために一切間食しませんが、筋トレ後は別でして、プロテインだけじゃなくある程度糖質も入れた方が良いらしいので


『ローソンのやつ美味しいの?』

『うん、コスパ最高だよ』

『で、僕の分は?』

『・・・・・・』

『僕の分は?』

『・・・』

『ほほう、買ってないんだ(笑)』

『だって、いつもそんなに食べないから・・・』

『それじゃ、それ、少し分けてもらおうかな(笑)』

『あ、いあ、そのくぁwせdrftgyふじこlp』


 本当にお気に入りの物は、たとえ旦那であっても譲れないようです(笑)。

 

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