シャ・ノワール

天崎 瀬奈

序章

プロローグ

貴方にとって人生とはなんだろうか。

人が生きると書いて人生というけれど。

ならば死んでるものには人生などないのだろうか。

いや、死んだものにも勿論人生”だった”ものがあるはずだ。

人生というものは脆くはかなく綺麗なものだと昔どこかの誰かが綺麗事を言っていたが、事実人生というのはどろどろと汚水のように汚れたもので人間というものは常に誰かを自分よりも下に突き落とさないと人生というものを歩めないほどには汚れている。

むしろ、誰も傷つけない。自分は下でもいい。

なんて作り笑顔貼り付けてる人間の方が怖いのだ。


”人生は選択の連続である”


かの有名なシェイクスピアは人生についてそう語った。

成功しようが失敗しようがその選択をしたのは自分自身である。

君の諦めた明日は誰かの望んだ明日かもしれない。

君の逃げた明日は誰かが君に望んだ明日かもしれない。

君の選択、君の未来、選んだ先のその選択肢は決断は。

誰かの涙や苦しみ、悔やみ嘆き、虚ろな瞳で明日の希望を奪うことになるかもしれない。その人の人生はその人が選び決断し進めていくものだけど、

その人生は自分一人だけのものじゃないということもある。

君のその選択が誰かの笑顔を奪い取って、誰かの心を抉って、

誰かの表情を曇らせ、目を虚ろにさせ孤独と静寂であとを追ってしまいたいと思わせて、助けられたのに何もできなかったって、なんであの時って、押し切ってでもって、、後悔に溺れて、苦しみを背負い続ける人間が生まれるということを理解することも大事なのだと思う。

選択肢の先にあるのは…望んだものか望まなかったものかの2択。

ハッピーエンドかバッドエンドの2つのみである。

自分にとってのハッピーエンドは誰かのバッドエンドで、自分にとってのバッドエンドは誰かにとってのハッピーエンドである。

そう、人は常に対照的である。

誰もが憎む悪役も、視点を変えれば…正義なのかもしれない。

そんな風にいう僕のこの言葉もきっと綺麗事の類になってしまうのだろうけれど。



行き場を失くしたため息に見捨てられた正義と心

苦しめられた気持ちと真っ赤な涙と踏みにじられた夢



「大人なんてくだらない」


分かりきったことだったのに気がつけばそんな大人に成り下がっていく。

眩しすぎるほど輝く描いていたはずの夢は歪んでいった。


綺麗事の溢れたこの世界の

当たり前の日常が姿を変える。


その世界でのほんの日常の話。

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