第十二章 夏、部活

 夏休み。

 けど休みはほぼない。

 毎日、部活。部活。部活。

 たまに夏休みの宿題。


 セミが、鳴く。

 じゃんじゃん鳴いている。

 

 ジジジジジィ。ジジジジジィ。


 アブラゼミだ。


 最初鳴くのはアブラゼミで、次にミンミンゼミでツクツクボウシが鳴いてさ、夏休みの終わりかけにはひぐらしの順で夏のうつろいとともに聞こえる気がする。


 理科科学部に入ったフーちゃんは、夏休みの展示会の準備で忙しい。


 ヨッシーはオレと一緒にサッカー部に入った。二人ともサッカーは全然上手くならずに下手くそだが楽しい。


 いとこのアヤミは絵画部に入った。


 夏のある日、いつものようにサッカー部の朝練に向かう。

 今日は練習試合で他校に行くので、自転車に乗って一人で中学校に向かっていた。ヨッシーとは校門で待ち合わせていた。


 上り坂を力いっぱいペダルをこいでのぼる。


 照りつける太陽はジリジリと、オレを焦がす。


「まっけねえぞ」

 上り坂の一番上まで自転車から降りるもんか!


 ぐんぐんと力強く俺はペダルを何度も何度もこいで、やっと坂の上まで登りきった。

「あれ?」

 坂の上のお菓子やパンやタバコなんかを売っている小さな商店に、俺はなんか見たことがある人が見えた気がした。

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