マー兄ちゃんは、なんで死んだ?
天雪桃那花
第一章 別れ
マー兄ちゃんが、いなくなった。
家の電話が鳴った。
母ちゃんが取った電話の受話器からマー兄ちゃんが死んだと声が聞こえ漏れた。
人が死ぬ……ということを初めて間近に感じた。
俺の身近に死という怖いものが身近に来て襲う。
それは大好きなマー兄ちゃんがこの世界からいなくなってしまったという電話だったのだ。
人が死ぬということを初めて現実に感じた時だった。
どこか違う世界の話のようだったのに。
いつか人は死ぬことはなんとなく分かっていたけれど。
それは遠くの出来事でとても恐ろしいものだった。
まさかマー兄ちゃんがぼくの身近で、はじめていなくなってしまう人になるなんて。
僕はマー兄ちゃんの死んでしまった顔を見られなかった。
だって!
死んだなんて信じたくなかった!
だって……怖いから。
マー兄ちゃんがこの世からいなくなるなんて。
信じたくなかったんだ。
なんで死んじゃったんだよ。
マー兄ちゃん!
嘘だって起き上がって生き返ってほしい。
最悪、幽霊でもかまわないから。
ぼくの前に来て。
話してほしい。
いつもみたいに大声で楽しそうに笑ってさ。
一緒におやつ食べて。
一緒にゲームしたい。
一緒におもちゃ屋さんのゲームコーナーでガチャガチャやりに行きたい。
父ちゃん代わりになってやるって言ったじゃん。
頼ってこいって言ったじゃん。
なんで死んだんだよ。
マー兄ちゃんに会いたいよ。
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