人生にくたびれたアラサー営業マン・遠原昭博と、白い大型ネコのようなあやかし・夢見獏。リーマンとバクがバディを組んで、人気アイドル・愛沢マイの悪夢に挑んでいく――という、あやかし系の現代ファンタジーです。
主人公の昭博は、仕事に人生に疲れ果てたアラサー独身サラリーマン。ある日、ふいに見かけた『お昼寝カフェ【BAKU】』という奇妙な看板に惹かれ、店内に招き入れられます。
店長を名乗る人物は、眼鏡をかけたゆるふわおっとりな青年でした。
疲れを癒そうと一時間の利用を決め、柔らかなウォーターベッドに沈んだ昭博は、夢の中で、白く大きな青い目のネコ科っぽい何かと出会い、――。
現実と悪夢を行き来するストーリーで、昭博は夢見を手伝い、とある人気アイドル女性の悪夢に何度か潜ることになります。夢を通して彼女の本心を、過去を知り、やがては自分の過去とも向き合ってゆく。
ファンタジー要素が散りばめられてはいますが、登場人物たちどれぞれが持つ悩みは、現代人にはよくあるものです。
猫のようにマイペースな夢見さんに癒され、一筋縄ではいかない悪夢に挑む昭博さんに勇気づけられ、悩みを押し隠しながら強く生きるマイさんに共感しながら、楽しく読むことができる物語。
番外編では、あやかしたちが人間に想いを寄せるようになった経緯も描かれ、涙を誘います。
文庫本二巻分ほどの文量で完結済み。一気読みにもちょうど良いです。ぜひご一読ください。