【ダンジョンハンター】最弱パーティーにいた俺が、気付けば最強パーティーの弟子になっていた。
@kaito0227
第1話【別れは突然に‥】
最弱だけど最高。
言っている事は意味不明かも知れないけど本当だった。
ミスズ、シンジ、タケル、マドカ、もう3年にもなるこのパーティーは皆から最弱と言われながらも笑顔が溢れ、温もりを感じれていた。
そして仲間の絆も深かった。
なのに‥。
「なんで!?なんで三回層にこんなのがいるのよ!!」
ザシュ!!!
「ミスズー!!!!!!」
「やめろ、ハル!今は逃げ切る事だけ考えるんだ!!」
「何言ってんだよ!ミスズが!ミスズが!!」
「ありゃもうダメだ!!」
「シンジ!テメぇ、ミスズを物みてぇに!!」
「そんな事言ってる場合じゃねぇだろ!!生きるか死ぬか?それが今の現状だろが!このままだと全員が死ぬ!死ぬんだよ!!!お前らはそれでいいってのか!!?」
俺達は言い返す言葉を放つ事はできなかった。
ただ唇を噛みしめるしか‥。
「走れ!!!」
シンジの掛け声で皆が全力疾走し始める。
『グォォォォォオ!!!!!』
背後から鼓膜が破れそうになる程の雄叫びが聞こえる。
恐怖、怖い、死ぬ。
逃げ切れる?
逃げ切ってどうする?
別にどうもしない。生きてればラッキー?
本当?
ラッキーになれる?
考えよりも先に足を動かすしかない。
「ぐうぁぁぁあ!!!」
悲鳴で振り返ってはいけないと理解しつつ、背後に目を向けるとタケルの腕が無くなっていた。
腕からは鼓動に合わせるかの様にブシュッブシュっと血が吹き出している。
「ちっ!仕方ねぇ!!」
「シンジ?」
マドカがシンジを引き止めようとするがシンジはそれを払いのけた。
「悪いなマドカ。最後ぐらいリーダーらしい事させてくれよ。」
「シンジ!死ぬ気か!?」
「このまま逃げてもどうせ生きれっこねぇ。全員死ぬだけだ。なら、俺が少しぐらい時間を稼ぐこたできんだろ?」
「カッコつけんじゃねぇよ!!なら俺も!」
「バカ野郎!!ヒーラーのお前が先に死んじまったら誰がマドカを回復させんだよ。それに、ミスズとタケル。彼奴らだけじゃあの世でも心配だからな。」
「嫌!嫌よ、シンジ!私、‥私シンジがいないと‥」
マドカが言おうとする言葉をシンジが唇を重ね防いだ。
「‥マドカ。許してくれ。ハル。‥よろしく頼む。」
シンジはそれを告げると迫りくるデットスポット(出会ってはいけない強敵)に振り返る。
「行くぞコラァ!!!!」
ガキィイン!!!
シンジは飛び上がり、剣でデットスポットを斬りつけるが硬い毛で覆われていて刃は通らない。
「おらおら!こっちだバケモン!!タケル!まだいけるか!?」
「はぉ、はぁ、‥俺にそれ言うか?ったく。最後まで人使いが荒いリーダーだよ。お前は。」
タケルは軽く微笑むとシンジも微笑み返した。
「マドカ!!ハル!!行けぇ!!!」
俺は唇を再度噛み締めると、マドカの手を取り走った。
せめて、‥せめてシンジに託された最後の願いぐらいは叶えてやりたい。
そう、俺の命を引き換えにでも‥‥。
ズバァァン!!!!
妙な音と共に、マドカが急に重くなり振り返ると、顔に何かが当たる。
当たった何かはヌチャッとした感触をしていた。
マドカが倒れている。
顔に手を当てると生温い液がついていて目で確かめる。
赤い血だ。
俺にあたり、足元に転がった何かに目を向ける。
「マ、マ‥ドカ?」
首だ。
マドカの目からは涙が溢れ落ちている。
『グモォォォオオ!!!!!!!』
ズシュゥア!!!
俺の身体に爪が突き刺さる。
そして振り払うかの様に投げ飛ばされ地面に崩れ落ちる。
薄れゆく視界からデットスポットが去って行くのが見える。
死ぬ‥のか?
けど‥、これで良かったのかもな。
だって、これでまたあの世で‥皆と、い‥一緒‥だよ‥な。
‥ーーーーーーーーーー。
【#奇跡の治癒__サクラメン__#】。
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