童話

@yomekawarimono

お日様 

たけし君は、お日様が大好きです。


夕方にお母さんと手をつないでお散歩です。


『あー とっても気持ちがいいなー。』


「ねえねえ、お母さん。お池の水がキラキラ光っているよ。」


「ほんとね。綺麗ね。」


「ねえねえ、お母さん。鳥さん達もうれしそうだね。」


「そうね、鳥さん達もうれしそうね。」


「ねえお母さん。空が赤くなってきたよ。」


「そうよ、夕焼けよ。」


「夕焼け?」


たけしくんは首をかしげました。


「お日様が、また明日ねって、ご挨拶しているのよ。」


「ご挨拶?」


たけしくんはもっと首をかしげました。


「そうよ、お日様は一日の最後に、一番綺麗な姿になってご挨拶してくれるのよ。

お日様はね、たけしが幸せな気持ちになることを願ってくれているのよ。」


「僕の幸せ?……お日様ってやさしいんだね。」



綺麗な夕日はしずんで、夜になりました。


「ねえ、お母さん、お日様も夜になったらお休みするんだね。」


「お日様はお休みしないのよ。地球の裏側を照らしはじめるのよ。」


たけしくんは目を丸くしてお母さんに聞きました。


「えっつ、地球の裏側? お日様はお休みしないの?」


お母さんはにっこり微笑みながら言いました。


「そうよ。お日様はね、今度は地球の裏側の人達の幸せのために、照らしはじめるのよ。」



たけしくんは思いました。


『お日様って、なんだかすごいな……。』



窓の外をみると、お月様が綺麗に光っていました。


「ねえねえお母さん。お月様が光っているよ。お月様はどうして光るの?」


「たけし。お月様を照らしているのもお日様なのよ。」


たけしくんはびっくりして大きな声で聞きました。


「本当? でもどうして?」


お母さんはやさしくこたえました。


「夜もたけしを見守っているのよ。」


「お日様は僕のこと忘れないんだね。」


お母さんはうれしそうにうなずきました。


「そうよ。」             



たけしくんは思いました。


『お日様って、やっぱりすごい……。』




次の日は雨でした。


「あれ、お母さん。今日は雨だよ、お日様出ていないよ。お日様は僕のこと忘れちゃったのかな?」


お母さんはニコニコして答えました。


「雲の上にお日様は出ているのよ。」


「雲の上? じゃ、雲の上にはお日様がいるの?」


お母さんはとってもやさしい目でたけし君を見つめて言いました。


「そうよ、お日様は毎日変わらないのよ。お日様はね、今日も昨日と同じように、雲の上でたけしを照らしているのよ。」


たけしくんは、うれしくなって、ジャンプしながら言いました。


「へー お日様って、見えない時も変わらないんだね!」


お母さんもうれしそうに答えました。


「そうよ、お日様は絶対に変わらないの。」



たけし君は思いました。


『お日様って、本当にすごい……。』



お日様 お日様 お日様


とっても綺麗


夕焼けのご挨拶

 

僕の幸せを願ってくれる


絶対に変わらない


お日様 お日様



『僕はお日様が大好きだ。』




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